ニュース

Apple Vision ProやiOS17、macOS Sonomaなど登場 WWDC2023

アップルのティム・クックCEO

アップルは6日、開発者向けイベント「WWDC 2023」を開催した。長らく噂されてきた「VR参入」については、現実とデジタル世界を結ぶARデバイスの「空間コンピューター」として、Apple Vision Proを発表し、2024年初頭の米国発売を明らかにした。

また、15インチMacBook AirやM2 Ultraチップを搭載したMac Studioなどのハードウェアも発表したほか、秋に提供予定の「iOS 17」「iPadOS 17」「macOS Sonoma」「watchOS 10」の新機能を紹介した。

ついにARデバイス登場「Vision Pro」

ARヘッドマウントディスプレイ「Apple vision Pro」を初披露。価格は3,499ドルで、2024年初頭に米国で発売。'24年後半にはさらに多くの国で発売予定としている。

新たな「空間コンピューター」として、現実とデジタル世界を結ぶデバイスとして開発。デジタルコンテンツをフィジカルスペースに重ねて表示できる。専用のOSの「visionOS」上でアプリやゲームも展開し、映像やゲームなどを楽しめるほか、FaceTimeやWebExなどによるビデオ会議にも対応する。

目や手、声によって操作できる3Dインターフェイスを採用。3Dカメラを搭載し、実物世界とデジタル世界を融合した「空間」を撮影・共有できる点も特徴となっている。

新MacBook AirやM2 Ultra

新たに「15インチMacBook Air」を発表。6月13日から発売し、価格は198,800円から。15.3インチのLiquid Retinaディスプレイ、M2のパフォーマンス、最大18時間のバッテリー駆動時間、6スピーカーサウンドシステムなどを、薄くて軽いファンレス設計に収めたノートブックPCとなる。

15インチMacBook Air

新しいMac StudioとMac ProのAppleシリコン搭載モデルも発表。Mac Studioは298,800円から、Mac Proはタワー型とラックマウントの2種類の筐体が選べ、タワー型筐体は1,048,800円から、ラック型筐体は1,098,800円から。

また、新プロセッサ「M2 Ultra」搭載モデルもラインアップ。「M2ファミリーの総仕上げ」としており、第2世代の5ナノメートルプロセスにより製造され、UltraFusionテクノロジーを使って2つのM2 Maxチップのダイを接続することで、2倍のパフォーマンスを実現する。

M2 Ultraは、M1 Ultraよりも200億個多い1,340億個のトランジスタで構成され、ユニファイドメモリアーキテクチャはM1 Ultraと比べて50%多い192GB。メモリの帯域幅は800GB/sで、M2 Maxの2倍。M1 Ultra比で20%高速化したCPUと、最大30%高速化したGPU、そして最大40%高速化したNeural Engineを搭載する。

Mac Studioは全体的なパフォーマンスを向上。Mac Proは、M2 Ultraのパフォーマンスに加え、PCIe拡張スロットを充実させているのが特徴で、7枚のAfterburnerカードを搭載可能とした。

iOS17はメッセージやテキスト入力強化。スタンドにも

iOS 17は、電話、FaceTime、メッセージアプリを強化したほか、テキスト入力も刷新する。また、iPhoneを充電中に、画面に美しいデザインの時計や写真などを表示する「スタンバイ」機能も追加される。

電話アプリでは、自分の写真や名前の配置をカスタマイズできる「連絡先ポスター」を追加。電話した相手のディスプレイに、着信時の表示として、カスタマイズしたポスターを表示できる。また、「ライブ留守番電話」により、留守番電話を残す時に、その声がリアルタイムで文字に書き起こされ、表示できる。

FaceTimeは、オーディオとビデオによるメッセージに対応。メッセージアプリは、ステッカーの共有が可能になる。

AirDropに新機能「NameDrop」を搭載。iPhone同士やiPhoneとApple Watchを近づけるだけで、連絡先情報を簡単に共有できるようになる。

テキスト入力も進化し、単語予測において、デバイス上の機械学習言語モデルである「Transformer言語モデル」により、ユーザーによる入力を学習し、体験と精度を向上する。また、ユーザーが入力し始めると予測テキストの提案がインライン表示され、スペースバーをタップするだけで単語全体を追加したり文を最後まで入力可能になる。音声入力にも新しい音声認識モデルを採用。精度を向上する。

「スタンバイ」機能は、iPhoneを横向きで充電している時に、離れた場所から見えるように設計されたもの。様々な美しいスタイルの時計や、お気に入りの写真、適切なタイミングで適切なウィジェットを表示するスマートスタックを含むウィジェットを表示できる。

また、日記などがつけられる「ジャーナル」アプリを追加。写真、人々、場所、ワークアウトなどの直近のアクティビティから候補を表示し、日記をつけ始めやすくする。

Siriは、「Hey、Siri」ではなく「Siri」と呼びかけるだけで起動できるようになる。

iPadOS 17

iPadOS 17は、ロック画面やPDFの改善、ウィジェットの強化などが行なわれる。

PDFでの作業は、フォーム内のフィールドを賢く見つけ出して入力する自動入力を導入。メッセージでは、新しいステッカー体験などのアップデートが行なわれ、FaceTimeビデオやオーディオのメッセージを残せるようになる。また、ヘルスケアアプリがiPadに追加され、自分の健康データなどを把握できるようになる。

Safariは、「プロフィール」により、ユーザーは仕事とプライベートなど、トピックごとに別々にブラウズできるようになり、プロフィールごとに独自の履歴、Cookie、タブグループ、お気に入りが保存される。

macOS Sonoma

macOS Sonomaは、インタラクティブなウィジェットやビデオ会議対応を強化した。

ビデオ会議では、共有しているコンテンツの上にプレゼンターを配置するプレゼンターオーバーレイや、ジェスチャーに応じたビデオエフェクトが使えるリアクションなどの機能を搭載。SafariもiPadと同様にプロフィールの切り替えに対応する。

ゲームモードも追加。フレームレートで最適化されたゲーム体験を可能にするほか、BluetoothにおけるAirPodsでの音声の遅延を劇的に下げ、XboxやPlayStationなどのゲームコントローラでの入力の遅延を低減した。

watchOS10など

Apple Watch用の「watchOS 10」は、アプリの再設計や、必要な時に関連するウィジェットを表示する新しいスマートスタック、楽しく新しい文字盤などを提供する。

新しい指標やワークアウト表示に加え、サイクリスト向けに、Bluetoothでパワーメーター、スピードセンサー、ケイデンスセンサーを接続するための機能を追加。また、サイクリングワークアウトを開始すると、ライブアクティビティとしてiPhoneに自動的に表示され、タップすると全画面表示になる。

さらに新しいコンパスウェイポイントやマップなど、ハイカー向けの機能も追加する。

オーディオ関連では、AirPods Pro(第2世代)を装着したまま会話できる「Adaptive Audio」なども発表している