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Microsoft 365 Copilot登場。Word・Excel・パワポなどAI全面展開
2023年3月17日 01:27
Microsoftは16日、仕事のための副操縦士(Copilot)として、大規模言語モデル(LLM)とカレンダー・メールなどMicrosoft Graphのデータ、Microsoft 365アプリケーションが連携する「Microsoft 365 Copilot」を発表した。今後数カ月で、Word、Excel、PowerPoint、Outlook、Teams、Viva、Power PlatformなどにCopilotを導入。価格やライセンスは後日発表予定。
AIを全面的に採用したCopilotは、Microsoft 365に統合されており、Word、Excel、PowerPoint、Outlook、Teamsなどから利用可能。新たな「ビジネスチャット」では、LLM、Microsoft 365アプリ、Microsoft Graphのデータ(カレンダー、メール、チャット、ドキュメント、ミーティング、連絡先)を横断して動作し、「これまでできなかったことを可能にする」という。
例えば、「製品戦略をどのように更新したか、チームに伝えて」といった自然言語のプロンプト(指示文章)を入力すると、朝の会議やメール、チャットのスレッドなどを参照してステータスアップデートが自動で作られる。
WordのCopilotでは、「(指定した)文書とスプレッドシートのデータにもとづいて、プロジェクトの提案書を作って」とプロンプトを入力すれば、提案書のドラフト(草稿)が作成されるため、白紙からスタートする必要がなくなる。執筆や編集、情報収集にかかる時間を短縮し、必要な作業に集中できる。また、要約やフィードバックをWordのCopilotに求めるといった使い方も可能。ただし、Copilotは「時々間違う」とし、あくまでユーザーを助けるものであり、判断は人がするというという位置づけになる。
PowerPointでは、簡単なプロンプト(指示文章)を入れるだけで、自動的にプレゼンテーションを作れる。「Wordの文章とストックフォトから5枚のスライドを作って」などとプロンプト入力するだけで、ベースとなるプレゼンテーションを作成できる。
ExcelのCopilotでは、トレンド分析やデータビジュアライゼーションなどをプロンプトを使って行なえるようになる。
Outlookにおいては、メールのスレッドの要約や返信案の自動作成などで、ユーザーの作業を補助。Teamsでは、Copilotが主な論点を要約し、議事録を作れるほか、重要な論点や意見の一致、不一致、アクションアイテムなどをまとめられるという。
・Word文書とExcelスプレッドシートのデータに基づいて、2ページのプロジェクト提案書を作成して
・第3段落をより簡潔にして、文書のトーンをよりカジュアルに変更
・ラフなアウトラインをもとに、1ページのドラフトを作成して
・タイプ別、チャネル別の売上高の内訳を出して。表を挿入して
・[変数の変化]の影響を予測し、可視化に役立つチャートを作成して
・[変数]の成長率の変化が、粗利益率にどんな影響があるかをモデル化して
・Wordのドキュメントをベースに、関連するストックフォトを含む5枚のスライドでプレゼンテーションを作成して
・プレゼンテーションを3枚のスライドの要約にまとめて
・3つの箇条書きを3つのコラムに再編成し、それぞれに写真を添える
・先週の外出中に見逃したメールをまとめる。重要な項目があればフラグを立てる
・お礼とともに、2つ目と3つ目のポイントについて、詳しい説明を求める返事を書く
・来週木曜日の正午から、新製品発表に関する「ランチ&ラーニング」に皆を招待する。昼食を用意していると明記する
・会議で聞き逃したことをまとて。どんな指摘があったのか? このトピックについて、どこで意見が違うのか?
・議論しているトピックの長所と短所の表を作成する。決定の前に、他に検討すべきことはなにか
どのような決定がなされたのか、また、次のステップの提案は?
・昨晩発生した顧客のエスカレーションに関するチャット、メール、ドキュメントを要約する
・プロジェクトの次のマイルストーンは何? 何かリスクはある? 潜在的な緩和策のリストをブレーンストーミングするのを手伝って
・[ファイル名A]のスタイルで、[ファイル名B]の計画タイムラインを含み、[〇〇さん]からのメールにあるプロジェクトリストを組み込んだ新たな計画概要を作ってください
すでにCopilotが展開されているGitHubでは、AIを活用したコーディング支援を実現。利用者の88%が「生産性が向上した」という。
Copilotは大規模言語モデル(LLM)の活用だけでなく、カレンダー、メール、チャット、ドキュメント、ミーティング、連絡先などMicrosoft Graphのデータが連動する点が特徴。ビジネスデータとアプリにまたがって動作することで、多くのデータから必要な情報やインサイトをビジネスに活用しやすくする。
また、ユーザーのスキルに依存していたMicrosoft 365の機能も、プロンプトなど自然言語だけで使えるようになるほか、スキル習得支援などでもCopilotを活用できる。
データは、ユーザーがアクセス権限を持つものだけを利用し、ユーザーグループ間でデータが漏洩することはないとしている。