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「西新宿グランドモール」構築 新宿駅~都庁をつなげる再整備

「新しい西新宿地区」を先導する象徴的な空間

東京都と新宿区は、超高層ビル街の機能更新、道路や公開空地等の一体的な再編に向けたまちづくりの方向性を示す「西新宿地区再整備方針(素案)」を取りまとめた。4号街路や公開空地、建物低層部と一体的に再編する「西新宿グランドモール」を骨格軸としたウォーカブルな都市空間の構築などを目指す。

対象エリアは、青梅街道、甲州街道、十二社通りおよび新宿駅で囲まれた区域。西新宿地区再整備方針は、同地区のうち幹線道路、公園、公共駐車場および公開空地を有する超高層ビル地区を主な対象としている。

西新宿地区の特性として、多様な都市機能が集積していること、都内有数のビジネスエリアであること、挑戦的な取り組みにより生まれた立体的な都市構造であること、新宿中央公園に代表される広大なオープンスペース・みどりを有することを挙げる。

新宿中央公園から見た西新宿地区('21年9月撮影)

一方で、築30年以上の超高層ビルが改修等の更新期を迎えているほか、広大な公開空地等が生かされていない、分かりづらく移動しにくい、生活を充実させる仕組みづくりが不十分といった課題があるとする。

分かりづらく移動しにくい都市空間

こういった背景から、「西新宿超高層ビル地区を作り上げてきた『挑戦する精神』を受け継ぎ、業務・宿泊・教育・行政・住・交通・みどりなど、多様な機能の交流・融合や新たな挑戦を促す空間・仕組みをつくり、次の時代の東京を体感できるまちへ再生」をまちづくりの方向性として掲げ、再整備を推進する。

西新宿グランドモールのイメージ

再整備のコンセプトは、Walkable(歩きたくなる)、Everyone(みんなで)、Sustainable(持続可能な)、Try(新しいことを試みる)から、「WEST SHINJUKU」。このコンセプトに基づいた、5つの方針を取りまとめている。

1つ目は、多様な機能の交流・融合を促進する機会や場の充実による新たな付加価値の創出。公開空地や建物低層部等へのラボ、滞在を誘発するロビーやテラス、業務・宿泊・教育等の既存機能の交流を誘発する機会や場の創出を目指す。また、都庁周辺を人やまちの交流を促進する新たなシティホールへ再編する。

西新宿テラス
超高層ビルの機能更新の誘導イメージ
広場空間

2つ目は、西新宿グランドモールを骨格軸としたウォーカブルな都市空間の構築。4号街路や沿道空間を一体的に再編したパブリック空間「西新宿グランドモール」を形成するほか、道路・公園・街区が一体となった歩行空間を形成する。また、次世代モビリティの導入による回遊性向上、まちの価値を高めるみどりの整備を推進する。

西新宿グランドモールと回遊軸
西新宿グランドモールのトンネル部

3つ目は、次世代都市インフラの創出による環境にやさしく強靭なまちの実現。エネルギーの脱炭素化、自然災害においても都市機能が維持される強靭なまちを目指すほか、生物多様性を維持する生態系ネットワークや、廃棄物削減やリサイクル、再生水の利用を促進による循環型社会実現を目指す。

4つ目は、デジタルを活用したスマートシティの実現。市民参加・企業参加による最先端のまちづくりへ挑戦するとともに、次世代の交通・物流システムや、多様なデジタルサービスが実装されるスマート街区の実現を目指す。

5つ目は、持続的発展と価値向上につながるエリアマネジメントの実現。道路や公開空地などの一体的な利活用や、周辺のまちづくりと連携を図るなど、産学官民の連携を強化する。また、誰もが行きたくなるようなコンテンツの創出や情報発信を促進し、新たな魅力の創出を図る。

今後は、個別事業の具体化に向けて実験的な取り組みを通じて得られる効果や課題等を踏まえながら検討を進め、2020年代後半から民間街区、都庁周辺、道路空間の再整備、2040年代に新宿のまち全体の再整備を進める。

今回「西新宿地区再整備方針(素案)」を取りまとめ、都民からの意見を募集。その後、2023年3月を目途に再整備方針を策定する。

まちの将来イメージ