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小田急、路線バス車両と築73年の案内所を宿泊施設にリノベ

小田急グループの東海自動車は、静岡県・西伊豆にある築73年のバス案内所「宇久須(うぐす)案内所」と、路線バスとして活躍した中型バス車両を一体的にリノベーションした宿泊施設「ばすてい」を、11月17日に開業する。宿泊料金は1棟1泊34,000円から。

「バスと過ごす」をコンセプトとする1日1組限定の宿泊施設。案内所建物に最大2名、バスに最大3名の合計5名が宿泊できる。

宇久須案内所が建設されたのは1950年。かつて鉄道との直通乗車券を販売する「宇久須駅」として営業してきたが、2022年3月31日に案内所としての役目を終えた。建物延床面積は71.90m2(21.75坪)。構造は木造亜鉛メッキ鋼板葺平屋建て。

木彫りの看板を掲げた趣ある木造建物を活かし、地域に新たな魅力を創出するため、引退した路線バスを並べた宿泊施設へとリノベーションした。

路線バスの車種は、いすゞ・ジャーニーで、東海バスグループが所有する最後の1台となった車種の車両。初年度登録1999年。

旧案内所建物の待合室だった場所は飲食が可能なダイニングルームとなる。内装の見た目をほとんど変えずに補修し、バスの待ち時間に腰かけていた木のベンチや、本を自由に手に取れる本棚も復元する。

案内所のカウンター、事務室だった場所は調理器具を備え付けたキッチンとし、当時の名残ある空間で調理ができるようにしている。食材は事前予約により、地域の民宿や漁協の協力のもと海の幸を盛り込んだセットが用意される。

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倉庫等として使用されていた部屋は浴室、トイレ、洗面などの設備とベッドルームにリノベーションしている。

路線バスは、伊豆半島各地を走っていたかつてのレトロカラーに塗装。運転席に座ってハンドルや行先表示ボタンを操作したり、降車ボタンを何度でも押せるなど、普段バスに乗車するときにはできない様々な体験を用意する。バス中央から後方には、座席を向かい合わせたボックス席やベッドを設けている。

「ばすてい」の名称はコンセプトの「バスと過ごす(ステイ)」から、「バス」と「ステイ」を合わせて名付けている。

施設の前には、現在も使用されているバスの停留所がある。周辺には宇久須海水浴場や港、温泉、地域産業を代表するガラス工房などの観光資源もあるという。ばすていを、人口減少という社会課題を抱える地域に賑わいを育む結節点とすることを目指す。

所在地は静岡県賀茂郡西伊豆町宇久須249‐2。三島駅発「特急 松崎」行き「BP(バイパス)宇久須」バス停下車(所要時間約90分)より徒歩4分、修善寺駅発「快速 松崎」行き「宇久須」バス停下車(所要時間約70分)正面。

予約は11月10日12時から、東海バスホームページにて受け付ける。