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京王、新型車両「2000系」導入 立体交差や駅設備に約400億円
2024年5月10日 19:45
京王電鉄は、京王線に新型通勤車両「2000系」を導入する。2026年初めに10両1編成の営業運転を開始し、2027年3月までに10両4編成を導入する。2024年度は立体交差事業の推進やホームドアの拡充、駅の整備などを含め、総額398億円の設備投資を計画している。
新型車両のコンセプトは、「もっと、安全に、そして安心して、これからもずっと、のっていただける車両を。全ての世代に、やさしく、そして、ワクワクしてもらえる車両を」としている。
幅広い世代の利用者の声や社員などから得られたニーズを分析、人の感性を分析できるAIなども用いて、コンセプトにマッチする外観デザインや内装にしたという。そのデザインは、車両前面、側面、内装ともに円をモチーフにしており、優しさを感じるデザインとした。
5号車には、子育て世代やシニア世代などを主な対象として、京王初の大型フリースペース(仮称)を設置するのも特徴。ほとんどの座席が廃止されており、ベビーカーや車椅子でも利用しやすいエリアになる。子供に喜ばれるという大型窓も設置される。
環境性能では省エネ性能を向上させる新型のVVVFインバータ制御装置を導入し、消費電力の削減や車両の軽量化も図る。
車両の内部には、パナソニックの「ナノイーX」方式の空気清浄機を各車両に2台搭載、車内環境の向上を進める。DXの推進として次世代の車両情報管理装置を採用、安全性向上や鉄道オペレーションの高度化・効率化を進める。
このほか車両にはリアルタイムに映像を伝送できる防犯カメラが設置される。車内非常通話装置の双方向化、車椅子スペースの機能拡充、ドア付近の吊り手の増設なども行なわれる。
なお6月1日にはYouTubeの京王電鉄公式チャンネルにて、新型車両の開発や構想にフォーカスした動画が公開される予定。
立体交差を推進、ホームドアやタッチ決済改札を拡充
京王電鉄では、2024年度に総額398億円の設備投資を計画している。
京王線の笹塚駅~仙川駅間では、連続立体交差事業を推進、2024年度は、全工区で仮線準備工・高架橋の構築などが進められる。この事業完了時には25カ所の踏切が廃止される。
ホームドアは、2024年度は永福町駅、久我山駅などで整備が進められる。京王線は2030年代前半、井の頭線は2020年代中頃の全駅の整備を目指す。
このほかホームと車両の隙間対策、踏切の障害物検知装置の新設、耐震補強や豪雨対策、さらなるバリアフリー化が進められる。
2018年から運行している座席指定列車「京王ライナー」はサービスを拡充し、5000系新造車両2編成(20両)の増備と、「京王ライナー」の運行本数の拡大を進める。
駅などに設置の「お客さま案内ディスプレイ」については、遅延などの異常時には外国語による表示に対応するなど、多機能化を進める。2024年度は府中駅など24駅に導入する計画で、全駅への整備を目指す。
このほか聖蹟桜ヶ丘駅や久我山駅などでは、行先案内盤を従来の4色表示からマルチカラー型に更新、視認性を向上させる。
駅施設は、京王稲田堤駅でリニューアル工事を実施。新宿駅新線口改札内のエスカレーターは老朽化に伴う更新工事を実施する。南大沢駅と神泉駅では旅客トイレのリニューアル工事を実施し、幼児用小便器の新設など、子供用設備も拡充する。また駅施設の照明はLED化が進められる。
クレジットカードなどのタッチ決済やスマートフォンのQRコードで改札を通過するサービスは、一部駅で実証実験を進めている最中だが、これに対応する自動改札機は、2024年度内に全駅へ拡大する。