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新型ルンバ、大幅値下げで「すべての家庭にロボット掃除機」を目指す
2024年4月17日 18:00
アイロボットジャパンは17日、ロボット掃除機ルンバの低価格モデルとして「Roomba Combo Essential robot(ルンバ コンボ エッセンシャル ロボット)」(39,300円)と、中価格帯モデル「ルンバ コンボ j5+」(108,700円)、「ルンバ コンボ i5+」(79,000円)を発表した。
いずれもゴミを吸引しながら水拭きできる機能を搭載し、従来モデルから機能をアップデート。しかし価格は最大20,000円ほど下がり、実質値下げとなった。
低価格モデルの「ルンバ コンボ エッセンシャル ロボット」(39,300円)は、2022年発売の「ルンバ i2」(39,800円)の後継機種にあたる。i2は吸引機能のみだったが、エッセンシャルは吸引と同時に水拭きもできる2in1に進化しながら価格を下げて展開する。
中価格帯シリーズはさらに値下げ幅を拡大。いずれも通常のダスト容器とは別に、水拭き対応のダスト容器が付属し「交換式 2in1」仕様が特徴。吸引だけをしたいときは通常のダスト容器、吸引と水拭きをしたいときは水拭き対応のダスト容器に付け替えて掃除ができる。
「ルンバ コンボ j5+」(108,700円)は、2022年発売の「ルンバ コンボ j7+」(129,800円)の後継機種にあたる。j7+にも水拭き機能を搭載していたが、j5+ではダスト容器がもう1つ追加され、掃除用途にあわせてダスト容器を選んで使えるようになった。機能はほぼ変わらず、むしろダスト容器が1つ追加されながらも約20,000円値下げされる形となった。
「ルンバ コンボ i5+」(79,000円)は、2023年発売の「ルンバ i5+」(89,800円)の後継機種にあたる。ルンバ i5+は吸引機能のみだったが、ルンバ コンボ i5+は水拭きもできるようになったうえ、約10,000円値下げされた。
一家に一台ロボット掃除機がある時代
新機種で価格を下げた理由には、「すべての家庭にロボット掃除機がある時代」を同社が目指していることが大きく関係する。
現在、日本国内において同社のロボット掃除機は累計出荷台数が600万台を突破。中期目標としていた「国内の自社ロボット掃除機、世帯普及率10%」を達成した。
「生活家電は世帯普及率10%を超えると一気に普及する傾向にあるとされており、私たちもその数字を目標に掲げていました。2024年現在、まさにその世帯普及率10%を達成し、この数字はまさにキャズムの入口にあると捉え、ここから先ルンバはアーリーマジョリティーというマーケットの主流に入っていくというビジョンを描いています。
こうした背景から2024年はキャズムを越えていく非常に重要な年として捉えており、いかに普及率を上げるか、アイロボットだけでなくロボット掃除機市場全体を盛り上げていく鍵となるのではと考えています。そしてそのために必要なのが新製品、特に普及価格帯の新製品が重要となります」(アイロボットジャパン 代表執行役員社長 挽野 元氏)
値段設定に関しては、昨今の円安や部材高騰などの影響もあり難しい面もあったが、「ロボット掃除機は生活を激変させる商品です。使ってそれを実感してもらうため、我々としては普及率拡大の役割を担いたく、使命感でこの価格に設定しました」とアイロボットジャパン 製品&戦略開発担当ディレクター 山内 洋氏は説明した。
新製品の機能詳細は家電 Watchを参照いただきたいが、ルンバ コンボ エッセンシャルは、上位モデルなどと比べると機能が絞られている。
掃除システムやブラシの種類などに違いはあるが、スマホで操作できる機能は搭載し、吸引力の強さや水拭き時の水分量調節などはスマホから行なえる。「ターゲット層を幅広く設定しているので、シンプルに使ってもらえればと思います」と挽野氏は話す。
エッセンシャルには非搭載だが、ルンバ コンボ j5+とルンバ コンボ i5+には、自動ゴミ収集のクリーンベースが付属。ロボット掃除機本体のダスト容器から掃除後のゴミを自動で吸引するため、ゴミ捨ての手間を省き、最大1年間ゴミ捨て不要としている。
2機種の違いについては、ルンバ コンボ j5+はロボット掃除機本体にカメラを搭載し、掃除中に障害物を避ける機能を搭載。電源コードやペットのフンなどを避けながら走行するため、運転前の片付けを不要としている。このほか、部分清掃や進入禁止エリアの設定などもj5+では行なえる。
なお、自動ゴミ収集に関しては、いずれも本体に水拭き対応のダスト容器を装着している場合、吸引と水拭きは同時に行なえるが掃除後の自動ゴミ収集には非対応。本体のダスト容器で集めたゴミは手動で捨てることになる。
2つのダスト容器の使い分けとして山内氏は、「基本は吸引のみの通常ダスト容器による掃除で、クリーンベースのゴミ収集機能も利用してもらえればと思います。週に1回床拭きダスト容器に付け替え、吸引と水拭きを同時に行なってもらうという使い方を想定しています。床拭きダスト容器を使った際は、使用後にモップパッドを外す必要があるため、ダスト容器のゴミ捨てもそこで一緒に行なってもらえればと思います」と説明した。
指定価格販売制度を導入
今回発表した新製品より、アイロボット認定販売店において指定価格での販売を開始。在庫リスクをアイロボットジャパンが負担する形となり、公平かつ適正価格での販売を行なっていくという。指定価格制度の導入により、認定販売店にはヤマダ電機が新たに加わることとなった。
「製品価値をきちんと消費者にお伝えし適正な価格で販売することが、最終的には買われる方のメリットになるという考えで導入します。さまざまな売り方をされる流通様がいるなかで、私たちはこういう考えでやっていきたいと、長い時間を掛けて話し合い、指定価格制度が決まりました。特に普及価格帯をより広げていくためには値段だけでなく、本当に家がきれいになるという使った実感、生活が楽になるという点が非常に大事だと思っています。そういった形で販売店の皆様とビジネスをやっていきたいというのが、制度導入の背景にあります」(挽野氏)
ロボット掃除機市場は数年前までは国内メーカーもさかんに新製品を開発していたが、現在は中国メーカーの台頭が著しい。いずれもルンバと同じく、充電時のゴミ自動吸引機能や水拭き機能、障害物回避機能を備えているモデルが多く開発されている。
競合メーカーについて記者から質問が挙がると、挽野氏は以下のように回答した。
「市場が盛り上がること、また選択肢が増えることは良いことだと我々は捉えています。製品が多く開発されることは市場に可能性があるということですし、お互いに切磋琢磨して良いものを作っていければと思います」
また、Amazonによる買収が破談になり、空気清浄機事業の停止などが1月に発表されたが、日本で発売されてから日が浅い空気清浄機のサポート体制に変更があるか記者に問われると「サポートの変更はまったくなく、引き続きお客様へのサポートを続けていく」と回答した。