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BtoBでもカード支払いが必須? パーチェシングカードを強化する三井住友カード
2023年3月29日 09:00
法人取引でも「カード必須」 パーチェシングカードに注力
コロナ禍でのテレワークの推進や、キャッシュレスの浸透、改正電子帳簿保存法の施行など、ビジネス分野におけるキャッシュレス化が進み、法人においてもカード決済が増えてきている。
注目される動きが、ITサービスでのカード支払い。2018年から2021年の間に、支払金額は約2倍に増えている。Amazon Web Service(AWS)などのクラウドサービスでは、請求書払いではなく、カード払いがスタンダードになっている。BtoB取引においても「カードが必須」「カードが無いと支払えない」というケースが増えてきているという。
こうした状況下で三井住友カードが法人カードで強化するのが「パーチェシングカード」だ。主に企業間取引(BtoB)で利用するクレジットカードとなり、同社のパーチェシングカードは、プラスチックカードを発行せず、カード番号や有効期限、セキュリティコードなどをユーザー企業に提供。これらを使って企業が購買を行なう仕組み。
法人カードにおいては、出張旅費や接待交際費などを中心に「コーポレートカード」が使われてきた。プラスチックカードを基本とし、対面でも非対面でも利用可能なコーポレートカードに対し、「パーチェシングカード」は機能や用途を限定したものとなり、支払いは「1回払い」のみで、例えば「AWSの支払いのみ」など用途も限定して設定できる。
コーポレートカードと同様に、支払い状況は企業の管理部門からも確認できるほか、支払い猶予が長く、企業のキャッシュフロー改善に役立てられる点も特徴とする。
コーポーレートカードでも当然カードの支払いは行なえるが、パーチェシングカードでは、部署や用途ごとに使うカードや与信枠を管理できるため、組織の状況や用途にあわせた柔軟な運用が可能となる。コーポレートカードは、出張旅費や接待交際費などの対面利用や間接費での利用を想定し、パーチェシングカードはシステム関連費用や材料購入など、直接費のカード払いニーズに応えるものと位置づけられる。
実際のパーチェシングカードの利用例では、海外IT企業などが多く、FacebookやGoogleなどの広告費、AWSやMicrosoft Azure、Google CloudなどのクラウドITサービス、半導体などでの支払いが多いという。コーポレートカードでは海外企業への支払いは15%程度だが、パーチェシングカードでは30%程度が海外となっている。
海外への支払いの場合、海外送金などで手数料が発生するためカードが好まれるという事情がある。加えて、最近のカード活用事例では、コロナ禍による半導体不足により商社が半導体を調達できず、企業が直接メーカーと取引する事例が非常に増えているという。そうした事例では、海外送金しても着金しないと在庫が確保されず、タイムラグにより部材調達できないケースも生じていたという。一方、カード払いであれば、24時間365日オンライン決済可能で、支払い後に即在庫確保されるため、サプライヤーとバイヤーの双方にメリットがあったという。
バックオフィスの効率化にもビジネスカード
またビジネスカードの活用例として、バックオフィスの業務システムと連携し、支払い管理や経理処理の手間を軽減できる点も訴求していく。三井住友カードにおいては、'18年と'22年の比較ではコーポーレートカードと経費精算システムの連動が、2.4倍に拡大した。
パーチェシングカードの採用拡大とともに、広告や仕入れなどの直接費での利用が増加している。'18年から'22年の間に、パーチェシングカードの発行は2.0倍になり、決済金額は2.3倍となった。
三井住友カードによれば、法人カードにおけるパーチェシングカードの割合は現状1割程度と少なく、特に認知度が低い点が課題となっている。一方、米国ではコーポレートカードが1割、パーチェシングカードが9割となっており、日本においても今後直接費でのカード利用が増えていくと見込む。
カードによる取引の拡大にあわせて、三井住友カードでは経費精算システムへの利用明細データ連携なども進める。これにより、従業員のデータ「入力レス」や上長・経理の「承認レス」とともにペーパーレス化を推進していく。