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民間救急に「青い救急車」導入目指す DMM

DMM.comの子会社ベルリングは、緊急車両への優先意識向上を目的としたコンセプトカー「青い救急車」を制作した。民間救急用の車両としての導入を目指す。4月7~8日の2日間は、渋谷ストリーム前の稲荷橋広場にて一般向けに展示する。

救急現場における課題の一つとなっているのが、救急車の現場到着時間の増加。2001年は全国平均で約6.2分だったが、2021は約9.4分になり、過去20年で約1.5倍に伸びている。心肺停止から救命処置が行なわれるまでの時間経過と救命率には強い相関関係があるため、救急車は一刻も早く現場に到着することが求められている。

同社では上記の課題も含めた救急現場における課題解決のため、2020年に新型救急車「C-CABIN」を開発。赤色灯の発光範囲を広げる設計や、サイレンの音がより広範囲に聞こえるような設計を行ない、救急車の円滑な緊急走行の実現を目指してきた。

しかし、現場の救急隊員から「人によっては濃い赤色は非常に暗い色に感じるため、赤色灯自体を視認しづらい方もいる」といった意見があったという。

日本には、色の見え方が一般の人とは異なる色弱者が、男性の約20人に1人、女性の約500人に1人存在するとされている。

そこで今回、緊急車両への優先意識向上を呼びかけることを目的に、色弱者でも暗く感じにくい青色をベースカラーとし、一般の人にも目立つデザインのコンセプトカー「青い救急車」を制作した。

デザインは、世界的アーティストで青色を作品に多く使用している山口歴氏が担当。空や雲、海といった自然をモチーフに、普遍的な表現を追及して「青い救急車」のデザインが生まれた。

色弱者にとっても視認しやすい救急車のデザインを実現するため、NPO法人のカラーユニバーサルデザイン機構によるデザイン面の検証も実施。色の見え方の異なる様々な人に対して、わかりやすいデザインとなっていることを示す「CUDマーク」を取得している。

なお、現行の法令では、緊急車両としての救急車の色には白色が指定されている。そのため「青い救急車」はまず初めに、緊急性が低い傷病者を搬送するための民間用の救急車としての導入を目指していく。