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auスマホが直接スターリンクにつながる '24年から

KDDIは、スペースXが展開するスターリンク(Starlink)の通信衛星とauのスマートフォンが直接つながり、日本全土がサービスエリアになるサービスを2024年をめどに開始する。当初はSMSなどメッセージの送受信から開始し、音声通話やデータ通信にも対応していく。

auの4Gや5Gの圏外に移動した場合でも、空が見える場所であれば、スマートフォンがスターリンクの衛星と直接つながり、通信サービスを利用できるようになるというもの。山間部、離島といった場所を問わず、日本全土がエリアになる。

auのLTEスマホがすでに利用している周波数帯(ミッドバンド。プラチナバンドではなくグローバルバンド)を使うため、スマホ側はハードウェア・ソフトウェアともに特別な対応は不要で、そのまま利用できるようになるとしている。また利用時は、(衛星通信アンテナのように)空に向けてかざすといったことも不要。auのほかUQ mobile、povoのユーザーも対象になるとしている。MVNOへの提供は現在未定。

案内されている内容で実現すれば、手元にあるLTEスマホの利用可能エリアが極めて大きく拡大されるという、革新的な取り組みになる。

スターリンクを利用できる契約形態は現在検討中。通常のプランに対してオプションの形で提供する、もしくは通常プランに含めるといった形があるとしている。

2024年内に開始
スマートフォンが衛星と直接通信。山口県をはじめ日本にあるスターリンクの地上局(地球局)もKDDIの支援により整備されている

スターリンク側では、第2世代として展開が開始されている「V2 mini」や「V2」と呼ばれる通信衛星が軌道上に揃うことで、通信キャリアに対して今回発表されたような内容のインフラの提供が可能になる。今よりも大きくなる「V2」などは「STARSHIP」といった大型ロケットでの打ち上げが想定されているが、今後のスケジュール次第では、すでに運用しているロケット「Falcon 9」でも打ち上げられるとしている。

スターリンクの小型の衛星を軌道上に投入する様子
遅延が少なくどこでもゲームもできるというストレステストも実施

スマホとスターリンクが直接つながるという、KDDIと同様の取り組みは、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、スイスでも展開される見込み。開始時期は、各国の法整備や事業者の都合により異なる。これらスターリンクがインフラを提供する国・地域では、国際ローミングのような形で、他国のユーザーを受け入れるサービスも検討されている。

スマートフォンが利用する周波数帯に対応することで、スマートフォンと直接通信が可能になる仕組みを導入
日本を含む6カ国で導入予定

スマホ+衛星でエリア展開は新時代に突入

今回の取り組みは、KDDIとスペースXが新たに業務提携を締結して実現する。両者はこれまでにも国内でさまざまな取り組みを実施しており、スターリンクが次世代の通信衛星で構築するインフラもKDDIが先頭集団として利用できる形になった。

KDDI 代表取締役社長 CEOの髙橋誠氏
スペースX Senior Vice President of Commercial BusinessのTom Ochinero氏
Tom Ochinero氏から髙橋氏に「STARSHIP」の模型がプレゼントされた

スターリンクに直接つながるサービスにより、「日本のどこにいても、つながらないがなくなるように。空が見えれば、どこでもつながる」(キャッチコピー)という環境が実現する。

3大通信キャリアにおける人口カバー率の競争は、4Gではいずれも99%を超え頭打ちになっている。KDDIは非日常エリアとして山間部や音楽フェスティバル、船舶といった分野にスターリンクを活用してエリアを強化してきた。そうした中で、スマートフォンとスターリンクが直接つながる仕組みは、エリア展開の差別化ポイントとしては大きな意味を持つ。KDDI 代表取締役社長 CEOの髙橋誠氏が「我々の大いなる夢」と言うように、日本全土で、空が見えればスマホで通信できるという時代が到来することになる。