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マイナンバーカードに「フリガナ」 '23年法改正へ

デジタル庁は29日に「マイナンバー制度及び国と地方のデジタル基盤抜本改善ワーキンググループ(第7回)」を開催し、マイナンバーの利用範囲の拡大や公金受取口座の登録促進、マイナンバーカード券面の見直しなど、マイナンバー法の改正案について議論した。改正案は、2023年の通常国会への提出を目指している。

マイナンバーカードに「フリガナ」

多くの人に直接的に関わるのは「マイナンバーカードの券面の一部見直し」だ。2023年には、フリガナ(ひらがな、カタカナ)の個人氏名の表記を戸籍の記載事項とするよう戸籍法の改正が予定されている。これにあわせ、マイナンバーカードの氏名(漢字)の横にフリガナの付与を検討している

券面の変更は、法改正後の新規発行者向けとなり、フリガナのための再発行などは行なわない方針。また、希望する人には、氏名のローマ字表記や西暦での生年月日をマイナンバーカードの追記欄に記載可能とすることも検討している。

WGの構成員からは、追記欄について「(カードの表記を)西暦で統一してしまえば、一つ作業が減るのではないか。また『希望する者に』となっているが『やりたい人がやる』では複雑化する」といった意見や「券面の抜本的な見直しが必要では」との指摘もなされた。

マイナンバーカードの海外取得も改善する。2023年からは海外でもマイナンバーカードを継続利用できるようになるため、海外在住者の取得や再発行を可能にする。

これまでは、国外転出者がマイナンバーカードの発行・更新手続きを行なう場合、一時帰国して、本籍地市町村の窓口で手続を行なう必要があった。改正により、新規発行や更新を大使館等の在外公館で受けられるようにし、国外転出者のカード取得や更新を簡便にしていく計画。

マイナンバー、3分野以外に利用拡大

また「マイナンバー」の利用範囲拡大についても検討を進めている。

現在、マイナンバーの利用範囲は、税、社会保障、災害対策の3分野に限定されているが、ほかの分野へ拡大する方針。

主な分野は「国家資格」「自動車登録」「在留外国人の行政手続き」など。国家資格などの更新などをデジタル化し、マイナポータルを経由して行なうことで、必要な情報を連携。戸籍抄(謄)本や住民票の写しの添付を省略する。

国家資格においては、保育士、行政書士、司法試験、司法試験予備試験、保険薬剤師、調理師、理容師、美容師、登録販売者、衛生検査技師、職業訓練指導員、キャリアコンサルタント、一級建築士、二級建築士、海技士、小型船舶操縦士、全国通訳案内士、地域通訳案内士などの資格でのマイナンバー利用を検討している(調整中)。

自動車登録事務でも、オンラインによる自動車の変更登録(引越し)の申請などでマイナンバーを活用。申請者の住民票の取得を不要とするなどの利便性向上を目指す。また、在外公館の手続きでも行政機関などの書類取得を省略可能にする。

また、「法律に規定がない事務についても、法定されている事務に準ずる事務については、マイナンバーを利用可能とする」など、迅速な情報連携に向けた改正も予定。さらに、公金受取口座の登録を推進するため、簡易な登録方法(行政機関等経由登録の特例制度)の創設も検討している。これらについては慎重な対応や説明が必要との意見も出された。