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ドコモがXR新会社「コノキュー」 サービス・デバイス一体提供
2022年9月28日 20:00
NTTドコモは、ARやVRなどの新領域で新会社「NTTコノキュー」を設立、10月1日から事業を開始する。
コノキュー(CONOQ)は、AR、MR、VRといったXR(Extended Reality)領域について、ドコモだけでなくNTTグループ各社から事業を集約し、個人・法人の双方をターゲットに展開する新会社。ドコモやNTTの研究開発部門とも連携し技術開発を進めるほか、販売面ではNTTグループの営業網を使った展開も検討する。
コノキューはドコモの100%子会社で、NTTグループ各社から集まった200名の従業員でスタートする。代表取締役社長には、ドコモのプロダクト部長や副社長を務めた丸山誠治氏が就任する。ドコモから分かれて別会社としたのは、XR領域の事業はまだ初期段階で、意思決定の早さや柔軟性を高めるためには別会社のほうが良いという判断から。提携・出資なども含めて柔軟に展開していくという。
コノキューが手掛ける事業は、「XR World」などのメタバース事業、「XR City」などのデジタルツイン事業、自社デバイスを開発・提供するXRデバイス事業の3つ。
「XR World」はアバターを利用して、ブラウザでバーチャル世界にログインできるサービス。3月にサービスインしており、現在は有料のライブを含め音楽関連のコンテンツが中心。今後はスポーツや教育関連など、幅広い展開を計画する。また独自のバーチャルライブシステムを使い、バーチャルシンガー「タシットリー」も独自IPとしてデビューさせており、こちらも展開を強化していく。
「XR City」は7月にサービスインしており、都市空間や商業施設でARコンテンツを提供する。対応する場所は順次拡大している。この冬には、AR空間でフィールド探索を行ない化石を発掘、恐竜を現代に復活させるという、絶滅古生物コレクションコンテンツが新サービスとして登場する予定。
コンテンツや技術開発などのソフトウェアに加えて、ハードウェアとしてプロダクト開発も行なう。パートナーとともに自社デバイスを開発し、メタバースやデジタルツイン事業において、一体感のあるコンテンツや体験を提供する。丸山氏は「私は軽量型グラスのようなものが好み」とするものの、さまざまなデバイスを想定・検討しているとのことで、詳細は今後発表される。
このほか、2025年の大阪・関西万博で実施されるオンライン空間上のバーチャル会場の構築にも貢献していく。
丸山氏は、サービス・ネットワーク・デバイスをNTTグループで一体となって提供できるのがコノキューの強みであるとし、「日常的にXRサービスを使う世界を目指す」「XRの新時代を築いていく」と意気込んでいる。
ブラウザで楽しめるXR Worldを拡大
28日に開催された新会社の設立発表会では、今後大きな展開が予定されているメタバース事業の「XR World」について、具体的なコンテンツも紹介されている。
現在の「XR World」はブラウザで簡単に利用できるのが特徴で、通常のWebサイトの利用などとシームレスにつながっているのも特徴。アーティストやエンタメコンテンツの専用ワールドを用意して特別なイベントや有料ライブなども提供されている。
また2023年4月以降にはマーケット機能も実装予定で、「なりたい自分」をアバターで表現したり、クリエイターとして参加し取引したりすることが可能になる予定。
AKB48初のリアル・バーチャル混合ユニット
FOMAのテレビ電話でメンバーのオーディションを行なう(2006年)など、プロジェクト初期からドコモと深い関係を築いてきたAKB48は、AKB48初のリアル・バーチャル混合ユニット「AKB48 SURREAL」(AKB48 サーリアル)を始動する。AKB48 SURREALは、5人のリアルなメンバーに加えて、(VTuberのように)バーチャル空間にてアバターのみで活動するメンバー「SURRY」(サリー)を加えた6人のユニットとなる。
10月5日にはXR Worldにて専用空間「AKB48 SURREAL Theatre」がスタートし、オリジナル楽曲「わがままメタバース」を試聴できるようになる。「わがままメタバース」はXR Worldのテーマソングにも起用されるほか、10月20日からはAKB48 SURREAL Theatreにて有料ライブ「わがままメタバース公演」が開催される。さらに、CD「久しぶりのリップグロス」のカップリング曲に「わがままメタバース」が収録され、メンバーとアバターでデートなどの、CD購入者向け限定プレゼントも用意される。
ゴジラ、エヴァなど今冬~春に多数追加
XR Worldではまた、TOKYO FMの人気パーソナリティ3名がアバターで集結するなどの、TOKYO FM専用のイベント空間が10月30日にスタート。
XR Worldのエントランス空間「Plaza」向けコンテンツとしては、10月から「すみっコぐらし」と連携したキャンペーンが開始。12月からは「NARUTO THE GALLERY」としてキャラクターアバターや忍術エモート、フォトスポットなどが展開される。
さらに、11月以降は「ゴジラ」のXR World向けコンテンツが登場する予定で、ゴジラや東宝作品の怪獣が登場、大きさや迫力、特撮の世界を体験できるコンテンツになる。
12月以降は、松竹がXR World内にサービスを展開。映画撮影所や伝統芸能の劇場を模した空間で撮影を行なえるようになる見込み。
2023年春には、XR World内のコンテンツとして「EVANGELION GLASS」を提供予定。これは、バーチャル空間内で「EVAGLASS」を装着すると、グラスの中の視界がエヴァの世界になるというもので、ヤシマ作戦といった作中のイベントをミッションとして体験できるものになる。
このように、分野も広範に渡る展開や、ブラウザで簡単にログインできるといった要素を含めて、XR Worldは「わがままメタバースを実現する」(NTTコノキュー マーケティング部門 赤沼 純氏)と意気込みが語られている。