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「速すぎる」違法電動アシスト自転車に注意 国民生活センター

国民生活センターは、道路交通法の基準に適合しない電動アシスト自転車に関する注意喚起を行なった。該当自転車で道路を通行すると法令違反となるおそれがあるほか、販売事業者が検挙される事例も発生している。

電動アシスト自転車は走行中にペダルをこぐ力を、搭載されている電動モーターが補助(アシスト)する仕組みを採用。道路交通法施行規則では、搭乗者がペダルをこがないと走行しない構造であること、アシスト比率は人の力:電動力が最大で1:2であること、24km/hまでアシストしそれを超えるとアシスト機能を停止することなどが定められている。

そうした中、基準に適合しない車両で歩道を走行中、他の自転車に衝突する交通事故が発生し、当該車両の運転者が有罪判決を受けたほか、アシスト比率が道路交通法の基準を超えている車両を「電動アシスト自転車」と称して販売していた事業者が検挙されるなどの事例が発生している。

国民生活センターでは大手インターネット販売サイトで販売されている「電動アシスト自転車」について、道路交通法の基準に適合するかを調査。消費者に情報提供を行なった。

調査の結果、10銘柄中9銘柄でアシスト比率が道路交通法の定める上限値を超え、基準に適合していなかった。うち6銘柄は、その上限値を大きく超え、人の力をほとんど要さずに一定の速度まで加速していたという。

10銘柄中5銘柄は、商品が届いた状態でスロットルのような装置が付いており、その内の2銘柄は操作すると加速し、基準に適合していないと考えられる。

10銘柄中7銘柄には押し歩き補助機能と類似した機能が搭載されていたが、いずれも乗車した状態で作動してしまい、基準に適合していないと考えられる。
表示についても調査しており、すべての銘柄で、購入した販売サイトに、自転車として道路の通行が可能である旨を明示、もしくはそれをほのめかす表現があった。

3銘柄の取扱説明書には、24km/hを超えるアシスト機能を停止する速度が記載されていたほか、その速度の変更方法に関する記載があったという。国民生活センターが公開した実験動画では、44km/hまで達し、「原付きより速い」という事例も紹介している。

また、すべての銘柄にバッテリーとバッテリー充電用の充電器が付属していたが、7銘柄では電気用品安全法のPSEマーク等が正しく表示されていなかった。

国民生活センターでは消費者に対して、道路交通法の基準に適合していない、またはその可能性がある電動アシスト自転車を所持している場合は、道路の通行を控え、購入先・製造元等に対応を確認するよう呼びかけている。

購入の際は、今回のテスト結果を参考にするほか、型式認定のTSマークやBAAマークを目安にすることを推奨。

購入後にアシスト機能を停止する速度を変更できることや、スロットル操作で走行してしまう仕様から電動アシスト自転車に仕様変更できることをうたった商品は、道路交通法の基準に適合していない可能性があるため、購入前に事業者に問い合わせるなどして慎重に確認するよう呼びかけている。

インターネットショッピングモール運営事業者には、出品者に対し、付属品を含めて関連法令を遵守し、適切に製造・輸入・販売するよう周知するとともに、明確な広告表示によって消費者の求める商品を選択できるよう、広告表示について注意喚起の協力を依頼するとしている。協力依頼先は、アマゾンジャパン、LINEヤフー、楽天グループ。