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LINEヤフーの広告、AI入稿にAI審査で対抗

LINEヤフー、出稿される広告の審査実績をまとめた2023年度の「広告サービス品質に関する透明性レポート」を公開した。

広告審査は、出稿を行なうアカウント自体と、出稿される広告素材の2つに大別して審査されている。レポートでは、アカウントの登録や広告の掲載を認めない“非承認”となった数を半期ごとに公表することで、ガイドラインの浸透と、それによる判断基準の透明性を高める狙いがある。

なお、今回から「Yahoo!広告」だけでなく「LINE広告」についてもレポートされている。広告枠の性質が「Yahoo!広告」とは異なる点などから数字には開きがあるほか、プラットフォームが同一でなくカウント方法も異なる。現在は「Yahoo!広告」と「LINE広告」のガイドラインの統合を進めている段階としている。

最上級表示の非承認が減少

Yahoo!広告では、2023年度は約9,600万件の広告素材を非承認とした。2022年度(約1.3億件)と比較して非承認数は大幅に減少しており、これは主に、非承認理由として毎年最も多い「最上級表示・No.1表示」の掲載基準で非承認となる広告の入稿数が減少した結果。LINEヤフー側の周知が浸透したためとしている。

違反を繰り返したり大量の非承認広告の入稿を行なったりする広告アカウント自体も、非承認の対象になる。Yahoo!広告では、2023年度は7,819件のアカウントを非承認としたが、2022年度(7,893件)と比較して僅かな減少にとどまっている。

クリエイティブでは、「不快な表現」として、「局部の強調」「過度なコンプレックスをあおるような表現」「アダルト要素の強い表現」などでの非承認が多く見られたという。これは前半期から非承認件数が増加している。

LINE広告は半期で10万件を非承認

LINE広告では、2023年度下半期において、101,218件の広告素材が非承認とされた。広告素材の非承認割合は、約9割がクリエイティブ(主に画像や動画)に起因していた。

ほかにも、リンク先サイトについて、「各種関連諸法規に抵触するおそれのある内容」での非承認が最も多く、内訳は「効能効果を逸脱している表現」「優良誤認・有利誤認表示」「権利侵害のおそれのある表現」などが多くみられた。

AI入稿にAI審査で対応

現在、生成AIの利用が拡大し、広告への活用も進んでいる。品質を落とさずに大量生成できることから、これらが悪用される懸念も大きくなっている。

「我々の戦いの中で、重要であり、難しいところ。AIは広告の作成でも進化しているが、我々も同じようにAI・機械学習モデルを使い、従来のシンプルなフィルタリングだけでなく、高度な機械学習を使った自動審査も行なっている。我々の手元には大量の判別したデータが揃っており、機械学習モデルに学ばせて、常に更新し、その精度をチェックする部隊も設けている。大量の審査にも対応でき、人海戦術に頼らなくて済むよう、精度を上げていく」(LINEヤフー MSカンパニー 経営企画・事業開発統括本部 トラスト&セーフティ本部長の一条裕仁氏)。

著名人のなりすまし詐欺広告「確認されていない」

社会問題にもなっている、広告枠を悪用した「なりすまし詐欺広告」については、LINEヤフーは著名人本人(例えばなりすまし詐欺広告で写真を悪用された前澤友作氏など)からの報告は受けておらず、「我々のプラットフォームでは確認されていないと判断している」(一条氏)という。これは、審査の際に、広告をクリックするとLINEの友だち登録に誘導するといった遷移を非承認にしているなどの審査基準も影響しているという。