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IST、ロケットの"心臓"ターボポンプ開発成功 基幹ロケット企業以外で初

インターステラテクノロジズ(IST)は、小型人工衛星打上げロケット「ZERO」のエンジン「COSMOS」用ターボポンプの熱走試験に成功した。試験が行なわれたのはIHIエアロスペース相生試験場(兵庫県相生市)。

これにより同社はサブスケールモデルでのターボポンプ開発をすべて完了。ロケットの中で最も開発が難しい要素の一つと言われるターボポンプにおいて、基幹ロケット関連企業以外では国内で唯一、その技術を保有する企業となった。

ターボポンプは燃焼器に燃料と酸化剤を送る“心臓部”に当たり、ZEROでは燃料ポンプと酸化剤ポンプを一体化させた「一軸式」を採用している。燃料と酸化剤それぞれでポンプを分ける場合と比べて技術的な難度が高い一方、エンジンシステム全体の小型・軽量化や部品点数の削減による低コスト化につなげられる。

使用したターボポンプはサブスケールモデル(長さ42cm、直径19cm)で、材質は耐熱性に優れたニッケル合金(一部にチタン合金およびアルミ合金)を使用している。

ターボポンプ

ターボポンプ開発の最終仕上げとなる熱走試験はタービン駆動に燃焼ガスを用い、ガスジェネレータ(ガス発生器、GG)と熱交換器(HEX)を組み合わせたシステム全体の性能を確かめるもので、本試験では目標の回転数で良好に動作していることが確認された。

本試験と並行し、既にフライトに向けた開発モデルの設計を完了、現在は組立工程に入っており、今冬には同モデルでの試験を計画している。同社では、ターボポンプをはじめとするコア技術を自社で保有することで、コスト競争力のあるロケットの開発に取り組んでいる。

小型人工衛星打上げロケット「ZERO」