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家計簿プリカから「AI金融プラットフォーム」を目指す「B/43」

家計簿アプリと連携するプリペイドカード「B/43」を展開するスマートバンクは12日、資金調達とともに、「B/43」を家計管理アプリからAI活用の「家計改善アプリ」を目指すとし、新たな事業計画を発表した。

資金調達は、SMBC-GBグロース1号投資事業有限責任組合をリード投資家とし、29.3億円を調達。創業以来の累計調達額は70.8億円となる。調達資金は、主にプロダクト強化に向けた人材獲得と、マーケティング活動に充当する。

B/43(ビーヨンサン)は、プリペイドカードと家計簿アプリを組み合わせた支出管理サービス。B/43のVisaプリペイドカードに、毎月の生活費をチャージし、支払いを行なうと、自動的に家計簿が作成され、リアルタイムで会計管理ができる点が特徴。「あといくら使えるか」が可視化されるため、無駄な支払いを抑えながら家計管理ができる。無料で利用できるが、フル機能で月額480円の有料プラン「B/43プラス」も展開している。

最近は、クレジットカード・銀行口座連携やAIレシート読み取りなどの機能も追加しており、プリペイドカード以外の支出も「B/43」アプリで管理可能となっている。

プリペイドカードは、ひとりで使う「マイカード」、共働き夫婦や同棲カップルなどパートナーが同じ口座を使う「ペアカード」、親子で使う「ジュニアカード」の3種類を展開しており、特にペアカードが人気。アプリダウンロード数は、事業開始からの3年で100万を突破している。

人気のペアカードは、半年継続率が98.1%と高く、10カ月後の決済金額が約2.8倍になるなど、長く使うほど利用金額が高くなる傾向がある。B/43の決済金額は月間数十億円規模としている。

これまでは支出管理と「家計の見える化」に軸をおいてきた「B/43」だが、今後はAI活用による家計改善や自動化に取り組み、「AI金融プラットフォーム」を目指す。今回の資金調達もその一環と位置づけている。

具体的には、お金の「行動変容」を促し、実際の行動につなげるアプリを目指す。そのために活用するのが「AI」だ。「10年後の金融サービスには必ずAIが搭載される」(スマートバンク 堀江翔太CEO)とし、今後の機能にAIを積極的に導入していく。

AIの活用例では、「分析」において、単なる可視化だけでなく、去年との比較や類似した年齢、家族構成との比較などから、無駄を確認。お金の管理の改善を促す。また、支出管理をしても、「予算設定」は自分で考える必要がある。この予算設定にもAIを活用し、どの支出を減らすべきかなどをアドバイスする。

目標(予算)を決めたあとの「実行」もサポート。例えば、設定予算を超える場合には、AIが支出を止めたり、入金に対して、予定にあわせた「先取り貯金」を行なうといった機能強化を予定している。

これらの機能強化は1-2年スパンで順次行なう。

加えて、その先の事業計画においても、AIを積極活用していく。1つはAIによる「ライフプランニング」で、従来フィナンシャルプランナーと相談していたような機能を、AIとの対話で実現し、B/43上でライフプランを作成。ライフプランを保険代理店につなげ、収益化を行なう。

「AI貯金アシスト」は、ルールに沿った貯金を実現するもの。AIに旅行の相談をすると、その旅行日までにお金を専用口座に自動で貯金するよう差配する。「AI投資アシスト」は、余ったお金をシームレスに投資につなげていく。

堀江翔太CEOは、他の家計簿アプリとB/43との最大の違いを、「実際にお金を預かっていること」と説明。見える化だけでなく、お金に制限を課す、お金を動かす、実行をサポートするといったことが可能になり、踏み込んだ「自動化」を実現できるとする。使う、貯める、増やすの各領域でサービス展開し、ユーザーの長期のライフプラン達成を手助けしていく。

B/43のビジネスモデルは、現状カードの決済手数料が主軸となっているが、ユーザーからの課金、後払い、保険代理店への送客などを展開。今後は、ユーザー課金と金利手数料の拡大を見込んでいる。

なお、「B/43」はプリペイドカードを活用しているが、ガソリンスタンドで使えない場所が多いなどの制限もある。「週次・月次で締めて、リアルタイムに家計把握するというサービスの特性上、プリペイドが適している。銀行口座連携やクレジットカード連携も対応開始しているので、それらを使うことでカバーはできるのではないか」とした。また、今後クレジットカードを発行するタイミングも「ゼロではない」とのこと。

Apple PayとGoogle Pay対応については、「ユーザーから一番多い要望。プリペイドカードのイシュアとして、そのまま対応すると事業の構造上、収益化が難しくなる部分はあるが、なるべく早く対応したい」とした。