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タクシー乗務員の“歩合制・隔日勤務”を撤廃した「GO Crew」
2023年3月7日 15:58
タクシーアプリ「GO」と日本交通は、タクシー業界の人材不足解消を目的に、アプリ注文のみを受け取る車両「GO Reserve(ゴーリザーブ)」と、専用乗務員「GO Crew(ゴークルー)」を、3月7日より順次稼働する。日本交通の子会社であるハロートーキョーが雇用・運行管理を行なう。
喫緊の課題となっている都市圏の供給不足を解消するために、ハイヤー・タクシー業界の人材獲得に向けた新たな取り組み。慢性的なハイヤー・タクシー業界の人手不足解消と、需給バランスに応じた効率的な運行を実現する。
これまでタクシー業界では歩合制が当たり前だったが、GO Crewは時間給で柔軟な働き方ができる。また「隔日勤務」というタクシー業界特有の働き方ではなく、「週3回・1日5時間」から働け、副業やダブルワーク、生活スタイルに合わせて働けることを特徴とする。時給は1,500円~。営業エリアは東京23区・武蔵野市・三鷹市。
GO Crewとして雇用された乗務員は、専用車両「GO Reserve」に乗務する。GO Reserveはその他ハイヤーとして認可を受けており、流し営業は行なわない。配車アプリ「GO」が受けた注文のうち、目的地が入力された注文のみで営業する。決済はアプり上で完結しているため、降車時のやり取りも不要。
配車の注文を受けた時点で目的地が登録されており、乗客から特別な指示がない限りナビの案内通りに運転するため、地理に不安があっても業務を行なえるという。車両には次世代AIドラレコサービス「DRIVE CHART」を導入し、事故や事故につながるリスク運転の削減をサポートする。
空車時は交通ビッグデータとAI技術を用いた「お客様探索ナビ」で走行をサポート。実車率をアップし、給与を安定して支払える仕組みを構築する。
GO Crew求人に応募多数「これまでにない働き方」
GOを運営するMobility Technologiesの代表取締役社長 中島 宏氏は、タクシー乗務員の働き方について次のようにコメント。
「タクシー乗務員は年収も高く魅力的な職業なのですが、大きく分けると2つのハードルがあります。1つめは業務関連のハードルで、運転や地理への不安、流し営業で自分でお客様を探すといった部分です。もう1つは働き方のハードルで、タクシー業界特有の歩合制や隔日勤務、長時間労働がネックになっているということです。この2つのハードルで裾野が広がりきらないという面がありました」
GO Crewではこうしたハードルを下げるために、「時間給・週3日から」という働き方を提供。この条件でGO Crew乗務員の求人募集をしたところ、想定以上の応募があったという。
「求人募集は想定以上の応募があり、元ドライバーの方からは正規のタクシー乗務員は働き方がマッチしなかったけど、GO Crewならできるという声をいただきました。ほかにも子育てが落ち着いたけど長時間勤務が難しい40代女性や、平日夕方はサッカー指導者として活動しているため午前中のみ稼働できる20代男性もGo Crewとして活躍する予定です」(中島氏)
ハイヤー・タクシーの研修として、タクシー乗務員と同等の教育や研修を実施する。GO Crew乗務員は二種免許取得が必須となるほか、運輸規則に基づき、接客・サービスや地理、保安関係について座学と実地で学ぶ10日間の法定研修も行なう。乗務員の制服はジャケットのみで、運転姿勢に合わせた軽量でストレッチが効く設計で洗濯も簡単にできる。
勤務シフトは、乗務員のスケジュール都合や、業界全体の繁忙閑散状況に応じてフレキシブルに調整を行なう。
タクシーを配車したいGOユーザーは、GO Crew乗務員を選択することは不可。配車時に目的地を設定して事前アプリ決済をした場合に限り、GO Crewが運転する専用車両「GO Reserve」が配車される可能性があり、その際は迎車中にアプリでわかりやすく表示される。
車両には「GO Reserve」専用のラッピングを施し、「アプリ専用」の表示灯も備えて視認性を高める。
今後のスケジュールは、まず都内で10~20台規模で実証を開始し、課題の抽出やサービスの改善を進めていく。12月までに約30台・90名の体制で東京23区・武蔵野市・三鷹市を営業予定。将来的には他タクシー事業者の参画も募り、全国主要都市エリアへの拡大を進めていく。