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パナソニック、「長く使う家電」へ転換。2年間の「IoT延長保証」も

パナソニックは、1年のメーカー保証に加えて、2年の延長保証を無料で適用する「IoT延長保証」サービスを4月21日より順次拡大する。加えて、11日の記者説明会において、「家電を長く使う」商品とサービス展開に向けた今後の方針を説明した。

冷蔵庫・エアコン・ドラム式洗濯乾燥機・テレビ・レコーダーなど、IoT対応商品をアプリにつないで、「マイ家電登録(商品登録)」を行ないサービスの申込みをすると、計3年間の保証サービスが付与される。

2月からIoT対応冷蔵庫(9WPXタイプ・9HPXタイプ・9MEXタイプ)からスタートしているが、エアコン、ドラム式洗濯乾燥機、スチームオーブンレンジ、自動調理鍋、テレビ、レコーダーのIoT対応商品にサービスを拡大する。対象機種は7カテゴリの274品番。

保証の延長に加え、ネット接続により、アプリを介して、お困りごとや使いこなしに関するお役立ち情報や便利機能の紹介、電気代の目安の可視や、冷蔵庫の「お留守番モード」(自宅から離れると自動で節電運転)などの省エネサポートなどを提供。「購入後も安心して家電を使用し、便利で省エネなくらし」を提供するという。

IoT延長保証サービス 申し込みフロー 説明動画【パナソニック公式】

IoTデータを通じ、家庭の故障検知・状況把握等を遠隔から正確に診断できる「遠隔診断」も'22年3月からエアコンでスタート。事前診断により、適切なアドバイスや訪問回数減などのスムーズな修理対応を実施する。'23年4月からは冷蔵庫でも試験的に遠隔診断を開始している。

家電を長く使うために家電メーカーも変わる

「IoT延長保証」」サービスは、パナソニック製品購入者のユーザー登録を促すとともに、購入後もアプリで顧客接点を保ち、継続的なサービス提供により顧客満足度向上を目指すパナソニックの新たな事業展開の一環となる。

パナソニック マーケティング ジャパンの宮地晋治社長によれば、利用者の家電へのニーズはコロナ禍を経て大きく変化したという。その変化とは、「節約・節電」とともに、特に若年層において「家電を長く使いたい」という声が高まっているという。

パナソニック マーケティング ジャパン 宮地晋治社長
アプリが顧客の満足度を変える

宮地氏は、「時代の転換点の今だからこそ、パナソニックはひとりひとりの変化に向き合う」とし、冷蔵庫・洗濯機やテレビ、エアコンなど幅広いくらしの“接点”を持つパナソニックだからできるサービスとして、IoT連携を強化していくと強調。サービスを軸に「くらしの質を高める」ことを商品展開の基盤とし、「新しい商売の基準」として、「ひとりひとりのくらしを守る」「くらしの基盤である地球・社会を想う」を掲げる。

そのため家電においてもIoTによる“繋がり”を強化していく。

これまでの家電では「売り切り型」で、顧客満足度は購入直後がピークとなり、徐々に下がっていた。これからは、顧客と“繋がり”続け、ソフトのアップデートなどで価値を高めることで満足度を高め続けることを、新たな商売の基準と説明。その一つの事例となるのが、今回スタートする「IoT延長保証」やIoTによる“繋がり”を使った機能と位置づける。

エアコンを例にすると、アプリの進化やアプリによる節電の促しに加え、運転状況にあわせた「クリーニング」の目安の通知や、メーカーならではのクリーニングサービスの提供、IoTデータを使った素早い故障・修理対応などを行ない満足度向上を図る。

修理においては、運転・故障状況などをIoTで取得できているため、サービス担当者が何度も訪問することなく、迅速に判断・修理を行ない、利用者のストレスを軽減できるという。

顧客との長期的な関係をもとにしたビジネス展開のため、家電製品も「より長く使える」ものを目指す。ただし「そのためには商品作りも変わる必要がある」という。例えば、「適切なタイミングでメンテナンスをして製品のパフォーマンスを維持するため、『メンテナンスをしやすい商品設計』が必要になる。また部品保有年数も長くしていかなければいけない。そのためにはSKU(商品数)を削減することも必要」(宮地社長)とする。

エアコンクリーニングサービス「こだわりの技術とサービス篇

部品保有年数は、現状ではエアコンは10年、洗濯機は6年など、商品ごとに異なる。これらをカテゴリごとに「どうあるべきか?」をパナソニックで判断していく。ドイツのミーレは「20年」を基準にしているそうだが、「他社事例を参考にしながら検討を進める」という。

長く使えるようになることで、家電の販売機会は減少し、販売起点での収益化は難しくなる。この点については、現在トライアル中のサブスクサービスの戻り品のリユースなどを、「自動車業界で行なわれているビジネスモデルなどを参考にしながら、パナソニックの家電事業として、パナソニックのお客様、お取引先、我々の三方良しをどのように実現していくかを模索していく」とした。

パナソニックでは、「2024年にIoT家電比率が60%。1,000万人と繋がる」という目標を掲げている。現時点でのIoT家電率は非公開だが、利用者は「800万人」まで来ており、今回の取組などを強化して、早期の1,000万人達成を目指す。