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アマゾン、新物流拠点「相模湖FC」公開 ロボット導入は国内最大規模
2024年8月20日 19:03
Amazonは20日、神奈川県相模原市の「GLP ALFALINK 相模原4」で4月に稼働した日本最大級の物流センター「Amazon相模湖フルフィルメントセンター(FC)」の内部を公開した。
Amazon相模湖FCは延床面積 約15万m2(東京ドーム約3個分)。5階建てで1階が入荷・出庫エリア、2~5階が商品保管エリア。商品の入荷数・出荷数はいずれも約65万個/日。商品在庫数は2,000万個以上。
国内拠点最大規模のAmazon Robotics自動搬送システムを導入しており、商品を入れた棚をロボットが持ち上げ、スタッフの作業エリアまで移動する効率的なオペレーションを実施する。
24時間稼働で、稼働人数は数百人/日。ただし繁忙期などでは大きく変動するとのこと。「相模湖FC」の近くに「相模原FC」もあるが、今後の需要増を見越して建設したという。
Amazonは2023年単年で神奈川県へ1,500億円以上の投資を行なった。これは2010年から2023年までの神奈川県への総投資額8,300億円以上の18%に相当する。
Amazonの神奈川県での経済活動・投資
Amazonは、日本では2000年11月にスタート。当初は本のみの販売だったが、その後、商品カテゴリーやサービスを拡大。今日に至っている。
物流拠点としても2005年には市川、2009年には堺、2010年に川越、2013年には小田原FCを建設した。現在、物流拠点(FC)は25箇所以上、配送拠点(DS)は50箇所以上となっている。
神奈川県には5つのFCをはじめ多くの拠点を置いており、2010年~2023年の投資金額は8,300億円以上。最初に立ち上げられた小田原FCは国内最大規模の物流拠点で東京ドーム4個分の延べ床面積を持つ。効率よく配送するために多くの技術が導入されている。2016年に開設された川崎FCは神奈川県で最初にAmazon Roboticsを導入した拠点。
2022年に開設された相模原FCは日本最大級の商品取扱量となっており、日本で2拠点目となる東日本エリア初のDisaster Relief Hubを立ち上げており、災害時に備えるため50品目、15,000点の商品を備蓄している。Amazon JP FC オペレーション事業部 統括本部長の原祐介氏は「地域貢献の重要な拠点ともなっている」と語った。
相模湖FCには約3,000台の「Drive」というロボット、約35,000台の「Pod」という棚を備えている。人が作業する「ステーション」数は非公開。日本最大のAmazon Roboticsの導入拠点となっている。アメリカの経済・戦略コンサルティング会社 Keystone Strategyの試算によれば、Amazonが継続的に投資することによって26,000以上の仕事を間接的に継続的に提供できており、これは2013年比で6倍となっているという。直接雇用数は非開示。
神奈川県の中小企業に対してもAmazonマーケットプレイスでのEコマースを通して支援を行なっている。神奈川県内で9,000社以上の販売事業者から数千万点以上を販売しており、販売個数は前年比10%増となっている。Amazonが受注・梱包・発送などを全て代行するサービス「フルフィルメント by Amazon(FBA)」は好評を得ているという。
販路拡大を支援するために、海外販売に対するサービスも提供しており「越境EC」にも活用できると語った。事例として紹介されたのは伝統工芸品の箱根寄木細工を製造・販売している「箱根丸山物産」という地場産業の会社。「Amazonで販売するようになって、売上が3割、4割増し」となったという。
原氏は「Eコマースだけではなく、生活を便利なものに変革することに貢献できたのではないか。販売事業者とお客様の双方にお役に立ちたい。今後もイノベーションを推進し、明るい未来を築きたい」と語った。
安全性を重視 Roboticsで効率よく在庫
新設した相模湖FCについては、Amazon相模湖FC サイトリーダーである熊澤純氏が解説した。AmazonFCは全国に25箇所以上ある。入荷された商品は検品後、商品情報がシステムに登録される。商品はフリーロケーションで空いている棚に保管。注文が入ると場所をシステムが特定し、発送準備を開始する。梱包後、住所ラベルを機械が貼ったあと、配送先ごとに「かご車」に集められて、トラックの荷台へと運ばれ、最終的に配送される。
FCには多種多様な商品が在庫されており、需要予測も行なわれ、事前に各配送センターへ分配される。そしてFC内ではAmazon Roboticsによって効率化が図られている。Amazon Roboticsを使うことで、固定棚よりも4割、効率よく在庫を持つことができ、事故などを予防できるという。
熊澤氏は「相模湖FCでは地球上で最も働きがいのある職場を作ること」を目指していると語った。多様な人たちの働き方の支援のほか、地元の小学校のSTEM教育などにも協力している。
内部はAmazon Roboticsのほか、スポットクーラーやプロジェクションによる分かりやすい作業指示、ゲーミフィケーションの工夫、動力を用いないシューターなども活用されており、省エネも図られているとのことだった。