無人で荷物を受取れる"ドローンポート"　KDDI・JAL・JR東など6社が実証

KDDI、JAL、JR東日本など6社は、東京都江東区豊洲5丁目で、ドローンポートを活用した医薬品授受管理の実証を2月13日～2月22日まで実施した。

東京都の「ドローン物流サービスの社会実装促進に係る実証プロジェクト」に基づき、都内におけるドローン物流サービスの早期の社会実装を目指すもの。2023年12月に実施した日本初となるレベル4飛行での医薬品配送に続き、ドローンポートを使って、輸送された医薬品の安全な授受と、授受管理の省人化に向けた検証が行なわれた。

ドローンによる物資輸送サービスが社会で広く利用されるためには、ドローンの安全運航のほか、配送物の安全かつ確実な授受と、授受管理の省人化による利便性向上などの実現が必要になる。

これまでの実証ではドローンが着陸する際の安全管理や、配送物の受け取りなどに人員を配置する必要があった。本実証では、荷物の格納が可能なドローンポートを使い、離着陸場所を、医療機関に隣接した場所に構築。ドローンによる医薬品輸送サービスに求められる離着陸時の安全確保や、配送物の授受管理の利便性について検証した。

実証期間中は、病院関係者約40名も参加し、ドローンポートを用いた医薬品輸送を体験。体験者からは、「ドローンポートを省スペース化し、病院の屋上など院内に設置してほしい」というコメントのほか、東京都病院薬剤師会の後藤一美会長からは「医薬品を受け取るだけではなく、病院からの発送も可能になれば、薬の返品もできるのに加え、緊急時の病院間での医薬品の融通も期待できる」「ドローンポートを利用し夜間にも医薬品の配送が可能になると、病院および医薬品卸会社の双方で人員が少ない時間帯の省人化につながる」など、将来の医薬品物流の進展に期待するコメントが寄せられている。

使用したドローンポートはIHI運搬機械社製で、本体サイズは2.4×2×4.8m(高さ×幅×奥行き)。運搬可能な荷物のサイズは260×340×200mm(幅×奥行き×高さ)、重量は最大2.7kg。

IHI運搬機械社製ドローンポート

ACSL社製「ACSL-PF2」

社会実装に向けては、設置場所に適したサイズのドローンポートが求められていること、ドローンポートとドローン間のシステム連携が必要であること、高精度な着陸やより多くのペイロードを運搬できるドローンが求められていることなどの課題・期待を把握できたという。

今後は、これまでに実施した医薬品輸送検証を通じて把握した技術面や運用面、ビジネス面の課題への対応策を引き続き検討し、ドローンによる医療物資輸送サービスに必要な安全運航体制やビジネスモデルの確立を目指していく方針。

2024年度には都心部でのレベル4飛行を見据えた長期的なドローンのサービス実証を行なう予定で、将来的には、ドローンを活用したまちづくりの実現に向け、物流をはじめとする多様なサービスの展開を目指し、実証を進める。

参加企業は、KDDI、KDDIスマートドローン、JAL、JR東日本、ウェザーニューズ、メディセオの6社。