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ドコモ、「点」と「線」でトラフィック問題解消へ 300億円投資

NTTドコモは10日、トラフィック増大により、スマートフォンが繋がりにくくなっている問題で、全国の約2,000カ所以上(駅、繁華街、住宅街など)での「集中対策」を実施し、12月までに90%以上の完了を目指す。

NTTドコモ ネットワーク本部長 常務執行役員 小林 宏氏

また、全国の鉄道動線(乗降客数の多い、JR、私鉄、地下鉄など)の対策も強化。12月までに既存基地局を活用した対策を完了する。これらの集中対策は、将来需要も見据えて300億円の先行投資を行ない、早期に完了予定としている。

渋谷など4エリアは「安心して利用できる状況」

年初より、山手線の主要駅など都市部の混雑している時間帯を中心に「ドコモの通信が繋がりにくい、通信速度が出ない」といった問題が発生。ドコモでは、夏をめどに一定の対策を行なったが、根本的な解決に向けた取り組みとともに全国規模での対策を実施する。

夏から重点的な対策を実施していた都内4エリア(新宿・渋谷・池袋・新橋)については、対策を進めており、渋谷においてはスループットを向上するとともに5Gエリアも拡大した。5Gを使うことでより快適になるという。渋谷では駅ホームへの屋内アンテナ再設置や駅周辺の基地局への5G/4G設備増設などを行なった。

渋谷駅東口周辺、山手線・埼京線ホーム、西口、ハチ公口のいずれも7月測定値よりも改善し、不便なく利用できるようになったとする。

渋谷駅周辺における対策
対策の効果。各ポイントでスループットが改善している

新宿・池袋・新橋でも新たな5G基地局を設置したほか、駅周辺の基地局への5G設備を増設。スループット向上と5Gエリア拡大を実現している。

これら対策により、都内4エリアについては「お客さまに安心してご利用いただける状況を確認した」(ドコモ ネットワーク本部長 小林 宏氏)とする。

新宿・池袋・新橋の対策と現状

「点」と「線」で全国で対策強化

都内4エリア以外でも、繋がりにくい箇所において重点対策を実施していく。

エリア情報について、トラフィック拡大が予想される箇所をユーザー申告の予兆前に察知し、先回りして対策していく。これを全国2,000カ所以上の「点」と、鉄道導線「線」で行なっていく。

品質確認には、SNS情報などの分析を活用していく。ドコモのLLM(大規模言語モデル)付加価値基盤などを使って、SNSなどの投稿から「〇〇線の〇〇駅」などの課題を抽出し、優先度を検討していく。

対策内容は、電波照射の角度調整・指向調整・出力調整、5G上り品質の更なる改善などの既存基地局の活用のほか、5G/4G設備増設や、高度化されたMassiveMIMO装置の導入などを実施していく。

これらの対策を12月中に90%は完了する計画(9月末時点では約70%)。対策後には、「主要な動画サービスでHD画質で不便なく使える品質」を確保し、利用者が安定して使える通信品質を実現する。