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LUUPを地域やホテルで導入・運営「LUUP for Community」

Luupは、自治体・企業・団体が主体となってLUUPを地域導入できる「LUUP for Community」の本格提供および申込み受付を開始した。既に試験提供している栃木県芳賀町、北海道美瑛町、西武ホールディングスなどが継続し、本格提供していく。

電動アシスト自転車と電動キックボードのシェアサービス「LUUP」を、自治体や企業が主体となって導入・運営できる新サービス。

通常はLuupが設置ポートの用意や車両の充電などを行なうが、LUUP for Communityではそれらを自治体や企業が担当する。Luup側は貸出返却・料金収受システムの提供、車両の貸与、定期的なメンテナンスなどを担う。

導入先が導入費用の負担や設置ポートの用意、車両の充電などを担い、Luup側は貸出返却・料金収受システムの提供、車両の貸与、定期的なメンテナンスなどを行なう

導入の背景として、観光地におけるオーバーツーリズムによる二次交通の不足、地方における人口減少に伴うバス・タクシーの運転手不足などで公共交通の維持が困難になることが懸念されることを挙げている。

これまでも自治体から導入を希望する声は多くあったが、電動キックボードのシェアサービス実証実験で短期間に多くのデータを確保する必要があったため、人口の多い都市部への展開に留まっており、地方への進出ができない状況にあった。

上記実証実験が完了し、加えて改正道路交通法の施行を皮切りに、'23年7月より全国21カ所で自治体や企業主体となる「LUUP for Community」の小規模な実証実験と試験提供の実施に至った。

これまでも自治体からLUUPの導入を希望する声は多くあった
人口の多い都市部への展開に留まっており、地方への進出ができない状況にあった
実証実験の完了と改正道路交通法の施行を皮切りに、「LUUP for Community」の試験提供が実現した
試験導入例。滋賀県米原市や東京都あきる野市、大分県別府市などで試験提供

Luup側は車両や各種必要となる機能を提供し、導入先の自治体などが導入費用を支払ったうえで、充電などの簡単なオペレーションを現地で担う。貸出は通常のLUUPと同じアプリを利用するため、無人で対応でき低負荷で運営できるとする。万が一のトラブルや事故発生時は、LUUPカスタマーセンターが対応する。

料金設定は、各地域での利用用途に合わせて設定可能。住民の日々の移動手段、観光客の移動手段、ホテル従業員向けの移動手段などさまざまな用途での使用を想定している。

1カ月からの短期導入も可能で、期間限定のイベントへの活用もでき、特定の期間だけ台数を増やすこともできる。冬場は積雪のためサービスを一時停止するといった、柔軟な運営も可能。

1カ月からの短期導入も可能
貸出は通常のLUUPと同じアプリを利用
既存の公共交通とLUUPの違い
導入方法

観光地やホテルの足に「LUUP」

試験導入から継続する栃木県芳賀町は、'23年7月に開業した宇都宮LRTの停車駅があり、LRTで来訪した観光客の移動手段や、停車駅である工業団地周辺の通勤者や出張者の移動手段としてLUUPが利用されている。

「芳賀町はLRTの開業を機に観光需要にも注力しています。特に「道の駅はが」は、2種類の源泉からなる日帰り温泉施設があり、LUUPを設置することでアクセスが良くなるため、町民や来町者の観光に役立てられればと思います」(芳賀町 町長 大関一雄氏)

芳賀町でのLUUP利用
芳賀町 町長 大関一雄氏

北海道美瑛町では、観光スポットである「白金青い池」方面への路線バスが1日5本しかない、時間帯によってはタクシーなどの移動手段がない、観光バスはハイシーズンのみの運行といった課題を抱えていた。

LUUPの導入によりこうした課題を解決でき、また複数の丘を周遊するのにも電動マイクロモビリティであれば楽に登板できるといったメリットもあったという。

北海道美瑛町でのLUUP利用導入メリット

沖縄県名護市のカヌチャリゾートも継続導入。約80万坪と県内最大規模の敷地面積を有するリゾートホテルで、施設内に6ポート計23台の車両を導入している。

これまでホテル内の移動は、宿泊者はレンタルカート、従業員は社用車などを利用していたが、LUUPを導入したことにより小回りのきく移動手段ができ、特に従業員からはなくてはならない存在になったという声が挙がっている。宿泊者は施設内だけでなく周辺地域の散策にも利用しており、今後はエリア展開等も検討している。

沖縄県名護市のカヌチャリゾート施設マップ
小回りのきく移動手段としてLUUPが活用されている

西武ホールディングスは、西武秩父駅と飯能駅周辺に導入。秩父や飯能は、一次交通である鉄道駅を降りた後、バスやタクシーの運転手不足などから二次交通の本数/台数が少なく、効率よく観光スポットを回遊することが難しいという課題があった。

LUUPの導入によりこれらの課題が解決でき、実際にユーザーからは「始バス前に雲海を見にいけた」「バスを乗り継ぐと時間のかかるアニメ聖地巡礼に使える」「普段いかないお店など目的が増える」といった声が挙がった。

西武ホールディングスでは、西武秩父駅と飯能駅周辺に導入

このほかLUUP for Communityの導入は、福井県おおい町、京都府舞鶴市、福島県郡山市、栃木県佐野市などが試験提供から継続を決定している。

今後は、高齢者も乗ることができる3輪~4輪の車両を導入すべく研究開発を進めていくという。