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LUUP、歩道を走らせないナビ機能 交通ルール遵守を強化

LUUPは、電動キックボードや電動アシスト自転車のシェアリングサービスにおいて、「ナビ機能」の試験提供を3月下旬より開始する。ナビタイムジャパンとの連携により実現するもので、NAVITIME APIの自転車ルート検索機能を活用し、LUUP利用時の推奨ルートをアプリ画面上に表示する。まずはiOSで東京エリアのみで開始する。

左が従来のナビ、右がLUUPのナビ機能。大通りを避けて、歩道を走らないようにする

今回、自転車に適したルート検索機能を活用することで、LUUPのライドに対して出発ポートから目的地ポートまでの推奨ルートが、ライド開始と同時にアプリ内で表示される機能を開発。利用者のルート選択をサポートし、自動車・歩行者との接触による交通事故や、交通違反の削減を目指す。マイクロモビリティのシェアリングサービスで、アプリ内にナビ機能が導⼊されるのは日本初としている。

NAVITIMEと連携

ナビ機能では、LUUPで乗車ポートと行き先(返却ポート)を指定すると、電動キックボードや電動アシスト自転車に適したルートを案内してくれる。これまではLUUPアプリでは地図は出るもののナビは表示されず、ナビの利用にはGoogle マップなど別アプリを立ち上げていた。

また、ナビ表示も自動車や歩行者用のルートが示される場合もあり、必ずしもLUUPユーザーに適したものではなかった。そこで、ナビタイムの自転車用ルートをベースに、大通りを避け、歩道走行を禁止した独自のナビを行なうLUUP用のナビ機能を開発した。3月下旬から東京エリア限定で、iOSアプリ向けに開始。その実績データなどをナビタイムとLuupが共同で検証しながら、本格展開に向けた検討を行なう。

違反に繋がらない走行のための「ナビ」

2023年7月の改正道路交通法により、「特定小型原動機付自転車(特定小型原付)」という枠組みができたことで、LUUPなど「電動キックボード」のシェアリングサービスが“実証実験”ではなくなり、本格的なサービス展開が可能になった。

一方、この半年で新たなルールのもとでの違反も発生している。Luup代表取締役兼CEOの岡井大輝氏によれば、電動キックボードの違反の多くは「通行区分違反」なのだという。

Luup岡井大輝CEO

特定小型原付では、16歳以上が対象で、車道を20km/hで走行できる。ただし「歩道」については、6km/hの「歩道モード」を選ぶ必要がある。ここが電動アシスト自転車との大きな違いになっている。自転車の違反の取締件数も増えているが、電動キックボードならではの課題となっている。

自転車に近い特定小型原付のルール

LUUPでは、電動キックボードの利用前には交通ルールテストへの全問正解が必要で、違反した際のペナルティとしてアカウント停止なども行なっている。違反を行なうユーザーも多くは「専用モード以外での歩道走行禁止」などのルールは知っているはずだが、『仕方ない』『少しならバレない』といった考えも生じうる。

実際のユーザー調査でも、「(キックボードに適さない)わかりやすい大通りを通ってしまう」「ナビに案内される道が歩道」などの声があったという。

そのため、今回のナビ機能は、「そもそも違反に繋がらないような走行を促すもの」とする。歩道走行につながる道をルートとして案内せず、大通りの通行時間を短くするなど、違反を起こしそうなルートを選べないようにする。これにより、交通ルールの遵守、違反の抑止につなげていく狙いだ。

ダークモード

なお、ナビで表示されるルートは1つのみ。ナビタイムのアプリなどでは複数の選択肢を選べるが推奨されるルートだけを表示する。これは選択肢を増やして迷わないようにするため。また、今回のテスト中はルートを外れた際のルート再設定(リルート)も行なわない。