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メルカリ最高益、GMV 1兆円 「もっと大胆に挑戦」
2023年8月11日 09:00
メルカリは10日、2023年6月期 通期決算を発表した。連結売上高は1,720億円、営業利益は前年比207億円改善して170億円の黒字。売上高と営業利益のいずれも過去最高で、日本のメルカリを中心としたMarketplace事業は、GMV(総流通額)1兆円規模に成長した。
メルペイ/メルカードなどのFintech事業も成長し、ビットコイン取引サービスもスタートし、グループシナジーを創出。またメルカリの内部システムの刷新により、技術基盤を強化している。
メルカリGMVは1兆円。メルカードでシナジー
日本のメルカリを中心としたMarketplace事業は、GMV(総流通額)成長率が前年比10%で、9,846億円と「ほぼ1兆円規模」となった。調整後営業利益率は44%で高い収益性を確保している。MAU(月間アクティブユーザー)は2,200万人規模。また、前述のメルカリアプリ内部の刷新により、迅速な新機能追加や改修が可能になったとする。
パーソナライゼーションの精度を向上するなどプロダクトも改善。Fintechとの共同キャンペーンにより、新規ユーザー獲得施策が効果を上げ、MAUも堅調に増加した。また、メルカードの開始によるAPRU(1ユーザーあたりの平均売上)押し上げ効果や、トレーディングカードなど「エンタメ・ホビー」カテゴリーの好調により、第4四半期のGMV成長率は前年比+15%となった。
メルペイなどFintech事業は、'22年11月からクレジットカード「メルカード」を、3月からビットコイン取引サービスを開始。本格的なグループシナジー拡大に向けて進捗している。Fintech事業の売上高は前年比29%増の312億円で、メルカリ外売上は同42%増の204億円。調整後営業利益は5億円の黒字。
クレジット/決済サービスは、定額払いを中心に伸長し、債権残高は1,178億円に拡大。独自のAI与信による与信コントロールや回収アクションで、回収率も前年同期比で0.6ポイント改善し、98.7%となった。
メルカードの発行枚数は7カ月強で125万枚と急成長。メルカードは、メルカリの業績にも好影響を与えており、メルカード保有者の発行後3カ月目のメルカリ利用ARPUは10-60%増加。メルカードによる、グループシナジーが出てきているという。
暗号資産口座開設数は53万を突破。利用者の8割が初の暗号資産取引となり、ターゲットとするカジュアルユーザを獲得できているという。
Fintech事業の強みとなるのが、メルカリにおける本人確認済み利用者の多さだ。本人確認済み比率は88.8%で、カードや暗号資産口座のスピーディな発行・開設に繋げている。
米国(US)事業は苦戦。GMVは前年同期比-11%減の10.1億ドル、MAUも同3%減の477万人。売上高は前年同期比-9%の3億2,300万ドル、調整後営業損益は4,800万ドルのマイナス。インフレなど、外部環境の影響により購入の鈍化傾向が継続しており、GMV成長がマイナスとなった。一方、出品数は増加傾向で、直近の購入数の減少幅も改善している。
BtoCやシナジー強化へ。新規事業は「もっと大胆に」
2024年6月期は、成長と収益のバランスを意識した経営を継続する。Marketplaceは、トップライン(売上)成長にフォーカスし、プロダクトを強化するほか、効果的なマーケティング投資でGMV成長率10%以上を確保。マーケティング面では、ロイヤリティプログラムを導入する。また、事業強化領域として、越境ECやカテゴリーの強化、BtoC(メルカリShops)における大型加盟店の獲得などを予定している。
Fintechにおいては、メルカード会員獲得に注力し、グループシナジーの強化を図る。メルカードでメルカリのGMV拡大が見込めることから、新規獲得を強化する一方、すでに強固な収益基盤が構築されているため、大きな赤字を出さずに事業拡大を目指す方針。Fintechをメルカリグループ第2の収益の柱へと成長させていく。
US事業は、Z世代へのアプローチを強化し、将来成長を目指す。また、対面取引など、米国でニーズの高い新たな取引手法の開拓なども検討していくという。
メルカリ 山田進太郎CEOは、既存事業の成長とともに新規事業創出を強化する方針を示した。
「ここ数年を振り返ると、コロナやウクライナ戦争など不確実性への対応が必要だった面はあるが、ミッション達成に向けて失敗を恐れず、もっと大胆にボールド(Bold)に挑戦する機会があったのではないかという思いもある」
メルカリは、2月に創業10周年を迎え、「あらゆる価値を循環させ、あらゆる人の可能性を広げる」という新たなグループミッションを掲げた。
山田CEOは、「創業時に感じたインターネットの力で個人と個人を繋ぐことで、限りある資源を大切に使い、世界中の人々が豊かに暮らせるようになる、という思いは今も変わらない。世界中のあらゆる人の可能性を広げる存在を目指し、大胆な挑戦を続けていく。ブロックチェーンやメタバース、生成AIなど、新たなテクノロジーによる可能性も見え始めている。メルカリは、テクノロジーで世界中の人々をつなぎ、モノの取引だけではなく、スキルやデジタルアセットの取引など、新たなお客様体験の提供を目指す」と語り、外部パートナーとも連携し、循環型社会のエコシステム構築を目指す方針を説明した。また、米国以外の海外展開についても、欧州市場での知見を貯めているほか、越境ECが拡大するアジアでも、提携を含めて可能性を模索する。