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公共交通で拡大を図るVisaのタッチ決済 定期も検討

ビザ・ワールドワイド・ジャパンは、公共交通機関におけるVisaのタッチ決済の取り組みを解説した。

Visaが公共交通機関にタッチ決済の導入を拡大しているのは、グローバルで取り組まれている流れ。人口が都市に集中する動態は世界中で起こっており、日本をはじめ高齢化が顕著になっている国もあり、アーバンモビリティに取り組む大きな要因になっている。またCO2排出量の面でも近い将来は依然として自動車からの排出が多く、公共交通機関の推進はVisaとして取り組む意義がある。

加えてコロナ禍での利用客の減少を受け、一層の効率化が求められており、券売機や現金が主流だった地域ではタッチ決済による乗車が急速に拡大している。Visaでは世界中でタッチ決済対応カードの発行を進めており、インバウンドでもタッチ決済カードの所有率が増加、結果として交通機関での利用も拡大している。

日本においては、入国制限が緩和されたことで、公共交通機関におけるタッチ決済で海外発行カードが利用された割合は5.1%となり、インバウンドが回復基調にあることも裏付けられている。

コロナ禍での公共交通機関
インバウンドの回復基調

日本の小売店を含めたVisanのタッチ決済全体をみると、対応端末やカードの発行は順調に推移しており、取引も順調に拡大しているという。

加えて、東急電鉄が'23年夏から乗車券サービスの実証実験を開始するとアナウンスするなど、首都圏をはじめとした大都市でも認知度が高まる傾向にある。一方、地方で独自のICカードを運用していた交通機関でも、チャージの手間がかからないVisaのタッチ決済の導入が始まるなど、次の一歩を探す交通機関が採用するサービスの受け皿になりつつある。

日本の公共交通機関ではFeliCaの採用と普及がすでに進んでおり、特に大都市圏では、鉄道事業者をまたいだ相互乗り入れなど、Visaのタッチ決済ではいますぐカバーできない複雑な領域もある。これらは需要の拡大に応じて対応を検討していく方針。

一方、Visaのタッチ決済が特徴としているのは柔軟な料金設定。上限運賃適用サービスは、一定額以上の利用があると、一定期間はそれ以上請求しないというもの。例えば1日700円以上の運賃を支払うと、当日は何度利用してもそれ以上請求しないといったサービスが可能になる。地域店舗との連携を含めた企画乗車券などさまざまなサービスを実現できる。

通勤・通学の利用で一般的な定期券への対応も進めている。オフピーク通勤を前提としたものなどさまざまな種類を設定できるといい、ある鉄道事業者では2024年3月の提供開始を目指して開発中という。インバウンドだけでなく、国内居住者の利用も取り込む方針で、普及・拡大が計画されている。