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ツインタワーの新街区「ブルーフロント芝浦」 S棟が25年2月竣工

中央のクレーンを使った工事が行なわれているタワーがS棟。右は浜松町ビルディングで、この場所にN棟が建設される

野村不動産とJR東日本が推進する「芝浦プロジェクト」の街区名称が「BLUE FRONT SHIBAURA(ブルーフロント芝浦)」に決定した。地上43階のS棟と地上45階のN棟の2棟で構成され、このうちS棟が2025年2月に竣工する。N棟は2027年度着工、2030年度竣工予定。

芝浦プロジェクトでは、浜松町ビルディング(東芝ビルディング:東京都港区芝浦1-1-1)の建替事業として、高さ約230mのツインタワーの建設が進められる。区域面積約4.7ha、延床面積約55万m2の、オフィス・ホテル・商業施設・住宅を含む大規模複合開発で、開発期間はS棟着工の2021年からN棟竣工の2030年度まで約10年間に及ぶ。

S棟(左)とN棟(右)完成時の模型

開発スケジュールは「S棟工事期」「S棟開業&N棟工事期」「全体開業期」の3段階で進められており、現在はS棟工事期となる。

N棟は浜松町ビルディング(手前)解体後、'27年度建築着工予定で開発が進められる。奥はS棟
S棟建設前の現地の様子('22年5月撮影)

S棟の外観の特徴は、カーテンウォールによる表情の変化。海の見え方が空の色により変化するように、空模様や時間帯、見る角度などにより印象が変わる。

プロジェクトでは、「水辺ならではのライフスタイルを創造し、これを広め、東京のベイエリアをつないでいく」ことを目指しており、BLUE FRONT SHIBAURAの名称は、「東京都心部における空と海の最前列である同プロジェクトが持つ、圧倒的な開放感」を表現したという。

ブルーフロント芝浦の開発意義として、ベイエリアと東京都心部の結節点「つなぐ“まち”」の創出を挙げる。東京ベイエリアではブルーフロント芝浦のほか、晴海フラッグのまちびらきが行なわれたほか、築地の大規模開発が予定されており、また至近では高輪ゲートウェイや品川の再開発も進み、今後の成長が期待されている。

一方、都心部では新宿、渋谷、日本橋・八重洲、虎ノ門・麻布台といったエリアで大規模複合施設が開業し、今後もさらに再開発が進められる。

浜松町駅周辺エリアは、ベイエリアと東京都心部の結節点といえる場所となっており、かつ羽田空港から都心部への玄関口でもある。また、周辺ではブルーフロント芝浦のほか、浜松町駅西口地区で「世界貿易センタービルディング」建替えを含む再開発が進んでおり、竹芝地区には2020年度に東京ポートシティ竹芝とウォーターズ竹芝が竣工・開業した。

一番右の黒い建物が東京ポートシティ竹芝。一番左側がブルーフロント芝浦
世界貿易センタービルディングはすでに解体され、建替工事が進められている。右は日本生命浜松町クレアタワー
解体前の世界貿易センタービルディング('22年5月撮影)

こういったことから同エリアでは観光客等の来街者および就労人口の増加を見込めるとし、芝浦一丁目、浜松町駅西口、竹芝の三地区の機能連携も推進し、回遊性向上とにぎわい創出を図る。

さらに、ブルーフロント芝浦は都内有数の舟運ターミナルである「日の出ふ頭」や、芝浦エリアを流れる「芝浦運河」と近接している。これらを活かす船着場整備および舟運の新航路開拓等を行なうことで、新たな交通手段として期待されている舟運の活性化や水辺のにぎわい創出に取り組む。具体的な取り組みとして、東京湾クルージングとともに晴海〜芝浦・日の出区間の舟運サービス「BLUE FERRY(ブルーフェリー)」の運航を、5月22日に開始した。

日の出船着場
日の出船着場がある施設「Hi-NODE」
ブルーフェリーで使用される船
写真左側にあるのが晴海の船着場。すぐそばに「ららテラス HARUMI FLAG」(写真右)がある
晴海の船着場('24年2月撮影)

S棟の高層階(35~42階)では、日本初進出のラグジュアリーホテル「フェアモント東京」が'25年夏ごろ開業予定となっており、ブルーフェリーとは別に、ホテルサービスと一体になった専用船でのクルージングを提供する。都心の水辺に合わせて設計された専用船は、浅草や豊洲市場といった観光地、大手町、日本橋などの都心、羽田空港へのアクセスが可能。今後、日の出は様々な船が運航できる都内有数の舟運拠点になるとしている。

S棟開業に向け、浜松町駅からの動線も更新。現在の歩行者動線は老朽化が進み、バリアフリーなども行き届いていないことから、機能的なアップデートを実施する。駅からの歩行者空間が整備されるとともに、線路をまたぐ動線が2本追加される。

現在の歩行者動線は老朽化が課題となっている
S棟28階から見た浜松町駅周辺の様子。写真右上が浜松町駅。モノレールの下の部分などで動線整備が進められているのが見える

S棟のオフィス空間は多種多様なワークスペースが特徴。オフィス専有部において約10%を共用部とし、集中ブースやミーティングブース、フィットネスエリアなど、様々な機能の共用部を設置する。

中でも象徴的なのはワンフロアすべてを共用部とした28階で、フロア面積約1,500坪の広さの中に、会議室エリア、ラウンジエリア、バケーションエリア、テラスエリア、ウェルネスエリア、共創エリアを設置する。発表会では、工事中の28階を取材することもできた。

テラス付きの共用部「スカイラウンジ」 (c)Gensler
テラスエリア
テラスエリアからの晴海フラッグ方面の眺望
ウェルネスエリアが設置される場所
東京タワー、虎ノ門方面
品川方面。天気の良い日には富士山も望めるという
レインボーブリッジ方面

また、ワーカーが快適に施設を利用できるよう、会議室などの予約に利用できる専用アプリの開発を進めている。

低層部の商業施設は、飲食店を中心に約40店舗で構成。芝浦運河や船着場、浜松町駅との緑のアプローチとシームレスにつながり、水辺に面したバルコニーや緑に囲まれたテラス等、自然を感じられる空間づくりを行なっている。

周辺には飲食店が少ないこともあり、平日はワーカーのランチおよびディナー利用を想定。イベント施設としての機能も兼ね備え、週末には地域住民が集まるコミュニティ醸成の場となることを目指す。

運河に面するフードホール
左から、JR東日本 執行役員 マーケティング本部副本部長 竹島博行氏、野村不動産ホールディングス 代表取締役社長 新井聡氏、野村不動産 代表取締役社長 松尾大作氏