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「未来のコンビニ」来春開始 ローソン×KDDIが目指す新たな“社会インフラ”

ローソンと、KDDI、三菱商事は18日、ローソンの「未来のコンビニ」を発表した。KDDIと三菱商事が2社共同体制でローソンの変革に取り組むもので、スマホレジや、AIサイネージ、リモート接客などを活用した新店舗を展開する。

三菱商事とKDDIによる事業基盤やAI・DX技術をローソン店舗に積極導入。「Real×Tech Convenience」の拡大を目指す。まずは、KDDIが2025年春を目処に本社移転予定の「TAKANAWA GATEWAY CITY」に”未来のコンビニ”ローソンを2店舗展開する。オフィスフロアと一般フロアにそれぞれ開店予定。

ロボットで店舗運営を支援

「未来のコンビニ」のスマホレジでは、スマホでバーコードを読み取るだけで、商品を決済できるほか、ユーザーごとの商品レコメンド機能などを導入。いつも買うものの在庫状況なども表示する。

チェックインしてスマホレジを利用
スマホレジ。現在のローソンスマホレジとは異なる新たな仕組みで、レコメンドなどが特徴となる

また、AIカメラを活用した「AIサイネージ」、品出しや店内清掃、配送などにロボットを活用した「店舗業務効率化」、「次世代リモート接客」などを展開する。

AIサイネージ。性別や年齢にあわせて、ほしいと思われるお弁当などを表示。ID登録している場合は、おすすめのコンサートチケットなども紹介する
ロボットも多数導入

通信や電気、ガスなど、生活インフラ相談に対応するリモート接客プラットフォームも展開。一例として、KDDI携帯電話の機種変更などに対応するほか、オンライン診療や金融サービスの相談なども予定している。

また、将来的にはドローンの活用やStarlink活用などの拠点として、コンビニを活用していく。

リモート接客。携帯電話の機種変更などに対応
ドローンやStarlink活用も想定

10月からは、ローソンでの無料割引やau PAYでのPontaポイント追加付与など「Pontaパス」を展開。また、ローソン店舗にpovoのデータチャージができる「povo Data Oasis」を年内に開始。povoのデータeSIMも年内に発売する。

Pontaパスを展開
povo 2.0のローソン展開を強化

ローソンが目指す「リアルテックコンビニ」

ローソンは、2025年に50周年を迎える。その機会に「未来のコンビニ」として新たなコンビニの姿を構築していく。

「ご唱和ください。ハピロー」とアピールするローソン竹増社長(中央)と三菱商事中西社長(左)、KDDI高橋社長(右)

三菱商事は2000年にローソンに出資し、2017年に子会社化。コンビニ・小売の姿を変えてきたが、2024年にKDDIと三菱商事が株式の50%を持ち合う新体制に移行した。新体制では、通信やリアルの顧客接点活用ななどで「小売業の枠組みを超えて社会インフラとしての大きな可能性がある」(三菱商事 中西勝也社長)とする。

ローソン竹増 貞信社長は、「Global Real ×Tech Convenience」という新生ローソンの目標を掲げ、リアル店舗を拠点とし、テクノロジーを融合「グローバルにリアルテックコンビニエンスを展開するローソングループになる」と語る。

その一例が店舗DX。ロボティクス化とデジタル化により、2030年度の店舗オペレーションは30%削減。削減した時間は、付加価値をつけたサービスにつなげていく。

また、KDDIとの連携で刷新を目指すのが、本部・店舗システム。50年間積み上げた業務をKDDIの力を借りながら効率化し、データ管理や社内決済、加盟店指導、商品開発、店舗開発などあらゆる面でのDX化を進める。

まずは「AICO(アイコ)」と呼ばれる全店発注システムを導入。6月から8月にかけて「まずまずの評価を得ている」(竹増社長)という。さらに、Pontaパスや品揃え・在庫の充実、ローソンの強みであるデリバリー、暮らしのよろず相談などを強化していく。

新生ローソンの象徴となるのが、2025年春にTAKANAWA GATEWAY CITYに移転するKDDI新本社に誕生する「Real Tech LAWSON」の1号店。納品や自動陳列マシーンや、いつでも綺麗なトイレ、店内厨房・調理ロボット、売り場活躍ロボット、リモートの「よろず相談」などを取り込んでいく。

リモート相談では、携帯電話の機種変更などのほか、将来的には金融資産の相談やオンライン診察、介護相談なども想定。「ローソンに来れば、リアルの人とテクノロジーを介して最適に近い相談ができる」という世界を目指す。

ドローンによる配達やデリバリーの強化などを含めて、街全体で社会課題に向き合う「ハッピー ローソンタウン」も構想中で、2030年の実現を目標とする。野菜などのローソンファーム、団地のリノベーション、子供施設、クリーンエネルギー、商業施設、医療モール、自動運転バス、こども施設などを集約し、その核にローソンやグループサービスを配備する。

竹増社長は、「構想を実現する具体的な街も見えてきており、皆さんにお話できる日も近い」と言及。「みんなと暮らすマチ」を実証しながら、将来課題に取り組むとした。

コンビニは次世代の「社会インフラ」

KDDIの高橋誠社長は、5つの実現したいこととして、「新しいコンビニ体験」「AIロボティクス店舗業務支援」「クイックコマース」「リモート接客」「withスタートアップ」と言及。スタートアップと連携したコンビニのデジタル化などに取り組むほか、Pontaパスやpovo2.0などKDDIグループサービスの連携を強化していく。

加えて、KDDIがローソンを持つことの意義として「ソーシャルインパクト」と言及。公共サービスや交通、防災など、通信とテクノロジーを使うことで、コンビニを地域の「マルチハブ」にしていくという。

一例としては能登地域の地域防災コンビニ。ドローンを設置し、災害の捜索などに活用するほか、スターリンクを使った防災拠点としての展開など、マチのコンビニの新たな活用の姿を検証していく。

沖縄では地域交通コンビニとして、店舗を停留所とするAIオンデマンド交通を開始。日立市内では、日立製作所拠点で地域密着型サービス実証を行なうなど、「社会課題を解決するコンビニ」を検証。様々な機能を持つ、「マルチハブコンビニ」を全国各地に拡大していく。そのためにローソン、三菱商事、KDDIで災害対策協定を結んだ。

KDDI高橋社長は、「新しい価値をお客様に提供し、コンビニに行けば何か面白いことがある、素敵なことがある。そういう場所にしていきたい。コンビニは日本が誇る、これからの社会課題を解決する社会インフラだと思っている。リアルテックを活用して、コンビニの未来に貢献をしていきたい」と語った。