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ホンダと三菱商事、EV新事業で新会社「ALTNA」

本田技研工業(Honda)と三菱商事は、新会社「ALTNA(オルタナ)」を7月に設立する。EVの社会実装と、脱炭素社会の実現にむけた課題解決を目指す。

'23年10月に締結した、脱炭素社会における電気自動車(EV)の普及拡大を見据えた新事業創出に向けた覚書に基づいて設立。事業内容は、バッテリーリース事業、リパーパス蓄電事業、スマート充電事業など、

Hondaが持つEV・バッテリーの制御技術やコネクテッド技術と、三菱商事が持つ蓄電池運用やスマート充電などの電力ビジネスに関する知見を組み合わせ、EVユーザーのTCO(Total Cost of Ownership:総保有コスト)を低減する新たなモビリティサービスと、EVバッテリーを長期に活用する新たな電力事業の展開を目指していく。

ALTNAが提供するサービス概念図

バッテリーリース事業

バッテリーリース事業は、Hondaが10月に発売を予定している新型軽商用EV「N-VAN e:(エヌバン イー)」を皮切りに、両社の関連リース会社との連携による新しいリース商品の販売を開始する。

車両のリースを行なう際、バッテリーの所有権をALTNAが保有し、リース期間中からバッテリー使用状況をモニタリングする。将来のバッテリー劣化予測を含めた継続的なモニタリングにより、バッテリーのSOH(電池の容量劣化状態を表す指標)を含めた信頼性を高め、新車時から中古車まで長期にバッテリーを利活用するライフサイクル事業を展開する。

車載利用期間終了後はバッテリーを回収し、系統用蓄電池事業(リパーパス蓄電事業)へ転用。車載から定置用まで、バッテリーを長期で利活用することを前提としたリース価格の設定により、EVユーザーの経済的負担の軽減に貢献する。

N-VAN e:バリュープラン

リースプランは2種類あり、Honda関連会社と連携した「N-VAN e:バリュープラン」と、三菱オートリースと連携した「N-VAN e:循環リースプラン」を用意する。

N-VAN e:バリュープランは、HondaのEVユーザーに向けた商品。新車オンラインストア「Honda ON」限定で、N-VAN e:の発売日となる10月10日から取り扱いを開始する。

N-VAN e:循環リースプランは、三菱オートリースによる15年におよぶEVの取扱実績に基づく独自のEVコンサルテーションプログラム「EV4CHANGE」を通じて提供。EV導入計画の策定から、充電器設置、EVの最適な利活用まで、法人顧客のEV導入時の課題解決を一気通貫でサポートしていく。

N-VAN e:循環リースプラン。三菱オートリースのEVコンサルテーションプログラム「EV4CHANGE」を通じて提供

リパーパス蓄電事業

リパーパス蓄電事業は、車載利用を終了したバッテリーを系統用蓄電池に二次利用し、運用を行なう電力事業を展開。電力の安定化を図るための調整力を提供し、再生可能エネルギーの普及拡大にも貢献するとしている。

車載利用時からバッテリーの状態を継続的にモニタリングし、得られるデータを基に回収したバッテリーを最大限活用することで、長期的・安定的な運用に結び付ける。系統用蓄電池としての利用が終了したバッテリーは、循環型のものづくり実現に向けて適切なリサイクルにつなげていく。

スマート充電事業

スマート充電事業は、先進のエネルギー制御技術を活用し、電力網の需給逼迫時を避けてEV充電を行なうことで、EVユーザーの電力コストを最適化するEV充電プランを提供する。

エネルギー制御システムと車両を連携することにより、クルマの利用スケジュールに合わせて、最も電力の調達コストが安くなる時間帯に自動で充電することで、ユーザー自身で充電時間を考慮する手間もかからず、EV利用コストの低減に寄与する。

また、電力網で再生可能エネルギーの余剰が発生する時間帯に充電することでグリーン化にも貢献する。将来の市場開放を見据えた、V2Gサービス(Vehicle to Grid:電力網からEV充電のほか、EVに蓄積した電力を電力網に供給する技術)の提供に向けた検討も進めていく。