ニュース

10周年のメルカリ、着実に成長する国内・Fintech USは不調

メルカリは7日、2022年度通期決算を発表した。売上高は前年同期比18%増の442億円、営業利益は27億円で、メルカリ事業を中心に着実な成長で過去最高の売上高となり、3四半期連続での営業黒字となった。

日本のメルカリを中心としたMarketplace事業は、GMV(総流通額)成長率が前年比10%とほぼ想定通りに伸長。MAU(月間アクティブユーザー)が過去最高の2,153万人となったことがGMV増加に寄与したという。さらに筋肉質な事業基盤により、調整後営業利益率も42%まで上昇した。

メルカリの出品強化やアプリのパーソナライゼーション強化など、中長期的な成長に向けた開発・投資を強化。個人向けのメルカリのほか、BtoBの「メルカリShops」も強化しており、ムラサキスポーツのアウトレット商品が好調など、従来の小規模店や自治体向けだけでなく、メルカリShopsと親和性の高い大規模事業者と連携することで成長を図る。

Marketplaceの売上高は前年比19%増の263億円、営業利益は同92%増の110億円。ただし通期で10%~15%というGMV成長率目標については、「ハードルは高まりつつある」としている。

メルペイなどFintech事業は、11月からクレジットカード事業を開始し、投資額は増加傾向にあるが、会員基盤は拡大傾向。今回始めて、Credit事業の債権残高を発表したが、残高は900億円を突破し、債権回収率は98.0%。高い回収率を維持しながら、メルカードによりさらなる債権残高成長を目指す。

メルカードの狙いとしては、メルペイの収益力強化、メルカリGMV成長、メルカリ内支払い手数料削減、一次流通を含めた循環の促進の4点。

ブロックチェーン技術を使ったサービス開発については、今春に売上金を使ってビットコインを購入できるサービスを開始する。Fintech事業の売上高は74億円、営業利益は1億円で調整前営業黒字となった。

一方厳しい実績となったのが米国(US)事業。MAUは伸長したがGMVは前年同期比-12%減となった。インフレ影響などで購入が鈍化傾向となっている。今後購入促進に向けた施策を強化するほか、一括配送や後払いサービスの拡大などでを行なう予定。売上高は前年同期比-12%の8,400万ドル、調整後営業損益は1,800万ドル。

メルカリ10周年。モノ・コトの循環を生み出す

メルカリは2023年2月1日で10周年を迎えた。山田進太郎CEOは、日米で毎月2,500万人以上が利用し、「モノの循環」を生み出しているとその存在意義を強調する。

山田進太郎CEO

一方、「社会全体ではまだまだメルカリが貢献する課題は残っている」と説明し、「環境の問題は創業時よりも一層深刻になっており、大量生産、大量消費、大量廃棄からのシフトが必要。一方、ブロックチェーンやメタバースなどで、テクノロジーにより、形がない実感やコンテンツなどをどこでも自由に売買でき、それにより生まれる新たな可能性の兆しも見えている」とする。

こうした環境下で、メルカリグループが事業領域が拡大する中でもたらす価値を表現するため、新たなグループミッションを策定した。

新ミッションは、「あらゆる価値を循環させ、あらゆる人の可能性を広げる」。

「世界中のモノだけでなく、コトも含めて、テクノロジーにより人と人をつなぎ有形無形に関わらず価値が循環するエコシステムを作る。人の可能性を広げる(Unleashする)存在を目指す」(山田CEO)。