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JR東海、水素動力の車両開発 CO2排出ほぼゼロ

JR東海は、水素を燃料とした「水素動力車両」の開発を目指す。水素を燃料とした動力源については「燃料電池」に加えて、「水素エンジン」の活用も検討しており、鉄道では国内外で事例がないという。

開発を進める水素動力車両は、軽油を燃料とするディーゼルエンジンの替わりに、燃料電池または水素エンジンを活用。燃料電池または水素エンジンから得られる電気と蓄電池の電気で走行する「水素動力ハイブリッドシステム」の導入を目指す。水素動力車両の導入により、走行時のCO2排出量をほぼゼロに抑えられるとしている。

山間部などに多い非電化路線への導入に向け、山間部の連続する勾配を走行可能な高い出力と、長距離走行が可能な高い効率性を備えたシステムの実現を目指す。

模擬走行試験は小牧研究施設にある車両走行試験装置にて行なわれる。この装置は、レールを模した軌条輪の上で台車を走行させることで、勾配等の実際の走行条件を模擬できる。

模擬走行試験では、燃料電池または水素エンジンを動力源として発電した電気と蓄電池の電気を、車両制御装置を介して車両走行試験装置の台車に装備された電動機に供給することで、この電動機を回転させて台車を走行させる。その際、山間部が多い非電化路線を念頭に、勾配等の様々な走行条件を模擬し、実車試験よりも充実したデータを、効率的に取得、分析する。

燃料電池と水素エンジンは、それぞれ出力やエネルギー効率等の特性が異なるため、模擬走行試験等で、これらを動力源とした場合の鉄道車両の走行性能や、山間部が多く長距離となる非電化路線への適合可能性等を検証する。

11月に燃料電池を活用した模擬走行試験を実施。2024年度以降に水素エンジンを活用した模擬走行試験を行なう。燃料電池はトヨタ自動車製の燃料電池モジュールを使用、鉄道車両用の水素エンジンはi Labo社と開発する。将来の水素供給体制についてはENEOSと検討を開始する。