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新宿西口に常設のXR特化施設。通勤2割減“魅力の再開発”に取り組む小田急

小田急電鉄は、東京・新宿西口に常設のXR体験施設「NEUU」(ニュー)を11月1日にオープンする。場所は新宿駅の西口から徒歩1分で、小田急百貨店「新宿西口ハルク」の北隣にある新宿三葉ビル1階。

「NEUU」は、VRヘッドセットなどを使う最新のXRコンテンツを有料で体験可能。国際映画祭のVR部門にノミネートされた作品など「XR映画」と呼ばれる分野のコンテンツを常時4~5本用意する。定期的に入れ替える予定で、平均で15分程度の作品になる。Web予約が優先され、料金は600円~1,200円。

クリエイターは、最新デバイスをレンタルして作業が行なえる作業場としても利用可能。ワークスペースの料金は1時間以内600円、3時間以内1,200円、6時間以内1,600円、1日は2,000円となっている。

ワークスペースではクリエイター同士の交流も図れる。フランスや台湾といった海外クリエイターとの交流会も開催される予定。今後も施設としてクリエイター支援策を提供するほか、XR映画祭「Beyond the Frame Festival」を開催するなどして発信機会を拡大していく。

このほか最新デバイスを展示するショールームのスペースも用意し、デバイスメーカーやサービス事業者がユーザーの声を集められる場所にする。

本施設は小田急と東京都事業「西新宿先端サービス実装・産官学コンソーシアム」による第1弾の取り組みで、「5Gサービス実装プロジェクト」の一環として実施される。東京都や西新宿エリアの支援を受けた取り組みとなる。

通勤客は2割減、新宿で“魅力の再開発”に取り組む小田急

新宿駅周辺は「新宿グランドターミナル」として大規模な再開発・整備計画が進行中で、西口も再開発が本格化している。西口の顔ともいえる小田急百貨店は9月に本館の営業を停止、10月から地区の再整備のための工事が始まっており、高級ブランドなど一部のテナントは小田急ハルクに移動して営業を続けている。小田急百貨店のある場所には地上48階、高さ260mの複合施設が建設される予定。

新宿駅西口、工事が始まっている小田急百貨店の本館

なぜ小田急がXR施設に取り組むのか。小田急電鉄 取締役社長の星野晃司氏は以下のように語っている。

「コロナ禍を経て在宅勤務が拡大し、通勤客の2割は戻らないと想定している。これは大きな課題で、移動する目的を自ら作り出す必要がある。移動する空間も魅力的なものにする必要がある。この課題解決にテクノロジーを使うことで、新しい価値やワクワクを提供できる。小田急には箱根、江ノ島、ロマンスカーなどリアルな資産があり、旅の前や途中でも、XRなら観光地の資産を使ったコンテンツが楽しめるのではないか。

7年後には、西新宿に魅力ある街が出来上がる。XRなら工事中の間も、工事中ならではの風景や7年後の新宿の姿を見せることもできる。新宿にはビジネス、ショッピング、オフィス、公園など、非常に(生活に根ざした)リアルで多様な場所がある。今後は、新宿のエンターテイメントやクリエイティブな開発にも携わっていくのが、小田急の役目。新宿を日本一魅力的な街にアップデートしていく」(星野氏)。

小田急電鉄 取締役社長の星野晃司氏
XRの活用は本施設以外にもさまざまにイメージし検討している

またNEUUは東京都が支援する取り組みの一環という側面もある。東京都副都知事の宮坂学氏は、テクノロジーへの取り組みで都が従来から方針転換している様子を語っている。

「これからの時代はインターネットやモバイル、“電波の道”を使ってさまざまなサービスが生まれてくる。電波の道には5Gが大事だろうということで、キャリアのエリア整備に都の施設を使いたい場合、これまでは断ることも多かったが、すぐに対応するように方針転換している。西新宿ではデジタルテクノロジーを使う新しい生活様式の実証実験も進めており、従来は行政主導だったところも、早い段階で民間と手を取り合って進めるようにしている。新宿は多様な人が集まる街。デジタルエンターテイメントも生まれる街だというブランドになればいいなと思う」(宮坂氏)。

東京都副都知事の宮坂学氏

この種の施設としては、コンテンツを作る側であるクリエイターにフォーカスしているのも特徴。先端設備のレンタルをはじめ、クリエイター同士の交流や、継続的な発表の場にするなど、クリエイター側の課題解決を図る取り組みも盛り込まれており、簡単に発表できる場所・プラットフォームを目指すとしている。来場数の目標は、本年度が1万人、来年度が2万人。