高速道路の深夜割引、大幅見直し 距離に応じた割引も

NEXCO東日本、NEXCO中日本、NEXCO西日本の3社は、高速道路の深夜割引についての見直しを発表した。2024年度中に運用が開始される予定。

現在、高速道路の深夜割引については、0時～4時の割引適用時間帯に高速道路を走行した車両に対して料金が3割引されるが、これを全面的に見直す。これまでは割引適用時間帯に1時間でも高速道路を走行した実績があれば、その後の走行全てに割引が適用されていた。例えば3時に高速道路を走っても、その後はいつどこで高速道路を降りても深夜割引が適用されていた。

0時を過ぎればほぼ無制限に割引が適用されるため、割引の適用を狙って首都圏や近畿圏の本線料金所等で、深夜割引適用待ちの車の滞留がたびたび発生することが問題視されていたが、これを解消するために見直しを行なう。

見直し後は、深夜割引時間帯に「走行した分」のみが3割引となり、運用方法が大きく変更。割引適用時間帯も変更され、従来の0時～4時から、22時～翌5時に拡大する。

これにより従来は深夜割引時間帯に少しでも高速道路を走行していれば適用されていた割引が、22時～翌5時までに走行した距離のみが割引対象になる。深夜割引の適用範囲は厳しくなるが、後述する長距離逓減制の拡充によって長距離走行時には割引率が上がる。

走行距離の算出については、従来の料金所通過時間に加え、高速道路内にETC無線通信専用アンテナを設置し、各アンテナから車両毎の通行記録を収集し、それらのデータを基にした割引対象距離により実質割引率を算出する。

また、割引については、現行の平日朝夕割引と同様に、「ETCマイレージサービス」または「ETCコーポレートカード」への後日還元型による割引制度に変更となり、出口料金所等では通常料金(割引適用前)が表示されるようになる。

深夜割引以外で割引を拡充

深夜割引の見直しにともない、長距離利用の通行料金負担を軽減するため、400kmを超える走行を対象に長距離逓減制を拡充。長距離逓減制は、走行距離が長くなるほど利用料金を割引する仕組みで、深夜割引とは別の制度。従来は100kmを超え、200kmまでは25％割引、200kmを超える場合は30％割引でそれ以降は一律だった。今回はこれをさらに拡充し、400km以上からも割引を強化。400km以上で40％、600km以上で45％、800km以上で50％の割引が適用されるようになる。

また、割引見直しによる長距離利用の通行料金負担増加等を軽減するため、運用見直し後の5年程度は激変緩和措置を適用。深夜割引適用車両のうち1,000km以上走行した場合、1,000kmを超える部分を割引対象走行分に追加するほか、22時台に高速道路を流出した車両について、22時台に走行した分の割引率を2割引する。