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Amazonの衛星通信「カイパー」、100Gbpsの光衛星間通信に成功
2023年12月15日 12:54
Amazonが10月に2基のプロトタイプを打ち上げた低軌道衛星通信「Project Kuiper」(プロジェクトカイパー)は、100Gbpsの光衛星間リンク(OISL)のテストに成功した。これにより将来的に宇宙空間で衛星同士のメッシュネットワークを構築する。
プロトタイプ衛星である「KuiperSat-1」と「KuiperSat-2」で行なわれたもので、テスト期間全域にわたってほぼ621マイル(1,000km)の距離にわたり、100Gbpsのリンクを維持した。これにより、Kuiperの通信技術の検証が成功し、2024年前半に打ちあげ予定の最初の量産型衛星でOISLが動作することが確認できたという。
OISLは、赤外線レーザーを使うことで、衛星間でのデータ送信を行なう。そのため、個々の衛星と地上のアンテナとのデータ送信だけでなく、衛星コンステレーション内の他の衛星に直接データの送信か可能。最終的にはすべてのKuiper衛星に複数の光端末を装備し、一度に多数の衛星を接続。宇宙空間に安全で復元力のあるメッシュネットワークを形成する高速レーザークロスリンクを確立する。
これらの機能によって、コンステレーション全体でスループットが向上し、遅延も短縮され、陸、海、空、宇宙において、通信を利用できる環境を提供する。
OISLの利点は、地上の光ファイバーを使った通信よりも、宇宙空間における光通信のほうが約30%データを低遅延で伝送できることも上げられる。Kuiperでは、AWSのサービスとインフラを活用することで、データトラフィックのルーティングをするため、ネットワーク全体の遅延はさらに短縮できるという。
2024年後半にサービスを開始
OISLのレーザーリンクを確立して維持するには、光の広がりを最小限に抑えて強力な信号を発信できるようにし、最大1,616マイル(2,600km)の距離でリンクを確立する必要がある。さらに衛星は最大時速15,534マイル(時速25,000km)で互いに移動しており、互いの位置を補正しながら通信を行なう必要がある。Kuiperは、これらの課題に対処できる光学系と制御システムを設計して実装している。
テストでは、11月初旬に2つの衛星の光リンクに成功。1時間以上のテストで最大100Gbpsのデータ送受信を実証した。
Project Kuiperは、Amazonが推進する地球低軌道(LEO)に3,236基の衛星群を投入する衛星通信事業。2024年前半に本格的な配備を開始する予定で、2024年後半には、初期の顧客向けにサービスを提供可能な数の衛星を展開する予定。