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アマゾン、新物流拠点「相模湖FC」公開 ロボット導入は国内最大規模

Amazonは20日、神奈川県相模原市の「GLP ALFALINK 相模原4」で4月に稼働した日本最大級の物流センター「Amazon相模湖フルフィルメントセンター(FC)」の内部を公開した。

商品棚をロボットが運ぶAmazon Roboticsをフル活用

Amazon相模湖FCは延床面積 約15万m2(東京ドーム約3個分)。5階建てで1階が入荷・出庫エリア、2~5階が商品保管エリア。商品の入荷数・出荷数はいずれも約65万個/日。商品在庫数は2,000万個以上。

国内拠点最大規模のAmazon Robotics自動搬送システムを導入しており、商品を入れた棚をロボットが持ち上げ、スタッフの作業エリアまで移動する効率的なオペレーションを実施する。

24時間稼働で、稼働人数は数百人/日。ただし繁忙期などでは大きく変動するとのこと。「相模湖FC」の近くに「相模原FC」もあるが、今後の需要増を見越して建設したという。

相模湖FCの概要
相模湖FCは約3,000台の「Drive」ロボットと約35,000台の棚「Pod」がある

Amazonは2023年単年で神奈川県へ1,500億円以上の投資を行なった。これは2010年から2023年までの神奈川県への総投資額8,300億円以上の18%に相当する。

Amazonの神奈川県での経済活動・投資

Amazonは、日本では2000年11月にスタート。当初は本のみの販売だったが、その後、商品カテゴリーやサービスを拡大。今日に至っている。

物流拠点としても2005年には市川、2009年には堺、2010年に川越、2013年には小田原FCを建設した。現在、物流拠点(FC)は25箇所以上、配送拠点(DS)は50箇所以上となっている。

Amazonの日本での沿革

神奈川県には5つのFCをはじめ多くの拠点を置いており、2010年~2023年の投資金額は8,300億円以上。最初に立ち上げられた小田原FCは国内最大規模の物流拠点で東京ドーム4個分の延べ床面積を持つ。効率よく配送するために多くの技術が導入されている。2016年に開設された川崎FCは神奈川県で最初にAmazon Roboticsを導入した拠点。

神奈川県のAmazon物流拠点

2022年に開設された相模原FCは日本最大級の商品取扱量となっており、日本で2拠点目となる東日本エリア初のDisaster Relief Hubを立ち上げており、災害時に備えるため50品目、15,000点の商品を備蓄している。Amazon JP FC オペレーション事業部 統括本部長の原祐介氏は「地域貢献の重要な拠点ともなっている」と語った。

Amazon JP FC オペレーション事業部 統括本部長 原祐介氏
相模原FCは日本最大級の商品取扱量

相模湖FCには約3,000台の「Drive」というロボット、約35,000台の「Pod」という棚を備えている。人が作業する「ステーション」数は非公開。日本最大のAmazon Roboticsの導入拠点となっている。アメリカの経済・戦略コンサルティング会社 Keystone Strategyの試算によれば、Amazonが継続的に投資することによって26,000以上の仕事を間接的に継続的に提供できており、これは2013年比で6倍となっているという。直接雇用数は非開示。

相模湖FCは日本最大のAmazon Roboticsの導入拠点

神奈川県の中小企業に対してもAmazonマーケットプレイスでのEコマースを通して支援を行なっている。神奈川県内で9,000社以上の販売事業者から数千万点以上を販売しており、販売個数は前年比10%増となっている。Amazonが受注・梱包・発送などを全て代行するサービス「フルフィルメント by Amazon(FBA)」は好評を得ているという。

「フルフィルメント by Amazon(FBA)」は好評

販路拡大を支援するために、海外販売に対するサービスも提供しており「越境EC」にも活用できると語った。事例として紹介されたのは伝統工芸品の箱根寄木細工を製造・販売している「箱根丸山物産」という地場産業の会社。「Amazonで販売するようになって、売上が3割、4割増し」となったという。

中小企業もAmazonによって海外販売が可能に

原氏は「Eコマースだけではなく、生活を便利なものに変革することに貢献できたのではないか。販売事業者とお客様の双方にお役に立ちたい。今後もイノベーションを推進し、明るい未来を築きたい」と語った。

安全性を重視 Roboticsで効率よく在庫

Amazon相模湖FC サイトリーダー 熊澤純氏。胸のマークは相模湖FCのマーク

新設した相模湖FCについては、Amazon相模湖FC サイトリーダーである熊澤純氏が解説した。AmazonFCは全国に25箇所以上ある。入荷された商品は検品後、商品情報がシステムに登録される。商品はフリーロケーションで空いている棚に保管。注文が入ると場所をシステムが特定し、発送準備を開始する。梱包後、住所ラベルを機械が貼ったあと、配送先ごとに「かご車」に集められて、トラックの荷台へと運ばれ、最終的に配送される。

Amazonの配送の流れ

FCには多種多様な商品が在庫されており、需要予測も行なわれ、事前に各配送センターへ分配される。そしてFC内ではAmazon Roboticsによって効率化が図られている。Amazon Roboticsを使うことで、固定棚よりも4割、効率よく在庫を持つことができ、事故などを予防できるという。

トラックから下ろした商品を検品して登録作業へ回す
Amazon在庫への登録作業。在庫への入り口で、このあと固定棚またはAmazon Roboticsに入れていく

熊澤氏は「相模湖FCでは地球上で最も働きがいのある職場を作ること」を目指していると語った。多様な人たちの働き方の支援のほか、地元の小学校のSTEM教育などにも協力している。

棚に入庫していく作業の様子
作業者の足元はクッション性のある素材で疲れにくい。推奨立ち位置も指示されている
ピッキングの様子。倉庫内の空調も効いており作業者にはスポットクーラーも向けられている
左の画面はゲーム的なもので、作業効率に合わせてポイントがアップすることでモチベーションを向上させる
餌をやったりもできる

内部はAmazon Roboticsのほか、スポットクーラーやプロジェクションによる分かりやすい作業指示、ゲーミフィケーションの工夫、動力を用いないシューターなども活用されており、省エネも図られているとのことだった。

梱包過程。適切な袋や箱がシステムから指定される。梱包用テープも自動的に適切な長さが出てくるといった工夫によって作業者の疲労を軽減する
かご車への積み込みは人手
荷物が落ちてくる「グラビティシューター」。引っかからない角度に設計されている
このあとトラックに載せられて配送されていく