ニュース

おむつに排尿検知センサー スマホで交換タイミングがわかる

センサー(左)はおむつに組み込まれており、現場での作業は不要

東レは、おむつを直接視認することなく要介護者の排尿有無を把握できる、おむつ組み込みタイプの排尿検知センサーを開発した。今後実証を重ね、2025年度中の実用化を目指す。

要介護者の増加および労働人口減少に伴う人手不足により、介護現場の負担が増加しているという社会課題に向けた取り組み。

東レはこれまで、独自の半導体CNT(高性能半導体カーボンナノチューブ)複合体技術により、汎用フィルム上に水分の検出が可能なセンサーを作製して無線動作することを確認しており、その技術を用いた排尿検知センサーの開発を進めていた。しかし、実際におむつにセンサーを組み込むと、人体や尿そのものの水分の影響により無線通信ができない課題があった。

今回、水分に強い無線通信方式の採用や、水分の影響を受けにくいセンサー構成の検討を行なうことで、人体や尿の影響を受けずに無線通信を可能にする技術の開発に成功。介護施設入居者の協力で、自動での排尿検知動作を確認できた。

排尿検知センサーはやわらかなフィルム上に形成しているため、おむつの形状変化に追随し、要介護者は違和感なく使用できるという。また、フィルム上に回路を直接形成するため、既存のシリコン製半導体回路のようにフィルムから剥がれる恐れもないとしている。

センサーはあらかじめおむつに組み込まれているため、介護者は現場で特別な作業をすることなく、通常のおむつと同様に使用、廃棄できる。

交換タイミングはパソコンやスマートフォン、タブレット上で確認でき、おむつを直接視認する必要がないことから、おむつ交換回数の最適化による負担軽減や、おむつ使用量の低減を見込める。

さらに、センサーの組み込み方を工夫することで排尿をリアルタイムに検知するとともに、データを蓄積、活用することで排尿タイミングを予測し、トイレへの誘導を行なうなど自立支援に向けた取り組みへの活用も期待できるとしている。

フィルム上に半導体回路を直接塗布形成する技術は、設計自由度が高く、安価で小ロットのニーズに対応可能。東レは滋賀事業場に塗布型半導体を生産可能なパイロットラインを導入済みで、社外パートナーとも連携することで同センサーを用いた排尿検知システムの早期の製品化を目指す。

なお開発にあたっては、おむつへの組み込み方式を大人用おむつメーカーの光洋と共同で検討、動作実証では三幸福祉会 杜の癒しハウス文京関口の協力を得ている。