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「メルカリ ハロ」拡大 ヤマトやすしざんまいが全国に 個人事業主も求人
2024年10月23日 15:28
メルカリは23日、スキマバイトサービス「メルカリ ハロ」において、すしざんまいやヤマト運輸などの新規大型求人パートナーが本格導入を開始すると発表した。大手企業が全国規模でメルカリ ハロを導入するほか、23日からは、中小・小規模事業者向けにも本格提供を開始する。
「メルカリ ハロ」は3月にサービスを開始し、4月から全国展開。サービス開始当初は4万拠点だった働く場所(パートナー拠点)は、7カ月弱で12万店舗を超えた。
一方、メルカリ ハロで実際に勤務した働き手(クルー)を対象にしたアンケートでは、今後期待することとして、「求人の数を増やして欲しい(60.6%)」「自宅・職場・学校に近い求人を充実させてほしい(57.1%)」など、求人数が少なく、働く場所が選べないという声が上位に入った。そのため、今回の大手パートナーの全国展開や中小事業者への拡大により、「働く場所が少ない」問題の解決を図る。
「求人の数」については、大手パートナーの強化で対応。寿司チェーン大手の「すしざんまい」は、11月以降にメルカリ ハロを全国で導入していく。
ヤマト運輸も一部事業所で導入していたが、メルカリ ハロの本格導入を開始。さらに電動キックボードのシェアリングサービス「Lime」も全国展開に向けてメルカリハロを活用していく。
Limeでは、8月から東京で電動キックボードの倉庫作業スタッフをメルカリ ハロで求人。倉庫作業やトラックへの積載などの業務を担っているという。加えて、Limeの全国展開に向けて、全国で安全講習会を開催予定で、その際のサポートスタッフなどをメルカリ ハロで求人する。全国展開するLimeのような事業者と歩調をあわせて、メルカリ ハロの拡大を図っていく。
加えて、スキマバイトでは駅から職場が遠いというケースも多く、その場合働き手が集まらないという課題もある。Limeでは、こうした場合のラストワンマイル支援として、Limeを活用していくことも検討しているという。
ヤマト運輸では、3月以降に複数の拠点で導入しているが、より多くの拠点に拡大。導入している厚木ゲートウェイベースにおいては、ハロの求人では、メルカリユーザーが多く、メルカリ利用者は「配送」を行なうことから、「物流現場に関心がある人が多く、人を集めやすい」とする。
また、出品者のため、荷物の扱いにも慣れているので戦力になりやすく、年齢構成的にも幅広く採用できているという。メルカリユーザーが潜在的な働き手となるため、ヤマト運輸では全国規模の人材確保にもつなげていく狙い。
さらに23日からは、中小事業者や個人事業主もメルカリ ハロでの求人掲載ができるようになる。これまではメルカリ側が営業し、拠点開拓してきたが、事業主側がWebフォームから申請し、簡単に利用開始できるようにする。
Webで申し込みを行ない、所定の審査の後、審査結果をメールを受け取ると、管理画面にログインして求人掲載できるようになる。忙しい時間に人を追加したい飲食店や、繁忙期の旅館など、全国チェーン以外の「地元の店舗」での働き場所を増やしていく。
メルカリハロでも、「自宅・職場・学校に近い求人が少ない」という指摘が多かったことから、中小事業者の拡大により対応していく。なお、審査については、「登録時にしっかり審査し、不適切な事業者は利用できない」(メルカリ 執行役員 CEO Work 太田 麻未氏)と説明。求人内容に問題があるものは掲載できず、働いた履歴などを確認する仕組みを導入する。審査に必要な書類等は非公開で、審査は即時では終わらないが、「1週間とかの時間がかかるものではない」とのこと。
大手・中小の事業者拡大により、「働く場所」を増やしていく。なお、メルカリ ハロの登録ユーザー数は800万と公表してるが、実際に働いた人の数は非公開。
スキマバイトの“裾野”を広げる
スポットワーク協会によると、日本国内のスポットワーク登録会員数は、9月1日時点で2,500万人を突破。コロナ発生前の2019年には約300万人だったため、この5年間で8倍以上に拡大したことになる。こうした背景からメルカリも参入したこととなるが、7カ月で800万登録というメルカリ ハロの登録者数は「順調」と説明する。
メルカリ ハロでは、クルーの半数以上(約54%)がはじめてスキマバイトを利用した「スキマバイト初心者」となっており、未経験者向けの求人も多い点も特徴。そのため「スキマバイトの“裾野”を広げている」という。ユーザーもメルカリ利用者が多く、本人確認済みであることや、新たなアプリを使う必要がないことなども特徴となっている。
一方、前述のように、働く場所の数や選択肢の少なさには課題があったことから、本格拡大を目指し、働く場所の数と働きやすい場所の拡大を図る。
特に従来のアルバイト求人媒体などでは、「もう集まらない」という声が多く、ブランド店舗や企業以外の採用は年々厳しくなっている。そうした中で、スポットワークは人を集めやすい選択肢として活用されており、中小事業者の期待も大きいという。