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カード不正を業界横断で防止 IWIとPKSHAが共同スコアサービス

PKSHA Technology 野山勝也 代表取締役社長(左)とIWI 佐藤邦光社長(右)

インテリジェント ウェイブ(IWI)とPKSHA Technologyは、カードの不正利用を防ぐため、カード発行会社間で不正データシェアリングを行なう「FARIS共同スコアリングサービス Powered by PKSHA Security」を共同開発した。2023年6⽉の本番稼働に向け、カード業界全体へ展開していく。

IWIは、不正検知システムの豊富な導入実績と、スコアモデルの共同化を可能にするサービス基盤「IFINDS」を持っている。今回の取組では、クレジットカード発行業者(イシュア)向け不正検知スコアリングで国内トップシェアのPKSHAが協業し、カード業界全体での不正対策強化を図る。

クレジットカード不正利用の被害は年々増え続けていることから、カード不正に対して、各取引に点数を付与し、不審な取引を検知する「スコアリング」を採用するカード会社が増えている。ただし、現状スコアリングなどのカード不正利用対策はカード会社ごとに行なわれており、個社で検知した不正手口しか学習できない。不正利用が増える中で、各社ごとの対策だけでなく、「カード業界全体での対策が必要」としている。

そのため、IWIとPKSHAは、カード不正手口に関する企業間でのデータシェアリングを実現する不正検知サービス「FARIS 共同スコアリングサービス Powered by PKSHA Security」を開発。カード不正利用への対策をより強化していく。

新サービスの特徴は、カード不正検知アルゴリズムのPKSHA Securityを採用するとともに、業界横断のスコアリングシステムを開発したこと。PKSHA Securityはセゾンカードやジャックスなどで採用されており、「2桁兆円の商流の裏でPHKSHA Securityが動いている」という。さらに多くの企業が参加し、データ共有が行なわれることで、カード不正対策の精度を高めていけるという。

また、PKSHA Securityの「トレンド追従型AI」により、新しい攻撃トレンドが生まれたら、そのデータをすぐに学習して対応。高頻度でリモデルをかけることで不正被害を抑制していくという。従来のルールベースの対策では対応できなかった不正を検知・対策できるだけでなく、「新しい手口」に「自動で対応」できるという点が大きな特徴としている。

共同スコアリングでは、他社で起きた不正も自社の対策強化のための情報として学習できるため、導入企業が増えることで不正利用の検知精度を向上できる。また、AIモデルを利用したスコアリングでは、精度や品質を保つためにAIの分析が必要となるが、同サービスでは、スコアリングの分析業務はIWIが行なうため、担当者の負荷軽減が図れる点も特徴としている。

PHKSHAでは保険請求の不正対策などにも同技術を展開しているほか、今後はデビットカードやQRコード決済などへの拡大も図る。また業界外での技術展開も予定しているという。

今回の共同スコアリングサービスについて、複数のカード会社でPoC(実証実験)を行なったところ、既存の運用方式と比べ、不正利用被害を平均30%程度削減できたという。そのためIWIでは「組むならPHKSHA以外に無い」として、今回の取り組みに至ったという。

グローバルではVisaなどの事例もあるが、今回の取り組みは特に日本のイシュアにおける共同モデルと不正対策に強みを持つ。IWIでは、カード会社、イシュアを中心に採用を呼びかけ、特に他社で発生した不正を自社ですぐに対応できるようにする点を訴求していく。1社目は、2023年6月の導入を予定している。金額面は非開示だが、トランザクションにあわせた従量課金となる。

IWIは、JCBと10月に発表した「業界初の横断的なクレジットカード不正利用対策に向けた協業」を発表しているが、「FARIS 共同スコアリングサービス」はこの取組でも採用、カード不正対策の共通基盤を支える技術として活用していく。