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スターリンクでトンネル建設現場からリアルタイムデータ伝送 清水建設とKDDI

KDDI、KDDI総合研究所、KDDIスマートドローン、清水建設は8月6日、清水建設が建設中の北海道新幹線、渡島トンネル上二股工区において、トンネル建設現場からの3D点群データのリアルタイム伝送実証に成功した。Starlinkによるauの通信エリア構築ソリューション「Satellite Mobile Link」を活用し、LiDARを搭載した四足歩行ロボットやドローンによってデータ収集を行なった。

この技術により、施工進捗や壁面のずれ・亀裂などの異常を、遠隔からリアルタイムで確認できるため、建設現場の定期巡回や施工管理にかかる時間を大幅に短縮できるようになる。

3D点群データは、映像と比較し、奥行き情報も含めて立体的な情報を取得できることから、測量用途など建設現場での活用が進んでいる。一方で、現場で測量した3D点群のデータ量は非常に多く、遠隔地と共有するためには3D点群データを保存した記録媒体そのものを事務所に持ち運んだり、膨大な時間をかけてクラウドに伝送したりする必要があるなど、即時共有が困難だった。

今回は、渡島トンネル坑内外にSatellite Mobile Linkで構築したau通信エリア網を活用し、四足歩行ロボットやドローンに搭載したLiDAR 3Dスキャナーで撮影した3D点群データを、清水建設のイノベーション創出拠点「温故創新の森NOVARE(東京都江東区)」へ伝送する実証を行なった。

四足歩行ロボットやドローンなどに搭載可能な小型コンピューター上でも動作する、KDDI総合研究所が開発した3D点群データのリアルタイムエンコーダーでデータを圧縮することで、伝送に必要な帯域を約1/20とした。これにより、従来は遠隔での撮影からデータ確認まで数時間かかっていたものが、10秒以内まで大幅に短縮されている。

将来的には四足歩行ロボットやドローンなどを遠隔操作/半自動化/自律化することで、遠隔からの施工管理や監視・検査が可能になる。例えば、土木、建築の分野においては、現場から即時に伝送される3D点群データにより、設計情報であるBIM(Building Information Modeling、素材などの属性情報を含む3Dデータ)データと即時に比較して出来形管理(施工物が意図する規格基準に合致するよう管理すること)を行なうことや、即時性を求められる進捗確認や鉄筋検査・コンクリート打設検査での異常検知などにおいて、生産性の向上が可能になる。また、大規模な点群データを扱うデジタルツインへの応用も可能。

KDDIら4社は、今後も人手がかかる作業のDXを目指し、実用化に向けた取り組みを進める。