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アップル、iOS 18.1からアプリ内NFC決済をサードパーティに開放

アップルは14日、デベロッパ向けに、Secure Elementを使ったアプリ内NFC決済を提供可能にすると発表した。間もなく公開予定の「iOS 18.1」では、デベロッパはApple PayとAppleウォレットとは別に、iPhone上の自社アプリ内でSecure Elementを使ったNFC非接触決済を提供可能になる。

これまでiPhoneにおけるアプリ内NFC決済利用は、Apple PayやAppleウォレットの利用に限定されていたが、サードパーティのアプリでもSecure Elementを使ったNFC非接触決済を可能とする。欧州委員会がアップルのApple Pay優先の方針に対し、支配的地位の乱用として調査を進めていたが、'24年7月にアップルがNFCの利用をサードパーティに開放する方針を公表。欧州委員会も調査を終了した。今回の開放は、その流れに沿ったものとなる。

デベロッパは、新しいNFC APIとSE(Secure Element)APIを使って、店内の支払い、車のキー、交通系ICカード、社員証、学生証、ホームキー、ホテルの部屋の鍵、店舗のメンバーズカードやポイントカード、イベントのチケット、今後サポート予定の政府機関発行の身分証明書に、アプリ内の非接触決済を提供できるようになる。

Apple PayとApple ウォレット以外での決済が可能になるが、ユーザーのセキュリティとプライバシーと安全性を重視して設計。NFC APIとSE APIは、デバイス上に機密情報を安全に保存するSecure Elementを活用。非接触決済時には、Secure Enclave、生体認証、Appleサーバなどを活用する。

これらのAPIを活用するアプリ内で非接触決済を行なう場合、ユーザーはアプリを直接開くか、iOSの設定でデフォルトの非接触アプリとしてアプリを設定し、iPhoneのサイドボタンをダブルクリックして決済を開始できる。なお、デベロッパが自社のiPhoneアプリにこの新たなソリューションを組み込むには、Appleと商業契約を結び、NFCとSEのエンタイトルメントをリクエストし、関連する料金を支払う必要がある。一定の業界と規制に係る要件を満たし、セキュリティとプライバシーの基準を約束し、権限を与えられたデベロッパのみが、関連APIにアクセスできるようになる。

NFC APIとSE APIは、近日公開予定のiOS 18.1のデベロッパシードで、日本、オーストラリア、ブラジル、カナダ、ニュージーランド、英国、米国のデベロッパが利用できるようになり、その後国・地域が追加される予定。