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「リスキリング」を企業も支援 経済同友会参画で20万人をデジタル推進
2023年10月31日 18:17
「日本リスキリングコンソーシアム」は31日、経済同友会との戦略パートナーシップを締結した。両社が協力し、年間20万人のリスキリング支援を行なうことで、政府の動きと連動した働く環境の充実を目指す。
リスキリングとは、新しい職業に就く、あるいは職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること。
日本リスキリングコンソーシアムは、グーグルを主幹とし、国や地方自治体、企業など200団体以上が参加。今回のパートナーシップにより、経済同友会が同コンソーシアムのパートナーとなり、日本におけるリスキリングの加速を目指す。
同コンソーシアムは、'22年6月に発足。200以上のパートナーに、1,200以上のリスキリングプログラムや就業支援サービスを展開し、8.5万人以上が利用している。
今回のパートナーシップにより、先進的なリスキリングに取り組む企業の実践的なとレージングを一般向けに公開。企業や団体で社内向けに作成され、研修や昇進試験に活用されているトレーニングを一般公開し、個人の学び直しやキャリアアップに活用する。
また、女性・地方のデジタルリスキリング支援でも協力。現在同コンソーシアムでは35講座の女性支援プログラム、373講座のテレワーク&働き方改革プログラムを用意しているが、この取り組みを拡大していく。
同コンソーシアムの講座は、1年間で8.5万人以上が利用し、リスキリングパートナーは105団体、ジョブマッチングパートナーは4倍の32団体となった。年代は25~44歳が62.7%、エリアは東京圏が55%と都市に利用者が偏っている傾向はでている。また、この一年で「AI」「サイバーセキュリティ」などの人気を集めているという。
また、スタート時は個人の申し込みのみだったものの、ニーズにあわせて企業など「団体受講」にも対応。スタートアップパートナー向けのマッチングなども開始している。
受講者の行動変容として、「リスキリングが習慣化した」、「キャリアプランを見直した」、「新たなプロジェクトに参画した」、「転職・就職活動を開始した」などポジティブな反応が61.4%となり、転職による給与アップ例なども出ているという。人気の講座は、データ分析、マーケティング、AIなど。
課題としては、エリア別で東京圏に偏っていること。また、男女比では男性62.3%、女性37.7%とジェンダーギャップがあり、成果の男女格差も認められているという。
今回の経済同友会とのパートナーシップによる各種プログラムは順次公開予定。また、スキルニーズ、トレーニングプログラムの有効性に関する検証や、企業における人材マネジメント改革に向けた事例の周知などに共同で取り組み、2024年内に年間20万人のリスキリング支援を目指す。
個人のリスキリングを企業が支援
経済同友会の新浪剛史 代表幹事は、日本の成長実現のためには「全世代の人財の活性化」が必要と語り、経営層、中堅、若手など全ての年齢層にリスキリングが有効であると言及。自身の経験も例に出しながら、「高い目標への挑戦が自分自身の成長につながる」と、リスキリングの重要性を語った。新浪氏は、振り返ると「キャリアデザインの観点が欠けていた」と述べ、リスキリングとともにキャリアデザインの視点も重要だとする。
また、これまでのリスキリングの課題として、「個人」に紐づいており、昇進や配置転換、転職、賃金アップなどのメリットが享受できていないこと、個人の経済的負担が大きいなどがあった。今回経済同友会が参加することで、企業のなかにリスキリングを組み込み、スキルの向上と賃金向上などに繋がる仕組みを作っていく。
自民党 デジタル社会推進本部 幹事長で前デジタル大臣の牧島かれん 衆議院議員は、「人生100年時代、高校卒業、大学卒業までで学んだことで、70歳まで働き続けるのか? 20年の知識だけで、その先50年間生きていくというのは無理が来ている。また、グローバル人材も少ないと実感している。これまでの日本はアナログ世界一だったが、そこから脱却して、デジタル先進国を目指し、その頂点を目指す。みなさんと共有したい目標があり、デジタル人材へと移行していく。20万人、さらにその先を目指していきたい」と言及した。
また、デジタル大臣時代もカウンターパートは女性が多かったこと、また体力に依存せず、リモートも活用できるデジタルでは、女性も活躍しやすいことなどを説明。日本リスキリングコンソーシアムと経済同友会の取り組みへの期待を述べた。