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ドコモ前田新社長、「通信品質の向上」に注力

NTTドコモ 前田義晃新社長

NTTドコモは18日、前田義晃新社長の就任会見を開催した。「お客様起点の事業運営」に向けて、通信サービス品質の向上にまず注力するほか、金融等の「新たな価値創造」にも取り組むと語った。

前田新社長は、リクルートを経て、2000年にNTTドコモに入社。iモードの拡大のほか、iチャネルやiコンシェルなどのサービスに携わり、直近では代表取締役副社長 スマートライフカンパニー長を努めた。通信のドコモではなく、スマートライフ側を主導してきた人物だ。

その前田新社長が、まず注力する領域として言及したのが「通信サービス品質の向上。広帯域・大容量はSub 6周波数帯での5Gエリア展開を進めるほか、Sub 6エリア拡充を主軸とし、最新型基地局装置への迅速な移行を推進するという。

2023年初頭から、ドコモの通信品質において「繋がらない」という声が高まった。ドコモでも多くの対策を行ない、改善を報告しているが、この点の強化を当面の課題とする。前田社長は「ユーザーからのネガティブな声は80%以上減り、対策の効果はあった。ただ、通信品質については常に強化していかないといけない。全国でSub 6の集中投下を行ない、期待に答える」と説明。2024年度末までにモバイルネットワーク体感の評価指標Opensignalでナンバーワンを目指すとした。

新たな価値創造については、dポイントを軸に事業強化。特に金融サービスを強化し、「一番身近なマネーライフのパートナーを目指す」とした。

具体的には、「お金のこと」をワンストップでドコモで担えるよう、決済、口座、投資、融資、保険などの金融サービスを揃える。また、要望やユーザーごとの状況をデータとして把握し、ライフステージやライフイベント、資産に応じた金融サービス提案などを行なう。

なお、ドコモのグループ内には「銀行」が存在しないが、「決済(d払い)には強みがあり、昨年からも取扱高を大きく伸ばしている。PayPayや楽天カードとも競争しており、投資や融資も強化している。銀行口座も重要な機能で、我々としても必要だ。どうやって実現するか? 三菱UFJとの提携などパートナー連携もやっているし、最難関だが、自分たちで立ち上げる方法もあるかもしれない。様々な検討を進めているが、お知らせできるタイミングが来たら発表したい」と語った。

エンターテイメントも強化領域の一つに挙げる。動画配信の「Lemino」では次世代スターを作り上げる「PRODUCE101」でアクティブユーザーが拡大。「スターを生み出す」機能を担うとともに、「スポーツやライブ会場での観戦スタイルをアップデートしていく」とする。

一例として、「IOWNを使って複数の会場を結び、音響技術を連動させて、リアルな臨場感を損なわずに再現する。日本中のドコモの運営会場であれば、同じクオリティ、同じ感動を味わえる。(抽選)高倍率のライブでも絶対参加したい、という声に答えられる。新しい形で感動そのままに、心躍る体験を実現できる。これを、スポーツ、音楽、お笑いライブなどで実現したい」と説明。また、国立競技場の運営にも参画し、「Jリーグファンから期待の声を頂いた」としており、新たな体験価値の提供を目指すとした。

研究開発は、衛星やHAPSを使った「NTN(Non Terrestrial Network、非地上網)」などを強化。また、AI時代を見据えて、6Gに向けた研究開発を強化するとともに、「国際標準化をリードしていきたい」とした。