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人工衛星データで野菜出荷を予測し広告連動 電通・JAXA・JA嬬恋村

電通と宇宙航空研究開発機構(JAXA)、JA嬬恋村の3者は、野菜の出荷時期と広告を連動させるなどの共同実証を開始する。衛星データから野菜の収穫時期を予測し、調味料など野菜関連の商品の広告をタイミングよく出稿するといった、需給や広告の最適化を目指す取り組み。

電通とJAXAは、JAXA宇宙イノベーションパートナーシップ(J-SPARC)のもとで、2022年7月から人工衛星データ活用による広告の高度化と、需要創出・需給最適化の実現に向けて、コンセプト共創活動を進めてきた。

今回、この取り組みに群馬県の嬬恋村農業協同組合(JA嬬恋村)が加わり、三者の事業共同実証を始動させる。広告の高度化を通じた需要創出・需給最適化に加えて、農業の生産現場のニーズを踏まえた価格の安定化、生産者の収入の安定化、農作物の廃棄ロス低減など、社会課題解決に貢献していくことを目指す。

電通とJAXAは、2022年度に、野菜(キャベツ)の供給が増えるタイミングに合わせて、調味料など関連食品の広告出稿タイミングを最適化することを目指し、衛星データを用いてキャベツの生育状況を観測、その収穫時期を正確に予測する解析手法の検討を開始している。

2023年度には、JA嬬恋村において、衛星データの解析結果と、現地調査から得られるキャベツの詳細な生育状況を評価して、収穫時期と供給量の予測を、より精度高く行なえる手法を開発した。予測結果は、同シーズンにおけるJA嬬恋村全体の実際のキャベツ収穫量と概ね近い結果となったことから、今回のJA嬬恋村参画の契機になった。

今回の共同実証にJA嬬恋村が参画することで、詳細な現地情報として、定植期から収穫期までの現地の生育状況、天候状況を正確に把握でき、解析結果に対するフィードバックを得ることが可能になる。

電通は出荷時期や出荷量、市場価格の予測精度を上げ、関連広告の出稿タイミングをリアルタイムで最適化していく。すでに、今シーズンにおける出荷時期などの予測に向けて、データの計測や解析が開始されている。

また2023年から、小売店など一部流通と連携し、キャベツの供給量が上がるタイミングで、売り場でも需要を高める販売促進などの取り組みを実施。2024年度は、これをさらに強化・拡大して、店頭と広告をより連動させた多面的展開を目指していくとしている。

こうした取り組みで、現場のニーズを踏まえた価格の安定化や廃棄ロス低減などに取り組んでいく。