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虎ノ門ヒルズ駅が完成 地下鉄とは思えない明るさとホームの広さ

UR都市機構と東京メトロは15日、拡張工事が完成した東京メトロ日比谷線「虎ノ門ヒルズ駅」を公開した。同日の始発から利用が開始された。

虎ノ門ヒルズ駅は2020年6月に神谷町駅と霞ヶ関駅間に開業。東京メトロ全線では180番目で、日比谷線では開業以来56年ぶり22番目の駅となった。東京五輪に間に合わせるため最終的な完成を待たずに開業したが、今回の拡張工事で地下2階部分や新たな地上出口が整備され最終形になった。事業主体はUR都市機構で、設計と工事を東京メトロが担当した。

現在、同駅の利用者数は1日約34,000人で、将来的には同8万人を見込んでいる。

地上出口は変更に

目玉は、駅の東西や地上と地下をスムーズに行き来できるようになった点。これまで地上および地下1階にあった改札を地下2階に集約したことで、地上に出る必要があった北千住方面と銀座線の虎ノ門駅との乗り換えが地下のみで完結するようになった。

コンコースから改札を臨む

加えて、新たに地下2階に設けられた「駅前広場(ステーションアトリウム)」を通じて、秋に開業する「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」(地上49階)や「グラスロック」(ステーションタワーの別棟、地上4階)と直結して利便性が向上した。

駅前広場(ステーションアトリウム)
駅構内図

地上出口はこれまでのA1およびA2が14日で廃止され、A1aおよびA2aが供用開始となった。A1aはグラスロック側、A2aはステーションタワー側からのアクセスとなる。いずれも上下ともエスカレーターで移動できる。地上建物との直結のみならず、駅との一体開発によりビル内を通過して近隣エリアへの移動もしやすくなったことから、「駅まち一体空間の実現」としている。

虎ノ門ヒルズ駅 周辺図
A2出口は14日をもって閉鎖された
A2出口はステーションタワーに変更
A2に代わって、使用開始されたステーションタワーの新しい地上口A2a
こちらも同じく閉鎖されたA1出口。20mほど移動した
A1に代わるのはグラスロックのA1a出口

地下に明るい大空間が誕生

拡張工事の完成で目を惹くのは駅前広場だ。地下鉄の駅としては珍しく、地下に大空間を設けた構造になっている。地上から地下1階、そして改札のある地下2階を繋ぐほぼ吹き抜けの空間で、天井部分に大きな窓があり自然光を取り入れられるようになっている。そのため、地下といってイメージするよりも明るい場所になっている。

A2aのエスカレーターを下るとすぐに駅前広場の地下1階に
地下1階から見た駅前広場
天井付近にはいくつも窓があり外光が入る

日比谷線のホームは地下1階でガラス張りになっているため、駅前広場の地下1階部分からホームが見られるという面白い構造になっている。

駅前広場の奥は日比谷線のホームで、電車も見ることができる

さらにエスカレーターを地下2階まで降りるとコンコースがあり、その先が改札となる。同駅の改札はこの1カ所だけだ。コンコースもかなり広々としている。場所柄キャリーケースを持った人も多く利用すると思われるが、そうした利用者も通りやすいのではないかと感じた。

エスカレーターをさらに降りると地下2階へ
地下2階のコンコース
コンコースの脇にはステーションタワーを表す表示も
コンコースから改札を臨む
デジタルサイネージも数多くあり、ステーションタワーの開業をアピールしていた
券売機のエリア
おなじみの端末が並ぶ
トイレは改札内となる
銀座線の虎ノ門駅と接続している
改札口全景。広めの印象
改札機は11台

清川あさみさんの作品も必見

改札を通ると、目の前にステンドグラスのパブリックアートが現れる。アーティストの清川あさみさんの原画による作品「Our New World(Toranomon)」だ。

清川あさみ原画・制作監修「Our New World(Toranomon)」
特殊なレンズ型ガラスを重ねているため角度によって見え方が変わる

清川さんは90年代から雑誌の読者モデルとして注目を集めたことでも知られる。「地下のステンドグラスであっても動きのある世界を表現したかった。人や景色が未来に向かう移ろいの表現を目指した」(清川さん)という。

作品解説のプレートも

大きさは2.7×6mで、LED照明を内蔵。クレアーレ熱海ゆがわら工房の7人の職人が8カ月掛けて制作した。ガラスは全243種類、3,351ピースに及ぶ大作となっている。前面にレンズ型のガラスを重ねることで、立体感や動きを出している。本作品は日本交通文化協会が手がけ、森ビルおよびメトロ文化財団が協賛した。

ホームも大幅に広く

改札を入ると左側が北千住方面行き(2番線)、右側が中目黒方面行き(1番線)ホームへの経路になる。改札階からホーム階へは1階分上がるが、いずれのホームへもエスカレーター、エレベーター、階段が利用できる。

左側に進むと北千住方面行き(2番線)
右側は中目黒方面行き(1番線)

拡張工事で両ホームとも大きく拡幅されたのもポイント。北千住方面行きホームは約6mから最大約14.3mに、中目黒方面行きホームは約4.9mから最大約7.2mに広がった。先述の通り、駅前広場との壁がガラス張りなので、明るく開放的な空間に変わった。

今回は北千住方面ホームが報道関係者に公開された。10m超の幅とあって、特に地下鉄のホームとは思えないほど広々としたものとなっていた。

北千住方面行きホーム。白い床が従来のホーム。黒い床が拡張された部分
電車到着時の様子
柱のサイン
行き先表示の看板
電光掲示の様子
出口の案内

ホーム階から降りて改札を出ると、向かって左側がグラスロック側のA1出口などで、右側がステーションタワー側のA2出口などとなる。

改札から出たところ。左に進むと銀座線の虎ノ門駅で、450mとの表示があった

UR都市機構 東日本都市再生本部 都心業務部 担当部長の轟幸紀氏は、「駅の拡張工事が完成して繋がったことで、周辺の街との回遊性は格段に向上したと思う。秋には街開きが行なわれると聞いているので、そこに向けて一層賑わいのある駅や駅前広場になることを期待している」と話した。

UR都市機構 東日本都市再生本部 都心業務部 担当部長の轟幸紀氏

また、東京メトロ 鉄道本部改良建設部 第二工事事務所長の川上和孝氏は、「ビル側からホームを眺められる。その逆もできるという駅は東京メトロでも初めて。ビル側からは明るい日差しも取り込まれ、新しい挑戦ができたと考えている。当駅は暫定的なレイアウトで開業したが、地下2階を拡張するにあたっては日比谷線を営業しながらの工事だったのが特に苦労した部分」と振り返った。

東京メトロ 鉄道本部改良建設部 第二工事事務所長の川上和孝氏

秋には「虎ノ門ヒルズ」が完成

森ビルが手がける「虎ノ門ヒルズ」は、「虎ノ門ヒルズ 森タワー」(2014年竣工)、「虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー」(2020年竣工)、「虎ノ門ヒルズ レジデンシャルタワー」(2022年1月竣工)、「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」(2023年秋竣工)などからなり、ステーションタワーが完成すると、合わせて「六本木ヒルズ」に匹敵する規模となる。

虎ノ門2丁目交差点から見たステーションタワー(中央)

虎ノ門ヒルズ駅の直上は桜田通りになるが、その上に「T-DECK」という幅20mの歩道橋が架けられる。これによって、桜田通りを挟むステーションタワーと森タワーのオーバル広場を歩行者が行き来できるようになる。T-DECKの中間部分にはステーションタワーの別棟となるグラスロックが建設される。

右のステーションタワーから左のグラスロックの間にT-DECKが建設中
T-DECKは左奥の森タワーまで繋がる。手前はグラスロック。中央奥はレジデンシャルタワー。右がステーションタワー。左上に少し見えているのがビジネスタワー
虎ノ門3丁目交差点から見たステーションタワーとT-DECK
同じく虎ノ門3丁目交差点から見たステーションタワーの全景
ステーションタワーの外観はほぼ完成しつつある
ステーションタワーの西側には、別棟となる「虎ノ門ヒルズ 江戸見坂テラス」(左、地上12階)が設けられる
現場の仮囲いには完成パースも掲示されていた