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SOMPO、ライザップに300億円出資 運動すると得する保険

SOMPOホールディングスとRIZAPグループは、第三者割り当てによる新株発行により、SOMPOホールディングスからRIZAPグループに約100億円、RIZAPに200億円の合計約300億円出資する資本業務提携契約を締結した。身体・精神・社会的な健康寿命延伸を目指して協力する。

資本業務提携については6月7日に発表しており、両社は7月1日に共同記者会見を実施した。

SOMPOホールディングス グループCEO取締役代表執行役社長 奥村幹夫氏(左)とRIZAPグループ 代表取締役社長 瀬戸健氏(右)

「誰もがウェルビーイングを実感できる社会の実現」を掲げ、相互の顧客紹介、研究開発、介護・ヘルスケア強化において協力する。

SOMPOとしては、健康に関わる「サービス・顧客基盤・データ」を有するRIZAPとの資本業務提携により、ウェルビーイング事業における「つなぐ・つながる」戦略実現を加速する狙い。特に日常的なユーザーとのタッチポイントを創出し、既存顧客へのアプローチ、保険事業での収益拡大、ライザップ事業における持分利益の獲得といったリターンを見込む。

タッチポイントの面では、チョコザップ会員であれば施設利用にあたって専用アプリを日常的に使用していることから、接点の頻度拡大を期待できる。

SOMPOホールディングスでは顧客との接点の1つとして、“あなたに寄り添う情報メディア”をコンセプトとしたWebサービス「SOMPO Park」を展開。また、SOMPOひまわり生命において、保険本来の機能(Insurance)に、健康をサポートする機能(Healthcare)を加えた「Insurhealth(インシュアヘルス)」を提供しており、「万が一」を保障するだけでなく、「万が一」を可能な限りなくしていくサービスを提供している。

ライザップとの協業における事業拡大の具体例の1つとして、損保ジャパンの自動車保険等の契約者に対してSOMPO Parkを通じてチョコザップを紹介し、自動車保険契約者の中から健康に関心のある顧客を抽出。そういった顧客がインシュアヘルスに新規加入するという展開を期待する。

また、双方のサービスやアプリの連携により、SOMPOのデジタル接点への登録、来訪頻度の向上等を見込む。

健康寿命延伸を実現するためのサービスも計画。SOMPOホールディングスでは、健診結果に応じてインセンティブを提供するサービスは存在するが、健康になるための運動を行なうことに対してのインセンティブを提供するサービスはない。そこで協業により、健診→運動→健診のサイクルを確立し、顧客が健康になれる仕組みを構築する。健康寿命延伸は、顧客にとってメリットになるとともに、保険会社にとっても継続加入につながるというメリットがある。

協業においては、保険・介護・ヘルスケアなどのあり方を再定義し、誰もがウェルビーイングを実感できるトータルソリューションの提供を目指す。日本最大級のヘルスケアデータプラットフォームの構築を検討しており、商品開発、新しい健康指標、認知症・重症化予防などを展開する。

SOMPOは保険・健診(医療)・介護などのデータを、チョコザップは運動・健康に関するライフログを蓄積しており、これらを組み合わせた、疾病リスク検知および予防、認知症予防・重症化予防プログラムなどの共同研究を行なう。

新しい健康指標については運動を行なうことによるインセンティブの開発などにつなげる。こういった生命保険の新しい形は「連携の本丸」と位置付けており、健康・ウェルビーイング実現のための行動変容とその手段まで提供するユニークな保険を提案するとしている。

SOMPOでは介護事業にも力を入れており、この分野でもチョコザップとの連携を活用。持続可能・ウェルビーイングな介護の実現に向け、要介護者だけではなく、家族や介護スタッフにも寄り添う新しい介護を検討する。

連携はそのほか、代理店経営のサポートや、新しいヘルスケアの提案にも活かす。

両社間では7月より、相互出向による資本業務提携の成功に向けた推進体制を強化する。ただしSOMPOとしては「ライザップの経営におけるスピード感やチャレンジ精神は評価しており、その良さを損なわないようにしながら、正しい判断ができるような情報を提供する」(奥村氏)としている。