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エイベックス “フィールドエンタメ”音声ARを本格展開へ

エイベックス・アライアンス&パートナーズは、音声AR事業で博報堂と連携し、コンテンツの企画制作からマネタイズまでを一気通貫で提供するサービス「SARF+」(サーフプラス)の本格的な提供を開始した。同サービスを活用した事例として、10月11日~27日の期間、Osaka Metroの駅に音声ARスポットを設置して、ライブイベントに連動したLDHアーティストの音声コンテンツを期間限定で提供する。

エイベックスが提供する音声ARアプリ「SARF」は、スマートフォンのGPSの位置情報や、施設に設置されたビーコンの位置情報をトリガーにして、アプリが自動的にユーザーの位置に応じた音声コンテンツを再生するというもの。すでに、地域の街歩き企画、観光ガイド、フィールドを使った謎解きや肝試しなど、さまざまな音声ARコンテンツが制作・提供されている。

今回の音声AR事業の連携では、IPを保有し、プラットフォーム開発や運用ノウハウをもつエイベックスと、営業・企画やマーケティングに強みをもつ博報堂が互いの強みを組み合わせ、一気通貫で運用できる、マネタイズを含めた仕組みの構築を目指すというもの。

音声ARアプリ「SARF」のコンテンツ制作ではこれまで、CMS機能や多言語化機能、スタンプラリー機能などが提供されてきたが、新サービス「SARF+」は、iOS・Androidに対応するアプリ内課金機能に対応し、コンテンツを開発・提供する企業は直接的な収益化が可能。また従来より詳細なユーザーの情報分析が可能で、プロモーション連動機能も備えるなど、パートナー企業が参入しやすくなる仕組みを拡張している。

アプリ内課金に対応
「SARF+」採用の第1弾はLDHのライブと連動

音声ARを“フィールドエンタメ”として本格推進

エイベックスは2018年~2020年にかけて音声ARコンテンツの実証実験を実施。2021年にアプリ「SARF」のサービスを開始し、7都市で観光ガイドに採用された。2022年に入ると、観光ガイドやフィールドエンタメ以外にも対象を拡大し、神戸市のアート事業、大阪府の音楽フェス、東京都の防災啓蒙コンテンツに導入されるなどしている。2023年には音声ARコンテンツを簡単に作れるようにする「SARF Studio」の提供も開始した。「SARF Studio」は試験的に一部クリエイターにも提供されるなどしている。

音声ARは、スマートフォンアプリの位置情報と連動、音声のみで提供されるため、ユーザーの想像力を刺激し、その没入感はビジュアル・絵柄を利用するものに劣らないという。画面を注視する必要がないため歩きスマホを抑制できるほか、看板などの設置物が不要で景観に配慮した展開が可能。同じ場所で昼は観光ガイド、夜は肝試しといった使い分けも可能で、さまざまな種類の展開ができる。

実証実験などを経て判明しているのは、「推し活」や「聖地巡礼」などのファンがいるコンテンツは、ユーザーにとって没入感の高い体験になり、好評なことだという。エイベックスが保有するIPのみならず、他社のIPも含めてSARFのコンテンツの拡大を進めており、「新しい音声フォーマットとして本格的に普及させていく。自らも推進していく」(エイベックス・アライアンス&パートナーズ 事業開発グループ ゼネラルプロデューサーの渡部宏和氏)と意気込みが語られている。

名探偵コナンなど他社IPも
エイベックスグループのIPも最大限活用していく

また今回の、アプリ内課金対応などマネタイズを含めた「SARF+」の提供により、「準備が整った」(エイベックス・アライアンス&パートナーズ 事業開発グループ ゼネラルマネージャーの内藤 桂氏)という段階。「エイベックスはこれまでもヒットコンテンツを生み出し、シーンを作り出してきた。目標は音声ARでヒットコンテンツを生み出すこと。音声ARを世の中に知ってもらい、魅力を体験してもらいたい」(内藤氏)と、エイベックスとして本格的に取り組む姿勢が語られている。

今後の展開予定には「ムー」も
アプリ「SARF」の利用イメージ(デモ用コンテンツ)。アプリで聴きたいコンテンツを指定すると地図が表示され、ピンが立っている薄い青色の円に入ると、音声コンテンツが自動的に再生される。聴取済みのピンは色が赤色になっている
再生中の画面イメージ。見なくても成立する