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ふるさとチョイス、ポイント付与廃止に賛成 「主旨に沿った取り組みを」

ふるさとチョイスは17日、2023年度のふるさと納税のトレンド振り返りを行なった。また、6月25日に総務省より告示された、ポータルサイト事業者のポイント付与廃止について「賛成」を表明した。

例年ふるさと納税は12月にピークを迎えるが、2023年は10月に制度変更があった影響で9月に寄付が増加するという例年とは違う傾向があった。

制度変更は地場産品基準の厳格化や、自治体の募集に係る経費に関する規定の厳格化というもので、10月以降は寄付金額が上がってしまうのではないかという懸念が寄付者の中で広がり、前倒しで寄付を行なうケースが見られたという。

ふるさとチョイスを運営するトラストバンクの調査では、9月に一部寄付し、12月に再度寄付した人が多くいたため、2023年は9月と12月に大きな山ができた。

2023年は9月に寄付が増加

漁業支援と災害支援

寄付先で見ると、漁業支援や災害支援が目立つ結果となった。漁業支援では、'23年8月下旬に地域の海産物事業者が困難な状況にあるという報道があったことから、8月のホタテへの寄付が前年比約1.9倍となり、9月は同6.6倍に増加。2023年度全体では約1.6倍の伸びとなった。地域の事業者、生産者を直接支援できる方法としてふるさと納税が定着してきていると、同社では捉えている。

ホタテへの寄付が増加
2023年度全体では約1.6倍に

また、1月1日に発生した能登半島地震を受け、原則返礼品がない「ふるさとチョイス災害支援」へ20億円を超える寄付が集まり、過去最大の寄付額と寄付件数となった。

さらに、被災していない自治体が被災した自治体の代わりに寄付を集める「代理寄付」を行なう自治体数や、「代理寄付」を通じた寄付も過去最多となり、自治体間の共助の輪も広がっているとする。

発災直後は返礼品がある寄付を一時停止していた能登半島の自治体も、現在は徐々に返礼品のある寄付の受け入れを再開。2023年4月~6月と2024年を比較すると、能登半島の12自治体への寄付が増加している。

災害支援に関連して、防災グッズを返礼品としてもらう人は元々わずかに上昇傾向にあったが、能登半島地震をきっかけに増加傾向にあるという。2024年1月以降に防災グッズへの寄付が急増し、2023年度の寄付件数は22年度の1.8倍となった。

防災グッズの返礼品が増加傾向にある

このほか、昨今の物価高を受けて、家庭用紙製品や洗剤などの日用品、鮭といった毎日の食卓に並ぶ品の人気が高い状態が継続。価格高騰や値上げなどが報じられた品は、寄付が増加する傾向にあり、直近だと2024年4月~6月において、5月に値上げがあったオリーブオイルへ寄付が集まっている。

日用品の人気が高い状態は継続

旅行やイベント「体験型」返礼品が定着

返礼品の新しいトレンドとして、旅行やイベントなど「体験型」が定着。2023年度は特に、花火大会の観覧席などがもらえる「花火大会チケット」、アミューズメント施設などの入場券や優待券がもらえる「入場券・優待券」や、マラソン大会の出走権やクルージングの乗船券など様々な体験のチケットに人気が集まった。

「旅行ができる宿泊券などの返礼品は、その自治体に実際に足を運ぶので寄付だけでなく現地での消費も発生します。地域の関係・交流人口増に寄与する返礼品だと捉えています」(トラストバンク 代表取締役 川村憲一氏)

旅行やイベントなど「体験型」が新しいトレンドとして定着
トラストバンク 代表取締役 川村憲一氏

ポイント廃止は「あり」

6月28日に総務省が告示した、ふるさと納税ポータルサイトのポイント制度廃止について見解を求められた川村氏は「制度を歪めているなら、ポイント制について変更するのはありだと思います」とコメント。

「そもそもの話ではありますが、ふるさと納税は主旨に沿った取り組みが大事だと私たちは考えています。寄付に伴うポイント付与という仕組みは、ふるさと納税の利用者拡大に寄与し、地方の税格差を縮めていくこともあったと思います。ですが、今回総務省から要請があり、ふるさと納税という制度を発展させていく中で、制度を歪める仕組みとなっているなら変更はありなのではないでしょうか。ポイントが付かないからふるさと納税をやめるということは考えにくいと思います。

ふるさと納税は税控除や返礼品だけが価値ではなく、寄付金の使い道が選べることや、返礼品を通した地域ブランドの向上、地域の関係・交流人口の創出という点にも価値があり、地域を元気にしていくことがふるさと納税の役目です。ふるさとチョイスとしては、地域の魅力を伝えられるような取り組みをしていきたいと考えています」(川村氏)