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ソースネクスト、オフラインAIを強化した高精度翻訳ソフト

ソースネクストは、AI製品に関する事業戦略の記者説明会を開催した。PC用の翻訳ソフトでは、CPUだけで動作するオフラインAIに注力し、第1弾として日英翻訳ソフト「AI本格翻訳」を発売する。同社直販でのダウンロード価格は19,800円。対応OSはWindows 10/11。

オフラインAIの開発に注力

ソースネクストは、自社の開発力を活かし、AI製品への応用を目指した取り組みの一環として、AI研究開発チーム「ソースネクストAIラボ」を設立した。このチームはAIの研究開発を専門としており、社内外を横断したチーム編成で活動している。最新のAI技術を一般ユーザーが使いやすい製品に取り入れることを目指しており、対象分野は「生成AI」「文書」「画像」「エッジコンピューティング」「翻訳」「音声合成」「音声認識」の7つに及ぶ。

同ラボの研究成果はすでに具体的な製品にも反映されている。例えば、文字起こしと要約機能を搭載した「AutoMemo(オートメモ)」では、音声認識技術の向上が実現された。一般的なAIエンジンが人間の理路整然とした話し方を前提としている一方で、フィラー(「えー」や「あの」といったつなぎ言葉)の除去など、実際の会話に即したチューニングが施されている。

さらに、画像認識技術を活用した「デザインお見立てAI」では、過去の年賀状画像からおすすめのデザインを提案するWebサービスが提供されている。また、ゴルフ専用デバイス「Birdie Talk(バーディ・トーク)」では、音声合成や生成AIを応用し、会話形式でゴルフに関するアドバイスを提供する。

代表取締役兼COOの小嶋智彰氏は、「ソースネクストの強みは、一般的なCPU上で軽量に動作するAI製品を開発するノウハウにある」と述べ、今後は「オフラインAI」の開発にも注力する方針を明らかにした。

代表取締役兼COO 小嶋智彰氏

オフラインAIは、NPUやGPUを使用せず、一般的なパソコンのCPUのみで動作する技術。これにより、インターネット環境が不安定な場所でも利用可能で、機密情報の漏洩リスクを低減できるとしている。

高精度な翻訳をオフラインで実現

オフラインAIの第1弾として「AI本格翻訳」を発売する。オフラインで高精度な日英翻訳を可能にする翻訳ソフト。従来のオフライン翻訳ソフトが抱えていた本格精度の問題を解決。オンライン翻訳サービスであるGoogle 翻訳に匹敵する翻訳精度を持つという。翻訳精度を評価する指標「BLEUスコア」では、従来のオフライン翻訳ソフトが約10点に対し、AI本格翻訳は約27点を記録。Google翻訳の約28点に迫る数値。

価格は19,800円(買い切り型)で、追加料金は不要。Officeファイル、PDFファイル、画像翻訳、テキスト翻訳などに対応し、一度に翻訳可能な文字数や、ファイル容量の制限がなく、大量の文書翻訳にも適している。

テキストから翻訳
ファイルごと翻訳
画像内のテキストを翻訳

開発の背景に、オンライン翻訳サービスの利用が広がる一方、情報漏洩への懸念から社内利用を制限する企業が増加していることを挙げた。調査では、大企業の55%以上が無料のオンライン翻訳サービスの利用を禁止または制限しているとし、インターネット接続が不要なため、機密情報を扱うビジネスシーンでも安心して利用できるとしている。

翻訳精度の向上や、ユーザー辞書機能('25年3月)、多言語対応、日本国外での販売など、今後もアップデートを継続予定。