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コクヨ、行きたくなるオフィスを顧客とともに作り上げる新スタイル

コクヨは、「東京ショールーム」「梅田ショールーム」の2拠点を、「いっしょにつくろう。」をコンセプトに展示改装を行ない、11月9日にリニューアルオープンした。同日、メディア向けに東京ショールームを公開した。

「いっしょにつくろう。」というコンセプトは、オフィスの価値や働き方において多様な個人の価値観を大切にし、顧客との対話を通してワークプレイスや商品等を、“いっしょに作り上げていく”というもの。例えばショールームには販売している商品のほか、製品化には至っていないプロトタイプ商品も展示し、顧客とコミュニケーションを取りながら作り上げる、かつ製品化までのプロセスも顧客が見ることができる場とする。

ショールームに展示されているプロトタイプ商品の1つとして、ボトル型のモバイルバッテリーがある。これは、オフィスにおいて机上に配線機能のないテーブルや、手元付近で電源がとりにくい場合で使用するもの。コクヨではそういった場所に設置するための「エナジーポール」などの製品を取り扱っているが、モバイルバッテリーであれば持ち運びができるのでデスクを移動しても使うことができるという考えからプロトタイプを制作した。

ボトル型のモバイルバッテリー
設置例
ボトル型モバイルバッテリーが展示されているエリア
エナジーポール

製品化前のアイデアの展示には、先に他社に類似商品を出されてしまうというリスクはある。しかしコクヨは「いっしょにつくろう。」のコンセプトのもと、こういった実験を通じて顧客の反応を見ることができ、改善点を探れるというメリットを重視している。

取り組みの根底には、これまでのメーカーが提供するものを顧客が購入して使用するという一方的で一過性の消費スタイルから、多様な価値観を双方向で継続的に創造するスタイルに変えていきたいという考えがある。それが今回のショールームリニューアルにもつながっている。

ショールームでは「KOKUYO New Communication 2024」と題して、コクヨが考える「スペース」「アイテム」「プロセス」「サイクル」の4つのアイデアから「いっしょにつくろう。」を提案。オフィスを通じて、働きがいや共創、ハイブリッドワーク、サステナブル、AI、心地よさの各視点で取り組む。

“「スペース」をつくろう”は、自分たちの手でアジャイルに空間をつくることを紹介するエリア。多様なレイアウトに変更できる事例やコンテンツで紹介する。

“「アイテム」をつくろう”では、VUILD社との協業で2022年11月にオープンしたコクヨのスタジオ「(0,0,0)studio genten(スタジオゲンテン)」に導入しているデジタル木材加工機「ShopBot」によって制作した事例やカスタマイズの取り組みを紹介する。

スタジオゲンテンでは、3DCADで設計したデータをダイレクトに製作できるデジファブ技術を活用することで、プロトタイピングを繰り返しながらアート作品や、内装、家具などをオーダーメードで作れる。通常、設計から製作まではかなりの時間を要するが、ShopBotであれば、設計書を送ってすぐに家具製作ができるという。

“「アイテム」をつくろう”の展示

“「プロセス」をつくろう”では、オフィスでワーカーが働く中での行動要素(アクティビティ)のうち、コクヨが今後重要となっていくと考えるアクティビティを7つに分類。コクヨが提案する「7アクティビティ」を基にしたサステナブルなオフィス構築プロセスを紹介する。

7アクティビティ

“「サイクル」をつくろう”では、オフィスは作って終わりではなく、アップデートしてくことで価値を維持、向上することができるとの考えから、ワークシーンをモジュール化し、モジュール単位でレイアウトを検討、状況に応じて配置の変更や入替えが容易な、サステナブルなオフィスを実現するコクヨ独自の手法を紹介する。

こういったアイデアを、「DAYS OFFICE」「Any Way」「SAIBI」の3つのブランドの形で展開する。

DAYS OFFICEでは、世代、性別、国籍等に関わらず、様々な人が一緒に働ける、かつ価値観を尊重しながらパフォーマンスを出していける環境を作ることを目指している。

具体的には、コミュニケーションラウンジをメインとしてテーブルやソファを設けた、いろいろな人が集まり、仕事上の付き合いを超えた会話を生む場を提案する。

DAYS OFFICE

Any Wayでは、これからはコラボレーションが大切であるというところに着目して、より目的をもって、意図をもってオフィスに行くからこそ、体を使うことでモチベーションも上げて、課題を解いていくということを提案する。キャスターをすべてに備え、メンバーの人数や時間、場の使い方に合わせて、フレキシブルに動かすことができる。

そういった中で、立ち話に近い形のクイックな打ち合わせができるスペースや、腰を据えて話をすることができるスペースなどを提供する。

Any Way

SAIBIは、従来プレミアムラインとして展開していたブランドをリブランディングしたもの。オフィスのカジュアル化が進んでいることから、高級感は継承しつつ、オフィス家具は白くて四角いものというイメージから脱却し、感性を呼び覚ますような豊かな環境にすることを目指す。例えば目線の高さが異なるような机を組むなど、いかにもなオフィスではない形なども提案する。

SAIBI

ショールームをリニューアルする背景には、コロナ禍以降のハイブリッドワークの広がりによる、働き方の多様化がある。オフィスは“行きたくなる場”“出社する価値のある場”へとアップデートすることが求められているという。

コクヨが会社員、総務担当者、経営者、役員の計206人を対象に実施した、オフィス環境に関する調査では、59%が出社するオフィス空間や働く環境への関心が高まった」と回答。そのうちの76%は「オフィス空間や働く環境づくりに関与したい」と答え、その理由として7割近くの人が、「効率よく働きたい」「自分が納得する環境で働きたい」などを挙げた。

また、「出社したくなる要素」については、「集中できる環境」「様々な人が集まってコミュニケーションできる場所や仕掛け」などの回答があった。

この結果から、ワーカーにとってオフィスづくりへの参画が、自らの働く環境への関心を満たす必要な要素となると考え、自分たちのやり方に合わせて家具やツールを手軽に自由に変えられるワークスペース、自分たちらしいアイテム、つくった後も状況に応じてアップデートし続けていくサイクルなどを、顧客とともに創出することを目指す。

ショールームではこれらの展示のほか、新商品など新しいプロダクトなどの提案も行なう。また、これまで3日間や1週間など短期間で実施していたフェアを、期間を切らずに1年間実施するなどして、コクヨの営業やマーケッターが顧客と対話し、新しいを価値を生み出す拠点にすることを目指す。

アクセスは、東京ショールームがJR品川駅 港南口より徒歩3分、東京品川オフィス(THE CAMPUS)北館3階・4階、梅田ショールームがJR大阪駅(アトリウム広場)より徒歩約5分、グランフロント大阪ナレッジキャピタルタワーC棟11階。ショールーム見学、ライブオフィス見学は事前予約制。