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KDDI、普段から使えるメタバース・Web3サービス「αU」スタート

KDDIは、メタバースやWeb3を組み合わせたサービス「αU」(アルファユー)を発表、3月7日からスタートした。

メタバース、ライブ配信、バーチャルショッピングなど複数のサービスで構成され、用途に応じて使い分ける形。現実空間と仮想空間の垣根を取り払い、「すでにひとつの世界である」という意味を込め「もう、ひとつの世界。」というキャッチコピーを設定。また、「体験する場所から発信する場所へ発展させる」というコンセプトで、クリエイターエコノミーや日常的な利用にもフォーカスしている。

メタバースの規格や仕様については、基本的に他社サービスとも連携できるオープン化戦略をとる。3月8日からは渋谷にて無料でサービスを体験できる会場が用意される。

メタバース関連が全部入り「αU」

「αU」は、具体的には「αU metaverse」「αU live」「αU market」「αU wallet」「αU place」の5つで構成される。

マイルームも用意される「αU metaverse」

「αU metaverse」

「αU metaverse」はαUの中心になるサービスで、バーチャル渋谷やバーチャル大阪を舞台としたサービスにアバターで参加。音楽ライブや、ユーザーが同士が集まって会話を楽しめるメタバースサービスになる。

街とは別にマイルーム機能も用意され、家具をそろえて個性を反映できるほか、今後はマイルームに友達を招待して会話が可能。これを応用してクリエイターはトークライブなどを行なえる。また、アバターや家具を制作・販売できる機能・サービスも提供される。

注力されているの音声の処理で、アバター同士の距離によって減衰処理を組み合わせるなどしている。大人数が集まっても、スピーカーから一斉に聞こえるのではなく、距離が近い人の声がよく聞こえるといった、臨場感のある音声の空間を再現しているという。

「αU metaverse」はアプリ(iOS、Android)をスマートフォンにダウンロードして利用する。

音声のリアルさにも注力

好きな場所からライブ映像を楽しめる「αU live」

「αU live」

「αU live」は自由視点映像が特徴のライブ体験サービス。会場とアーティストをバーチャル空間に再現し、ユーザーは好きな角度や距離でアーティストのパフォーマンスを見られる。

クラウド上で処理される高精細な映像をストリーミングで受信する仕組みを採用しており、これにはグーグル・クラウド・ジャパン(Google Cloud)との協業によるシステムが利用されている。

スマートフォンやPCのWebブラウザから利用可能で、正式サービスは2023年夏頃の提供を予定する。

balaの4人
BE:FIRSTの「αU live」のライブ映像
BE:FIRST

デジタルアートを購入できる「αU market」

「αU market」

「αU market」はデジタルアート作品(NFT)などを購入できるマーケットプレイス。クレジットカード決済やauかんたん決済に対応、簡単にNFTを購入できる。

NFTは「Polygon」ブロックチェーンに対応。有名ファッションデザイナーや著名NFTアーティストの作品も限定で登場する。サービス開始と同時にau Design project発のNFTストア「αU dotadp」がスタート、au Design project 20周年記念NFTや、Z世代から支持されるアーティスト作品が販売される。

リアル店舗で提示すると特典が受けられる「デジタル会員証(NFT)」も取り扱われる予定で、渋谷区の店舗からスタートし拡大していく。

「αU market」はWebサイトで提供されるサービスとなる。

Polygon対応の暗号資産管理「αU wallet」

「αU wallet」

「αU wallet」は、「αU market」で購入したデジタルアート作品(NFT)の売買時に使用する暗号資産の管理ができるウォレット機能。購入作品の管理に加えて、「Polygon」ブロックチェーン対応のマーケットプレイスで購入したNFTも管理可能。暗号資産「Polygon(MATIC)」の送金・入金が行なえる。

「αU wallet」はアプリ(iOS、Android)をダウンロードして利用する。

フォトリアルなバーチャルストア「αU place」実店舗と連携も

「αU place」

「αU place」は、バーチャル空間上に再現されたリアルの街並みや店舗、商品で、買い物ができるサービス。街を散策して店舗を見つけて入るといった一連の体験ができるほか、店舗スタッフからのビデオ通話で商品説明やアドバイスも受けられる。

店舗側は、外観と店内展示をスマートフォンで撮影するだけで、店舗をバーチャル空間に再現できる。またリアル店舗にてスマートフォンをかざすとARで商品情報を表示する機能も提供予定。

商品を実際に販売している店舗は、商品点数が非常に多く、購入にあたっては高解像度なデータも重要になるため、そのままメタバース上で再現しようとすると処理負荷が高く快適さが失われてしまうとのことで、あえて「αU metaverse」のメタバースサービスとは切り分けて提供される。このため、ある程度デフォルメされる「αU metaverse」上の表現とは異なり、フォトリアルな世界になるという。

アプリは2023年夏頃に提供予定で、誰でも利用できる。

渋谷に体験コーナー

3月8日~12日には、渋谷にてαUの各サービスを無料で体験できる「αU spring week 2023」を開催。「αU live」ではBE:FIRSTの音楽ライブが、「αU metaverse」では水曜日のカンパネラの音楽ライブや吉本芸人のお笑いライブが開催される。ほかにもNFTアートの販売、アパレルショップを再現した「αU place」の体験もできる。

3年で1,000億円投資、リアルとバーチャルの境目を無くす取り組み

KDDIは2020年に「バーチャル渋谷」を構築、この3年間の間に「バーチャル大阪」や「デジタルツイン渋谷」、バーチャルのライブイベントなどを手掛けてきたほか、バーチャルシティコンソーシアムを発足してガイドラインの策定などにも積極的に参加している。

今回の「αU」は、過去3年の試行錯誤や取り組みの集大成として開発されており、イベント主体だったこれまでとは異なり、より日常的に使えるようにしたのが特徴。ユーザーにはバーチャルなマイルームが用意され、イベントがなくても、いつでも気軽に利用できるようにした。

KDDIのメタバースの取り組み

αUの中心サービスであるαU metaverseでは、開発パートナーとしてカヤックと協業。カヤックアキバスタジオ CXOの天野清之氏が総合プロデューサーを務め、今後もサービスの拡張を図っていく。

天野氏が総合プロデューサーを務める

また相互接続が可能な“オープンメタバース”であることも強調されており、国内ですでにメタバースのサービスを提供するClusterやREALITYとデータを連携できるようにしていく旨が説明されている。今後はNTTドコモやソフトバンクといった通信業界の競合他社に対しても、メタバースの領域ではオープン化の取り組みを働きかけていくという。

画像右の、オープンメタバースを志向するという
左からカヤックの天野氏、クラスター代表取締役CEOの加藤直人氏、KDDIの中馬氏

ビジネス面では、今後3年間で1,000億円規模の投資を行ない、同規模の売上を目標とする。当面の売上はアイテム・コンテンツ販売などの取引における手数料が中心になる予定で、規模が大きくなった後は広告メディアとしての収入も見込む。

KDDIの高橋社長は、リアルタイムの位置情報を友人と共有し合う、あるいは通話サービスを繋ぎっぱなしにして過ごすといった若者の例を挙げて「リアルとバーチャルの線引は、もう無いのではないか」と指摘。ユーザーとクリエイターの双方に向けて、ボーダーレスな世界のひとつとしてのメタバースを展開していくとした。

デジタルネイティブ世代はリアルとバーチャルを自由に行き交っているという
サービスを発表するKDDI高橋社長
まとめ
バーチャル渋谷、バーチャル大阪も含まれていることから行政からもゲストが登壇した。左から渋谷区区長の長谷部健氏、大阪府副知事の山口信彦氏、KDDIの高橋社長

αUのサービスを手掛けるKDDI 事業創造本部 副本部長の中馬和彦氏は、「デファクトを取るとかそういったことは考えていない。複数のメタバースが存在し、ひとつのアバター・ウォレットでログインして、移動していく。そういう“オープンメタバース”を志向していきたい。オールジャパンでやっていきたいという宣言」と語り、非中央集権型で、他社と連携しながらサービスを展開していく方針を語っている。

KDDI 事業創造本部 副本部長の中馬和彦氏
αUにクリエイターとして参加するBE:FIRSTとbala