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駅ロッカーから荷物をホテルへ配送 西武HDが推進する「手ぶら観光」

西武ホールディングスは2日、スマートロッカーを活用した手荷物配送サービス「pikuraku PORTER(ピクラクポーター) in東京」の実証実験を、首都圏で開始した。スタートに伴い、メディア向けのデモンストレーションを行なった。

「pikuraku PORTER in東京」は、池袋駅、西武新宿駅、豊島園駅に設置されているスマートロッカーに14時までに荷物を預けると、首都圏約500ホテル(新宿エリア、銀座エリア、舞浜エリアなど)の中から指定した宿泊先へ原則19時までに手荷物を配送するサービス。旅行者がターミナル駅等への到着時にロッカーに荷物を預けると、近郊のホテルに配達してくれる。

手荷物はスーツケースなどロッカーに入るサイズであれば、1つのロッカーに何個でも預け入れ可能。ロッカーサイズは、大型のスーツケースが入る大サイズ、小型のキャリーバッグが入る中サイズ、普段使いのバッグが入る小サイズの3サイズ展開。サービス利用料は、1ロッカーにつき1,900円~2,800円。

ロッカーに入るサイズであれば、1つのロッカーに何個でも預け入れ可能。ロッカーサイズは3サイズ
利用料。10月31日まではキャンペーン価格

何個預けても一律料金

「1つのロッカーに複数個の荷物を預けても料金が変わらないため、友人や家族と共有して荷物が入る限り何個でも預けられる点が特徴です。オーバーツーリズムが課題となる中、公共交通機関もスーツケースを持って移動する観光客が増え、車内の混雑につながっています。荷物を駅のコインロッカーに預ければそのままホテルに配送されるため、手ぶらで身軽に観光してもらいたい」(西武ホールディングス 経営企画本部 西武ラボ 課長補佐 青木 啓史氏)と話す。

利用時は、コインロッカーのタッチパネルから「ホテルに送る」を選択し、ロッカーに荷物を預け入れる。再びパネルから宿泊するホテルを選択し、電話番号やSMSで受信した暗証番号を入力、決済を終えると預け入れが完了。決済は交通系ICに対応している。

タッチパネルから「ホテルに送る」を選択
預け入れるロッカーを選択
荷物を預け入れ。写真のロッカーは大サイズ
1つのロッカーに何個でも預け入れ可能
配送先のホテルを選択
交通系ICで決済

預け入れが完了するとSMSが届き、配送ステータスを確認できるようになる。14時以降、配送員がロッカーの荷物を取り出し、タグを付けて指定されたホテルに配送する。ホテルへの配送が完了するとSMSで配送完了メッセージが届くようになっている。対応言語は、日本語、英語、韓国語、中国語。ロッカーの事前予約は不可。

ホテル配送のロッカー預け入れは14時までで、配達員は14時以降にロッカーを開けるため、当日のホテル配送は1つのロッカーにつき1日1回までとなる。14時以降は、通常のロッカーとして利用できる。実証実験ではこうした仕様だが、需要次第で配送頻度を上げることも検討していくという。

SMSで配送ステータスを確認できる
配送員がロッカーを解錠
荷物を取り出す
スーツケース以外の荷物はビニール袋にまとめられる
荷物に付けられるタグ
ホテル受付で荷物の受け渡し
受け取って終了
西武ホールディングス 経営企画本部 西武ラボ 課長補佐 青木 啓史氏

設置場所として、池袋駅、西武新宿駅、豊島園駅を選定した理由として、「池袋駅と西武新宿駅は西武グループの玄関口となる駅であるため」と説明。また豊島園駅は、2023年6月に「ワーナー ブラザース スタジオツアー東京 - メイキング・オブ・ハリー・ポッター」が開業し、観光客が増えていることを挙げている。実証実験の結果次第にはなるが、設置拠点は拡大も視野に入れているという。

荷物預け入れ時にホテルを選択する際は、首都圏を9エリアに分けて表示。特に「舞浜/浦安/葛西」は注力エリアとしており、ディズニーアンバサダーホテル等への配送需要が高くなることを見込んでいる。

池袋駅、西武新宿駅、豊島園駅に設置
荷物預け入れ時にホテルを選択する際は、首都圏を9エリアに分けて表示

pikuraku PORTERの手荷物配送サービスは、JR西日本が大阪エリアと尾道エリアで3月より提供しており、今回、首都圏での実証実験を西武ホールディングスが「pikuraku PORTER in東京」として行なう。実証実験の期間は2025年3月31日まで。

いずれもスマートロッカーはSPACERが開発したもので、手荷物配送サービスのほかオンラインで注文した商品をロッカーで受け取れる「BOPISTA(ボピスタ)」なども提供している。

オンラインで注文した商品をロッカーで受け取れる「BOPISTA」