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NEC、歩きながらでも1分間100人を認証する技術 空港など混雑緩和に

NECは、生体認証技術により立ち止まることなく一度に多人数を認証するシステムを9月30日から販売開始する。公共施設などで入場時の混雑緩和を実現するソリューションで、日本、アメリカ、シンガポールを中心にグローバルで展開する。

現在、インバウンド需要の急増を背景として、空港をはじめとする交通機関やアミューズメント施設などの公共施設の利用者が増加。特に空港では、搭乗者数が2019年比で2041年には約2倍になる予測があり、旅客のハンドリング効率化が求められている。

本システムでは、顔認証技術と、身体の特徴から人物を照合する技術により、あらかじめ設定した入場エリア内の人物をスピーディに検出するだけでなく、混雑下でも人物を継続して認識し続けることが可能。

また、多人数が立ち止まらずに自然に歩きながらでも検出できるため、1分間に100人のリアルタイムな認証を実現する。これまでの入場管理システムのように、一人ずつ順番に通過させるためのゲートは不要で、空港やアミューズメント施設などでの行列を解消し、利用者の負担を軽減するスムーズな入場を可能とする。

企業向けのカスタマイズ機能として、事前に顔画像を登録していない利用者が通過しようとした場合は、頭上や床面などに設置したディスプレイやイルミネーションで視覚的にアラートを示すことができる。認証時には、事前にダウンロードしたアプリやメールで本人に認証完了したことが通知される。これらにより、利用者とスタッフそれぞれが入場可否をその場で簡単に把握できる。

利用者の通行と認証の効率性を向上できるだけでなく、既存施設の拡張や増設をしなくても、混雑を緩和可能になる。システムは、ハードウェアアクセラレーション技術を組み込んだ手のひらサイズの小型エッジ端末とカメラ1台からでも導入可能。

NECでは7月に、国内のNEC社員2万人を対象として本システムをNEC本社ビルに導入。従来、社員証をかざして解錠していた自動ドアを、歩きながら顔認証することで、手ぶらで通過が可能となった。さらに、利用者が左右どちらの扉に向かったのかをシステムが判断し、通過する扉を解錠することもできる。