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KADOKAWA、サイバー攻撃によるシステム障害は7月初旬に経理機能復旧

KADOKAWAは27日、現在発生しているサイバー攻撃によるグループのシステム障害についての現状を発表した。経理機能と出版事業を優先的に対応を進めており、経理機能については7月初旬に復旧の目処が立ったという。

6月8日、「ニコニコ」を中心としたサービス群を標的とし、KADOKAWAのグループデータセンター内のサーバーがランサムウェアを含む大規模なサイバー攻撃が行なわれ、その影響は約20日経った現在も続いている。システムと事業活動の正常化に向けて、解決策の検討と対応を進めており、その現状を報告した

今回発生したシステム障害では、現在、安全なネットワークとサーバー環境の構築に取り組んでいる。まずは、事業活動の根幹となる経理機能の立て直しと、売上規模が大きい出版事業の製造・物流機能の正常化を最優先しており、経理機能は、アナログ対応も含め7月初旬に復旧する目途が立ったという。

出版製造については、重版は優先順位をつけて製造を行なっているが、新刊は平常時の水準を維持しているという。

出版物流では、自社システムの影響度が高い既刊の出荷部数は平常時の3分の1程度、新刊は平常時と同等の水準を維持している。今後も、製造・物流に関連するシステムの復旧作業を加速させるほか、当面のインシデント対応として、人的リソースの拡大などシステムに依存しない体制を整備し、事業への影響を最小限にとどめていく。

電子書籍については、障害発生直後に一部配信が遅れたものの、現在は制作への影響は発生していない。

Webサービスは、ニコニコファミリーのサービス全般、ニコニコアカウントによる外部サービスへのログインが引き続き停止中。

「ニコニコ動画(Re:仮)」に続いて、「ニコニコ生放送(Re:仮)」や「ニコニ・コモンズ(Re:仮)」などのユーザー向け臨時サービスの提供を開始したほか、「ニコニコ漫画スマートフォン版Webサイト」、「NicoFT」など既存サービスについても再開した。「ニコニコチャンネルプラス」は、6月28日の再開を予定。段階的に再開可能なサービスから順次公開していく。

MD事業は、商品の卸売に関しては、影響は限定的。出荷機能についても概ね平常通りに回復した。

現在、情報漏洩の可能性に関して外部専門機関等の支援を受けながら調査を実施している。「ニコニコ」サービスを含むグループの顧客のクレジットカード情報については、社内でデータを保有せず、「情報漏洩は起こらない仕組み」としており、7月中には、調査結果に基づくより正確な情報が得られる見通し。

業績への影響は現時点では不明。正確な調査結果、復旧状況や対応策について、知らせるべき新たな事実が判明した際には、改めて報告するという。